お昼時とは言え、店は聞きしに勝る大繁盛の大混雑。
さすがは人気で名高い「手打ちそば処 小杉 須坂インター店」の息子さんの店である。
駐車場は無論満車。
駐車場に入れようと待つうちに蕎麦が売り切れてしまい残念そうに帰るお客さんに
店の人が大わらわの中丁寧に謝っている。
厨房からは戦場のごとき忙しげな雰囲気が伝わってくる。
大変そうだなあ、と私の席のすぐ横にある打ち場を見やれば
忙しない店内とはまさに切り離された静の世界。
白い木と白い粉がまぶしい、清らかな眺めである。

のし棒などの道具掛けまでも天然木をそのまま生かした形なのがユニークで美しい。
「小杉」の蕎麦は2種類。
ともに十割なのだが
粉の産地によって著しく値段が違う。
「北海道産十割ざるそば」が700円なのに対し
「信州産十割の霧そば」は1200円なのだ。
「県産ならではの風味と甘味 当店自慢の一品」と銘打ってあるあたり
地元への愛情と誇りが感じられるではないか。
まずは、信州産十割の霧そば。


手繰りあげて香りを寄せ軽く驚く。
これは・・・かいだことのない不思議な香りだ。
強いて言えば笹の葉のような、薬草に近いような、
野性味あふれる香り。
舌触りは見た目よりしっかりとしていて、程よいコシが楽しめる。
地元のやんちゃ坊主と竹馬遊びでもした気分である。
北海道産十割ざるそば。


うーん、これまた面白い!
見た目からの予想を裏切る非常に珍しい香りなのだ。
韃靼蕎麦にも似た、苦味を予想させるような野生の香り。
しかし口に含んでみれば苦味など全くなく、
味わいとしてはやさしい蕎麦である。
気がつけば蕎麦が売り切れた店内は
すっかり広々、最後の客になってしまった。

営業時間は16時までなのだが、
本日は売切御免、14時半には「本日終了」の看板。
地元の人気者の昼は、かくも忙しいのだ。

昔はカウンター5〜6席の小さなお店でした・・・なんか懐かしいな・・
某方に須坂のお店を御奨めしたら、間違ってご子息さんのこちらのお店に行ったようで、チョット・・・
須坂での製粉は寒いくらいエアコンを効かせたプレハブの中で石臼を回すくらい気を使っていますよ。
「小杉」はやはり須坂インター店でしょ!と思っていたら長野店も驚くほどの大人気ぶりでした。インター店でも、今は粗挽きはやっていないみたいですね・・