2010年04月13日
神田「眠庵」(蕎麦てえ奴は・・・)
私は今日見た。
いや、実際見たのではないが、
はっきりと目に見えた気がした。
私が蕎麦を食べ、夢中になっている間に
私の体に起きていたこと。
ひとたぐり。
箸先からこぼれるトップノートが、私の脳の奥を突く。
水の輝きをまばらにまとう、ざらついた肌の究極美。
その恍惚の眺めに誘われるまま口に含めば、
素朴な肌が舌に寄り添い、歯に触れたそのコシの限界までの優しさ、たしかさに驚く。
ふくらみ続ける香りとじんわり舌にひろがる味わいに、私が染まる。
その時見えたのだ。
光り輝く宝物のようなものが、私の胃の腑に落ちてゆくその感覚。
あんまり書くと変態としか思われなくなりそうなので控えめに書くが
とにかく私は、その前に蕎麦前もかなり食べていた。
お酒も少しだが飲んだ。
それらを食べている時は何も感じなかったのに、
蕎麦を食べはじめたら、口の中だけではない、
香りや味を感じる首から上だけではない、
蕎麦という愛しいものが食道を通って胃の腑に落ちてゆく感覚が
はっきりと目に見えるように感じられ、
それがたまらなく、全身に染み渡るように気持ちよかったのだ。
(この文章、実は何度も書き直した。
正直に書くほど、我ながらおかしな世界の文章になってしまい(^_^;))
ぐにゃんぐにゃんに蕎麦酔いながら、
私は心の中で何度もつぶやいた。
「全く、蕎麦てえ奴は・・・」
口の中で香りや味がおいしいだけでなく、
食道でも胃でも美味しさにしびれてしまった、
蕎麦と私の新たな記念日であった。
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