2010年10月30日

渋谷東急東横店「総本家 小松庵」


副都心線も開通しますます便利になったターミナル駅、渋谷。
その渋谷駅直結、というよりは「駅の真上で」美味しい蕎麦がたぐれる。
こんな便利でありがたいことはない。

「小松庵」があるのは東急デパート東横店の西館。
東急デパート内なのに東急東横線は駅の反対側になるため遠いのだが、
JRや、特に銀座線の近さときたらどうだ。
銀座線降りて改札出たらすぐのエレベーターにふらふらーと乗ると
あらま「小松庵」の前に着いてしまう。

この店は、あらかじめ言ってしまうと値段が高い。
蕎麦は、「せいろ」「生粉打ち」「田舎」とあるのだが
「せいろ」は840円だからまあいいとして
「生粉打ち」「田舎」は1160円である。
せいろ一枚に1160円というのは、ちょっと口に出すのも憚られるような高価格だ。

とは言え店は流行っている。
駒込が本店の「小松庵」、
新宿タカシマヤや丸の内オアゾなどチェーン展開しているが
どの店もマダムやカップル達に大人気である。
大抵は、綺麗な天ぷらや小鉢がなどがついた
2000円以上するようなセットものを、ゆっくりと楽しげに食べている。
これもまた需要のある蕎麦文化なのだ。

こういう店だとはよくわかっているくせに
脳内の新陳代謝が激しい私は毎回ぼんやり忘れて
来る度「た、高い・・・」とのけぞってしまうのだが
それでも今日のような蕎麦を食べてしまうと降参である。

生粉打ちそば、1160円。

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つるり、微粉の綺麗な蕎麦。
あまりに整った姿は機械打ちかと見紛うほどで
なんというか、あまり人間味の伝わってこない見た目である。

ところが、箸先にたぐりあげて思わず固く目をつぶる。
こんなにもふんだんに、むわぁーと力強い香りを放ってくれるとは!
しばらく食べないで恍惚としていたい夢の世界である。
口に含むと上から右から左から下から、
押し寄せてくるようなぎゅうううと濃厚な味わい。
王道の完璧なコシと品の良い甘み。
そこに足りないものは何もなかった。


素材が勝負の蕎麦という食べ物の性質上、
どんな名店でもいつも全く同じ味を出せるわけはないし
こういう規模の大きい店は打ち手が変わる可能性が高いので
味はその時々で違うと思っていい。
しかし「小松庵」はとにかく使用している蕎麦粉がよいので
私もそれに期待して行くわけである。
2年前に食べた水府村の蕎麦は忘れられない。


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蕎麦粉のよさは蕎麦湯が語る。
お代わりをお願いするのが申し訳ないような
別製の、驚くほど美味しい蕎麦湯。

とか言いながら今日も2回もお代わりをお願いしてしまい
しかも数分後の電車に乗れてしまう、駅上の便利さ。



私にとっては、ありがたい店なのだ。


posted by aya at 21:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>渋谷区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
渋谷には「田舎」があるんですね。池袋は粗挽き、生粉打ち、二八の3種類でした。
>これもまた需要のある蕎麦文化なのだ。
印象に残る一文です。深いですよねぇー。
Posted by Z33 at 2010年11月10日 00:36
Z33さま
「値段は少々高くても、美味しいお蕎麦を美味しいものと一緒にちょっとずつゆっくり楽しみたい」。
御婦人方の買い物の合間の休憩所、またはデートスポットしてはこういう店が求められるのでしょう。
蕎麦は庶民の食べ物だから安くて満腹にしてくれて当たり前、という方には相当不満と思いますが・・
小松庵は、店舗によって、蕎麦からしてメニューが全然違うのが面白いですね!

Posted by aya at 2010年11月10日 22:18
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