2010年03月13日

埼玉・宮原「手打ちそば うどん いわ」



BGMはド演歌。

そして店主のおしゃべりである。

店内はふるくひなびた趣で
これで演歌とおしゃべりがなかったら
昭和文学のワンシーンのような情緒もあるのだが
そうはさせないのがこの店の親しみやすさだ。


RIMG2192.jpg




量もたっぷりの手打ちの「もりそば」は530円。
安い。
そしてこの姿である。


RIMG2202.jpg


RIMG2205.jpg





もりそば以外に、1日限定10食の「そば粉100% 」という蕎麦もある。


RIMG2211.jpg



RIMG2217.jpg




どうです、ひなびた店に見えて、蕎麦はかなりぶっ飛んでるでしょう?


もりそばは、香りも味わいも見た目ほど強烈でなく
つるつるいける感じ。
あっこのお店はメニューにはないですがクルミ汁もありますよ。

そして「そば粉100%」の方はもうこの店の演歌くらい凄い。
(しかしおじちゃんのおしゃべりよりは凄くない。)
香り爆発、味わい濃厚スペシャル。
舌触りはネト〜〜〜と濃密で、
よくつながるなあと感心してしまうような極粗ザラツブ感。
しかし平打ちのため繊細さもあり、口の中ではしなやかにほどけてゆく。




そして店主がしきりと勧めてくれたので出会えた「そばがき」。
勧めるだけあって、こりゃびっくりこんなの初めて見た。


RIMG2231.jpg



このそばがきは、汁ではなく塩とともに出される。
表面に焼き目をつけたそばがきは時々出会うが
「いわ」のは、ころころと小さく丸めたそばがきがバーナーであぶってあるため
今まで感じたことのない香ばしさ。

そしてこの形も、食べてみれば味はそばがきなのに
お菓子のような味がする錯覚すら覚え新鮮である。
店主が独自に考案、創作した「いわのそばがきのスタイル」なのだ。




この地に暖簾を下ろし30年。
お客さんの数はひとときの10分の1と嘆く。

しかし私にはどうしようもなく面白い店だ。

こんなに小さく目立たない場所の、こんな老舗にして、
あの個性的暴走気味な蕎麦。


「お客さんにはよく”ここのはサラシナじゃない、黒い”って
言われちゃうんですけどねえ〜」
と苦笑いしつつ、自分の蕎麦は決して変えない。

そして限定でさらに黒い蕎麦を出し、
さらに個性的なそばがきを考える。


店主は実に話し好きで、盗塁を狙う野球選手のように
常に厨房からはみ出している。
大きな目をぐりぐりさせながら、一生懸命、
お客さんが過ごしやすいように尽くしてくれる。

東京から通ってきてくれるお客さんがいる、先週は神奈川からも、
と嬉しそうに話す。
実際遠方からのお客さんが多いらしい。

黙々とかいがいしく働く奥さんの姿も見逃せない。


応援したい店というものはあるものだ。




「宮原」駅はJR高崎線で、大都市「大宮」駅の隣。
上野駅からは1本で31分だ。

こんなに近くに、タイムスリップしたような時間がある。




手打ちそば・うどん いわ
さいたま市北区宮原町4-7-10
048-665-8835
11:00〜20:45
水曜定休


RIMG2235.jpg





posted by aya at 10:47 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>埼玉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素敵な情報
 感謝 感謝 かたじけない (>_<)
以前よりお店の事は存じておりましたが未訪でした。

>どうです、ひなびて見えて、かなりぶっ飛んでるでしょう?

 アタシャのコンピューターの画面だと
  どうも、ひからびえて見えて、そりゃそりゃぶっ飛んでいるように。

蕎麦の切りムラの美しさ、楽しさといい
 「俺リャ〜〜ッ 田舎の蕎麦だんべ!!」と言わんがばかりの、田舎では普通の、迫力ありそうな、いいかげんそうな、洗練の対極にある雑味を楽しませてくれるような 「蕎麦」!!「蕎麦掻き」!!

都会の小ジャレタ見場良い、でも、何の感動をも呼ばない蕎麦に・・・最近、辟易としていたもので
 ここは不味かろうが、美味しかろうが、私には 必訪(こんな言葉あるのかな?)

感謝、感謝
 謝謝
  Thank you very very mach
でした
Posted by at 2010年03月13日 19:16
素敵なコメント、とーっても嬉しいです〜☆(^O^)
そうなのです!「楽しい店」、その通り!
そばがき入りのおしるこもオススメのようでしたので、甘いのお好きでしたらそれも是非♪
Posted by aya at 2010年03月14日 10:29
 この「蕎麦」と「蕎麦がき」の写真を見たら、行かずにはおられませんでした(^o^)12時半頃着いたのですが、「100%蕎麦」の最後の一枚にありつけました(●^o^●)、玄関に沢山音楽関係の色紙が飾ってあったので、ひょっこりと現れた「おじちゃん」に「2、3日前に音楽関係の人来ませんでした?」と聞いたところ「?!」な感じで「そういえばスラッとして綺麗な人が来たけど・・・」だったので「その人歌手なんです」と言ったら「送って行けばよかった」を2回ほど「色紙にサインして貰えば良かった」を5回ほど言ってました(>_<)「音楽関係者か?」「知り合いか?」等の取り調べを受けた後、「サインが欲しいと伝えて欲しい」を条件に開放してもらいましたので、もしまた行くことがあったら書いてあげてください。m(_ _)m

 かんじんの「蕎麦」と「蕎麦がき」は見たとおりで美味しかったです(*^_^*)、塩にもこだわりがあるようでいろいろ迷って「国産のふ塩」に行き着いたと言われてました。「凡愚」は能登、スイス、イタリア、モンゴル産など5種類ぐらい塩を置いてますが、逆にどれをつけたら良いのか迷ってしまいますが、「これぞという塩」が置いてあるだけで高ポイントです。しかし確かに、「おじちゃんのトーク」は評価がわかれるでしょうね。仕事はほとんどおばちゃんかも(^_^;)

 ところで、「拓朗亭」のおじちゃんは、特に昔(旧店時代)は、このおじちゃんとは正反対で、「無愛想」を通り越して「変人」の域にあったと思うのですが、お友達だったとは大したものです。(*^_^*)
Posted by かく at 2010年03月14日 18:37
かくさま
「いわ」でのエピソードには大笑いしました。取り調べ、お疲れ様でした。確かにあの時「送っていきましょうか?」って言ってくださったんですよね〜(^o^)

拓朗亭さんはお友達ではなく、偶然「ふじおか」で遭遇したのです。こちらもお蕎麦屋さんと一緒だったものですから、少しお話しし、その後初めてお店に行きました。

Posted by aya at 2010年03月16日 23:49
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック