2010年09月05日
銀座「松玄 凛」
日曜夜の銀座は寂しい。
あそこにもここにもお蕎麦屋さんがあるのに、
どこも真っ暗。通りも真っ暗。
華やかな平日の歓楽街ぶりが嘘のように広々して、
そんな銀座を歩くのが私はとても好きだ。
とは言えお蕎麦が全く食べられないのは死活問題。
銀座に限らず都心においては
土日の蕎麦砂漠現象は誠に深刻な問題であるが
オアシス蕎麦はそのぶんありがたく、美味しく感じるものだ。
「松玄 凛」は大箱だけに打ち手も多いらしく
訪れるたび違う蕎麦に出会えるのが楽しい。
広々した店内、日曜夜は平日より静かで
一人客の私も心地よく憩える、まさに銀座のオアシスである。
今日の「もりそば」はまた今までで一番のチュルムニュ感!
機械打ちと見紛うまかりの、見事な、ととのった姿の蕎麦である。
香りは淡いのだが、噛みしめれば粉の甘みも楽しめ
何より「ふるんっ、チュルンッ、むにゅっ」という独特の食感に誘われて
銀座という土地には似合わぬ結構な量なのにあっという間に平らげてしまう。
対する「田舎そば」はうんと黒め。
黒いホシをふんだんにはらみ、こちらも細長いせいろにたっぷりと盛られてきた。
こちらも「もりそば」ほどではないにせよ
まず感じる食感はチュルムニュン。
しかしそのチュルムニュンを噛みしめると、かすかにではあるが
最後の最後に鋭いジャリ感が主張してくるのが
小さな驚きであり痛快である。
田舎らしい野趣に富む香りを、
ガツンとではなく品良くふわりとまとった、銀座の田舎そば。
ああもうなんだかたいへんにうれしくなってきた。
「松玄 凛」さんよ、日曜夜の私を
見捨てないでくれてありがとう。
今夜も、こんなお蕎麦を食べさせてくれてありがとう。
あんまり気づいていなかったけど「松玄 凛」さんちのおつゆって
ちょっとお菓子みたいな不思議な甘さなんですね。
蕎麦湯のお供によく合いますね。
ほらこうして、チビリ。
おいしいですね〜
と、延々と蕎麦湯を愛でつつ、湯気と「心の会話」をしている私に、
店員さん「あの〜〜〜ォ・・・」
私「あ、はい、」
店員さん「お蕎麦、お好きなんですか〜?」
私「はい、大好きです」
店員さん「そうですか〜、ごゆっくり〜(下がっていく)」
あれ、下がっていっちゃった。
私が不気味だったのかもしれない。
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