2015年02月27日

京都・祇園四条「蕎麦や 竹花」


「観光地の食べ物屋」という表現は褒め言葉の逆に使われることの方が多い。
しかしこの店は立地からするとどうしても「観光地の蕎麦屋」となるだろう。
なにしろ祇園のど真ん中、「建仁寺」真横である。
朝から晩まで観光客で溢れかえるあの「花見小路」から
ちょいと曲がった2軒目にできた蕎麦屋さんだ。

しかしよくある観光地のハリボテ日本家屋?のような雰囲気は全くなく
古い建物をそのまま生かした、いかにも京都らしい自然で美しい眺めであるところが素晴らしい。


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こんな便利なところで自家製粉の手打ち蕎麦が食べられるありがたさ。


近づいて見るとメニューの体裁などは意外とイマドキ風。
写真付きでわかりやすく観光客も入りやすそうだ。
英語と中国語の表記もある。

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にしんそば、九条ねぎそばなど京都らしいメニューの中に
「黒豆湯葉つけそば」というのがやたら目を惹く。
おいしそうだなあー
(すいギョーザそばっていうのもなんかスゴイ)


店内も外の看板から受けた印象に近い、
ちょっとカフェ風なイメージ。
女性の一人客が多いのも頷ける。

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奥のカウンター席からは建仁寺が見えるのだが今日はテーブル席に案内された。

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古いものらしい幅広の素敵な扉がインテリアとして壁に飾られている。
これがあるとないとでは随分イメージが違うだろう。

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「もりそば」
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高台つきの笊、三角のお箸ケース、野の花柄の汁徳利。
カフェ風の雰囲気にもよく合う、素敵なセンスだ。


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わぁ〜っ♪
期待以上の香ばしさ、野生のかぐわしさに心が躍る。
ちょっとくにゅんとしたような弾むコシ。
ちょっとちょっと、観光地どまんなかでこんなお蕎麦がヒョイッと食べられるなんて
これはありがたいじゃないですか〜〜♪
北海道産の二八蕎麦。

またまた汁は最後まで一度も使えなかったが
蕎麦湯の時に味わってみると椎茸の効いた甘め。
かなり個性的な汁だった。

そして、表の看板で目を奪われたこのメニュー♪

「黒豆湯葉つけそば」
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ほえー
黒豆だけに湯葉がココア色!

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この汁もちょっと甘めのほっこり系。
かきたま汁のようなつけ汁だ。


さらにこの店の凄いところは中休みなしの通し営業であること!
このありがたさは一言では言い尽くせない。
休みなしで営業する方はどんなに大変かと思うが
いつ行ってもやっていてくれることは
まるで「お母さん」のようにありがたい。

名所巡りに夢中になってお昼を食べそこねた時も
蕎麦屋巡りに夢中になって◯軒目の時も(!)
建仁寺さんの横に竹花さんがありますよ〜



posted by aya at 09:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月26日

埼玉・霞ヶ関「十割蕎麦 みかあさ」


「心温まる」どころの話ではない。

ある夜のこと。
初めて行くこの店に到着するのがラストオーダーギリギリになりそうだった私は
途中で電話をし営業時間と場所の確認をさせてもらった。
そして15分後に到着すると・・
( °o°)
なんと、店主が、店の外に立って待っていてくれた!!!!!
この2月の寒夜に・・・ (;o;)

驚き恐縮する私に
「いやぁ〜、わかんなくて通り過ぎちゃうといけないと思って!」
と快活に笑う店主。
電話の私の声がよほど頼りなかったのかもしれないが
(何せ血中蕎麦粉度最低状態だったので)
それにしたって泣ける温かさではないか。


店に入ると何より印象的なのはずらり並んだ美味しそうな一升瓶。
さすがは「手打ちそばと純米燗酒 十割蕎麦みかあさ」と名乗るだけのことはある。
(燗酒、ってとこがまたすごい。店名からして温まる〜(≧∇≦))

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店内手前にカウンター席、奥が座敷席になっている。
とにかくお酒好きなら店に入っただけでワクワクしてしまうに違いない楽しい雰囲気だ。


お酒は「杜の蔵」をはじめ
「鷹勇 純米吟醸なかだれ」
「独楽蔵 無農薬山田錦60」
「きもとのどぶ」
「秘 純米大吟醸」
「須々許里 純米古酒」
など、力いっぱいの酒愛感じるセレクション。


本日はお酒が飲めないのが誠に残念無念だが
(飲めたとしたって酒量だけは小鳥なのだが)
こういうお店には絶対に美味しいおつまみがあるのです。
ほらね!

