駅から近く土日祝日もやっていてくれるので
大変便利な六本木「HONMURA AN」。
便利なだけではない。
さすがは「本むら庵」、
蕎麦が美味しすぎる!!
今日はお蕎麦の前に「みぞれ豆腐」。

豆腐の上にとろろとおろし。
汁の中になめこが隠れている。
組み合わせとしては平凡に感じるメニューなのだが
食べてみて「美味しい」と思わせてくれる上手さがある。
濃厚すぎず淡白すぎない豆腐、すっきりした汁などが
全体を品良く調和させているのだ。
そして、「せいろそば」。

立派な大きなせいろに
真上から見るとところどころ下のせいろが透けるほど薄く盛られた蕎麦。
「六本木でこんなお蕎麦を食べました」
と写真を見せたら怒り出す人も出そうなカットも撮れるほどだが
せいろが大きいので量は決して少なくはない。

思わずため息が漏れてしまう、見事な粗挽き。
箸でたぐり、そっと近づくと
清洌な冷気に乗ってたまらぬ香ばしさが漂ってくる。
食べぬうちから「美味しい!」と小さく叫ばずにはいられない
甘美な香ばしさ。
口に含めば、その感動を裏切らないどころか
さらに甘美なパンチを連続してくるような、
濃厚な味わい、粗挽きのザラ粒感、膨らみ続ける香り・・・
粗挽きの粒は大きいのに輪郭そのものは実に繊細で
その貴い舌触りといったらない。
最初から最後まで、目はまとも開かずショボショボのまま、
愛する人を引き止めるような必死さで
一生懸命ゆっくり食べた私であった。
いいことばかり書いていて現実味に欠けるといけないので
敢えて書くと、今日に限ってはコシというものが全くなかった。
噛むと何の抵抗もなく、ハラリと噛み切れてしまう。
「だから何?」
私は心中でつぶやき続け、この蕎麦をかばい続けて食べた。
自分で突っ込んで自分でかばうという阿呆らしい行為だが
コシのなさなどどうでもいいと思えるほど感動させてくれる蕎麦だった。
その香りと味わいの中で、繊細な粗挽きを噛み締めた瞬間
何の抵抗もなくハラリと途切れてしまったことは
この蕎麦においては魅力のひとつのようにすら感じられた。
美しい人の傷跡のような。
以前やっていた「田舎そば」をやらなくなってしまったことは
本当に悲しく是非復活を希望するところだが
ほぉ〜、それはもしやハシゴしろってことですね?
と前向きに解釈することにしよう(^^)
でもこれだけ美味しいの食べた後では
2軒目選びも、困っちゃうなあー
つい先日、ここの後、お上りタワー(東京人のあまり行かない東京タワーへ)升酒で心地よい頭、特別展望台からの眺め、そして黄昏時の街の景色、また時を置き是非とも行きたい!
ロー人形館のロックンローラー達、水族館の変な魚ども、御土産屋の全然知らない東京名物達、刻印出来るメダル達・・どれもこれも楽しくてしょうがなかった!!
申し訳ない、私の振り出しの本むら庵からはずれて
でも素敵だったな、昼の、黄昏時の、あの景色、酔った頭に
お蕎麦を食べていて一番悲しいこと、それは、止めることのできない移り変わりですよね。もちろん新しい変化へのワクワクもたくさんありますが、自分の心の中にだけ浮かぶ情景は、白く遠く輝いて見えます。