2010年06月05日

大阪・難波「石臼手挽き蕎麦 源氏」


大阪中心部の地下鉄は、おそらく東京よりも細かく
網目のように走っている。

それだけに大阪駅ー梅田駅周辺やなんばのあたりなど、
いくつもの駅が微妙に離れつつ密集しているエリアは
便利なようでなかなかややこしい。
「なんば駅」、「大阪難波駅」、「近鉄難波駅」、
「南海難波駅」、「JR難波駅」って!

ちなみに大阪難波駅イコール近鉄難波駅らしいのだが
そこかしこにいろんな表示があるので混乱は増すばかりである。

その難波の中心も中心。
複数の難波駅に取り囲まれた島のような
飲食店が密集するエリアに、
小さいけれどピリリと個性的な蕎麦屋がある。


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なんば楽座通り、「石臼手挽き蕎麦 源氏」。
付近は飲み屋街につき、夜はおそらくかなり賑やかなのだろうが
今は昼下がり、のんびりと人通りもまばらである。



こちらには手挽きがあるのでまだあるか大変不安だったのだが、
よかった、まだあった!
二八の「玄挽きスタンダード蕎麦切りざる」
と「石臼手挽き十割蕎麦切りざる」を頼みワクワクしながら待つ。




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まずは「玄挽きスタンダード蕎麦切りざる」から。

この透明感、見るからにそうではないかと思ったが、
やはりやはり、濃厚な熟成の香り。
特大の黒いホシも混じる粗挽きだが
たっぷりと水気をまとっているのでその肌はつやつやと輝いている。


口に含むと、粗挽きのザラザラ感はみずみずしさに
コーティングされているかのようにつるつるとすべらか。
濃厚な甘みが口いっぱいに広がり
熟成のふくよかな香りが強烈に深まっていく。





そしてお待ちかねの「石臼手挽き十割蕎麦切りざる」。
初めてお目にかかってこりゃ驚いた。


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ふんわりと色白の初肌。もったり、ゆたかな姿。

何となく繊細な手挽きを想像していたのだが、
意表を突かれてうんと太打ちの手挽きであった。

白い陽炎のような星を浮かべた粗い素肌は
そのまま萩焼の肌のよう。
見ているだけでうっとりと夢見るような気持ちである。


箸でたぐり上げた香りは
いわゆるフレッシュな蕎麦の香りというのとは少し違う、
落ち着いた、上品な粉の香り。
口に含むとこれまた個性的、ブワンと太いのにどこか軽さがある。
これだけの姿ながら、モグモグ必死で噛みしめると言う大変さはない。
そして歯で噛み切ると「粉」感が強い。
生っぽいというわけではないのだが、
なぜかその断面に粉を感じるのだ。


優しい上品な香りを追いかけつつ、
個性的な食感を楽しむひととき。


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店内ではお店の人が常連さんとのんびりと、
店の昔話などをしている。
ここに移ってくる前の店は昭和4年からと話しているが
今のこの店もなかなか年季が入っているよう。
ちなみに移ってくる前はうどん店だったそうで
現店主は三代目。
「家政婦は見た!」ではなく
「居合わせた客は聞いた!」である。


入口の扉からは午後の光が斜めにさし込み、
和やかな雰囲気に眠くなってくるほど。
今日ここに来られてよかった。


西には、楽しい蕎麦の風が吹いている。







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posted by aya at 19:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>大阪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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