2010年05月31日

大阪・難波「寒ざらしそば 芦生」


南海線難波駅直結のなんばシティ内
「なんばこめじるし」、通称「なんこめ」。
てっきり大きなビルの中のお蕎麦屋さんかと思いきや、
お店はこの通り。


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新しくて綺麗な遊歩道に面した、
実に気持ちの良いロケーションである。

暖簾に染め抜かれているのは
「寒ざらしそば 芦生」の文字。
信州は上田市に流れる武石川の清流に寒中晒した蕎麦を
店名に掲げた店である。


しかしこの店の困ったところは
「寒ざらしそば」ばかりでなく「もりそば」「田舎そば」と
美味しそうな蕎麦が3種類もあり
誘惑で頭が三つにちぎれそうになるところである。
しかも「寒ざらしそば」は手間のかかる天日干しの蕎麦だけに
1枚1570円というブッ飛び価格。

とりあえず三つにヒビが入った頭を押さえつつお店の人に相談すると
おかわりそばとして存在する「半そば」という
大変ありがたいものを教えてもらえた。

さあどれを1枚にしてどれとどれを半そばにするか。
このあたりのカンはおまかせください。
田舎1枚+半寒ざらし+半もり で、どうかと!

えい!




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結果としてわたしのカンは案の定冴えまくっていたのだが、
しかしながら一番風味が強くて美味しいものが
1枚目に来てしまうという流れにはなってしまった。
(半盛りは元来おかわりそばなので)。


でもお鮨だってトロから始まって
最初に感電しそうになったりするもんねー
今日は美味しいものから食べちゃうんだもんねー

と刹那的快楽主義者の気分も楽しいではないか。






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黒っぽい太打ちの「田舎そば」。
大きなホシがチラホラと散りばめられてはいるが
ザクザクの粗挽きという肌ではなく
その輪郭線はしっとりなめらか。

これは・・・来ちゃいましたよ、美味しいですよ・・・
と手繰り上げると



ムワァー


熟成感のある濃厚な、力強い香り。
強靭なコシを持つ肌を噛みしめると
甘みと味わいがギュウゥ〜と舌の上に広がる。
時々触れてくる「チリ」という粗挽きの粒感もソフトで優しく・・

うーん、これは私の好みとしては
熟成系田舎の理想の形と言っていい素晴らしい蕎麦である。
やっぱりこれを1枚分にしてよかったぞ!
でかした私。




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「もりそば」は木目も美しい塗木の器で。
パキパキはっきり、ハガネ系とも言える輪郭線の鋭さがあるが
コシもあるのでこれは温そばにも向いているかもしれない。
香りも味わいも淡いが、たどればごく微かに
精製していない米のような生々しい穀物の香り。
香りや味わいより、
微粉のなめらかな肌感や、歯が届かぬ程のコシを楽しむ蕎麦である。






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そしてこの店の大看板、「寒ざらしそば」の登場である。
「もりそば」と同じく微粉だがこちらのほうがやや色が濃く、
そして「もりそば」と明らかに違うのはその輪郭線の優雅さ。
見るからにしっとり、力の抜けたゆるやかなラインを描いている。
たぐりあげた香りは最初はごく上品なものであったが
次第に濃くなり楽しめるように。

本日、「田舎そば」と「もりそば」は福井産、
この「寒ざらしそば」のみが長野産。
であるのに「寒ざらし」と「もりそば」の香りの方向性が
そっくりに感じられたのは不思議であったが
そのあたりがこの店の個性なのであろう。
蕎麦とは真に面白いものである。

香りの質が似ているとはいえ、
そのふくらみ方は「寒ざらしそば」の方がずっとゆたかで
味わいも濃い。
香ばしいのとは違う、干し草のような、
いかにも「太陽の陽をいっぱい浴びた天日干し」
というイメージにぴったりの風味である。

もうちょっと待てば
もっと濃厚な味わいも楽しめたと思うのだが・・
いつもながら「う〜おいしい、もう一口、また一口・・」と
食べてしまいそこまで待てず。



これだけのお蕎麦を楽しめる店ながら、
こんな蕎麦まみれランチをしているのは店内で私ひとり。
隣のお客さんはそれはそれは楽しそうなおかずがぎっしり詰まった
「芦生弁当」なんてランチセットを楽しんでいて、
首がろくろっくびになってしまいそう・・否、
あんなによく見えたということはなっていたのか。


店の外の眺めも明るく綺麗で
開け放した入口から入る光と風が快い空間。



さぁー午後はちょいと用事が。

蕎麦まみれエネルギーで、頑張るぞ〜



posted by aya at 18:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>大阪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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