2010年03月10日

上野広小路「池の端藪蕎麦」 (藪点前)



いつ見ても良いのだ。

池の端藪のこの眺め。



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猪口が真ん中、左右に薬味と汁が対象に据えられた、
完全調和の盆の中。


茶道のお点前(てまえ)の「置き合わせ」をすら思わせる隙のない配置。


私は密かに藪点前と呼んでいる。





蕎麦は、まさに藪らしいとしか言いようのない、機械打ちのふんわり。
香しい香りを楽しむとか、噛みしめては味わうとかいうものではない。

「軽さ」を感じる蕎麦を数本するっと箸先にたぐりあげ、
口に運ぶ刹那藪らしい粉の香りをかすめとり
ゆっくり味わうでもなく瞬く間に1枚が消えてなくなる。




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私はここの笊もご贔屓。
手工芸品、消耗品でありながら、
いびつさ素朴さを微塵も感じさせない密で細かな目。
取りこぼしなき精緻な仕事で江戸の老舗の味を守り続ける、
都会の一流の職人としての心意気を表しているようだ。



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池の端藪には雨が似合う。

雪は尚更良いものだ。







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posted by aya at 00:26 | Comment(4) | TrackBack(1) | 東京の蕎麦>文京区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゆうべは、雪の帰り道、
身体は暖めたいが呑んでいる時間は無いし……
ということで、
『紅しょうが天蕎麦 半熟卵入り』で
雪見蕎麦でした。

闇夜の中、
街灯の下でだけ際立つ雪の白。
器の中、
ときほぐして一面に広がった赤と
中央に卵の黄色。

美しい夜蕎麦でした。
Posted by TC at 2010年03月10日 13:07
TCさま
TCさまならではの体験、そして印象深い描写、素敵です。中央に卵、では雪中月見蕎麦でもありましたね!
私は時々、黒々とした汁に浮かぶ電灯でお月見します。


Posted by aya at 2010年03月10日 20:53
あ。
それ、私は電球月見酒、やりますよ。
恵比寿にあったお店でもやっていましたし、
神田のお店でも。

もっとも、神田のお店は月イチで足を運んでも
閉まっていたり満席で入れなかったりで、
すっかり久しくなっていますが。

それにしても、このタイミングで
『池之端薮』とは。
先週、しきりに思い出されて、よっぽど近いうちに
行こうかと考えていたお店でしたけど、
写真と文章で気が済んじゃいました。
Posted by TC at 2010年03月10日 23:06
TCさま
池の端藪は私のせいで今週お客さん一人分損しちゃいましたね(^_^;)。
あの日は背後の席の酔っぱらいの会話が可笑しかったです。「しょっぺえな」って20回くらい言ってました。
Posted by aya at 2010年03月11日 09:05
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Excerpt: 「池の端 藪蕎麦」のレポートです。 藪そばの発祥地は”団子坂蔦屋(つたや)”。 その店の周辺に竹藪が多かったので、お客さんが「やぶ」と付けたのが由来。 藪(やぶ)蕎麦の御三家は、本家「神田藪..
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