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えー!

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イヤ〜〜ン

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ちょっとー、あんまり迷わせないでー!!
ってくらいの誘惑っぷり、この美味しそうさ。

とはいえもうラストオーダータイムですから急いで一気に頼まねば。
頭がちぎれそうなほど迷いまくった挙句こうなりました(^o^)


「蕎麦屋のポテトサラダ」
ゆで卵とマヨネーズのシンプルなポテサラです、って書いてあったので
フツウのポテサラを想像していたら・・
全然フツウじゃない!!
美味しそうすぎる!!

いきますよ〜〜

どーーーん!

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きゃー!
アイス型も、散らされた蕎麦の実も素晴らしい。
マヨネーズ味というよりもずっと上品で、なめらかで、クリーミーな美味しさ。
しかもちょっとスパイシーで、それがジャガイモのほくほくした味わいを引き立て、
・・・すみません、全然フツウじゃなく異常に美味しいんですけど・・・
きゃーきゃー (≧∇≦)


しかもですよ・・・先程から注文を取ったりお料理を運んできたりしてくれているのは
この店の奥さんらしいのだが、その接客がこれまたたまらなく素晴らしい。
あまりの感じの良さに奥さんが去った後ポカーンとその印象に浸ってしまうほど。
うーん、店の前で立っていてくれた店主といい、今夜は飲まずとも酔えそう・・ヾ(*´∀`*)ノ
美味しいおつまみがますます美味しく感じられてしまうではないか。



「産直!深谷ねぎの黒焼き」
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黒焼きと言ったからには本当に黒かった!
網焼きの香りが最高で、その中からトゥルッと熱々のあま〜いネギ♡
ついてきたにんにく辛味噌も大変美味しい。



「福岡産蕾菜(つぼみな)の天ぷら」
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蕾菜はからし菜の新芽。
辛みや香りは淡いが、ブロッコリーに似たような野菜の甘みが春らしい。
写真ではわかりづらいが実に薄く綺麗に揚げられている。
パリッと硬くてとても美味しい。



「だし巻き玉子」
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うっわー
なんて綺麗なだし巻き玉子なんだろう。
まさにお手本のような完璧な眺め。

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わ わわわわわ
しかも見た目だけでなくめっちゃめっちゃおいしいではないですかー!
私好みど真ん中ストライクのだし巻き卵!!
甘み少なく上品な出汁がしっかり。
卵の旨味が濃厚に感じられふっくらした軽さと濃さのバランスも完璧。
ここのおつまみはいろいろとみんな素晴らしい〜〜!


「熊本直送 馬刺 上バラ赤身」
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ねっとり濃厚、やわらかいのに噛みごたえがあり
旨みが長〜く楽しめる赤身の馬肉は大好物。
うーん、これはやっぱりお酒ですよねえー♪



「そばがき」
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ちょっと椀がきのような風情もあるそばがき。
茨城の蕎麦粉。

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やや青い穀物の香りが鼻腔をかすめ
食感はもっちりねっとり、ちょっとフワ感もある。
甘みは少なめで素朴な印象。



「せいろそば」
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うわー・・
これはちょっと見たことがないほどの、超超超極細切りだ。

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写真ではわかりづらいが本当に本当にものすごい極細切り。
しかも一本一本が工芸品のようにパッキリ繊細な輪郭線をもっている。
精巧なミニチュア品を見ているような気持ちになる。
口に含むとまた驚くべき食感。
かたく細い糸のような繊細な束が口の中でほどけてめぐる。

・・・ん?
ちょっと待ってこの蕎麦は??
ここであらためてメニュー本をゴソゴソ探り、
あーやっぱり、なるほど〜とやっと気づきました。

「十割蕎麦 みかあさ」の蕎麦は「富倉そば」。
つなぎに小麦粉は一切使わないのだが、
山ゴボウの一種のオヤマボクチでつなぐ手法で打たれている。
富倉は長野県飯山市にある集落で、そこに伝統的に伝わる蕎麦の製法だ。
長野では時々このオヤマボクチの蕎麦に出会うが
今夜川越でこの蕎麦に出会えるとは思っていなかった。

香りはあわくさわやかな、野生的な草のような香り。
甘みはなく、味わいもい草のような抹茶のような野性味に満ちている。

蕎麦汁もおいしい。
出汁、甘み、醤油、がそれぞれに感じられるのに
なんだかまとまっている不思議なおいしさ。


奥さんが明るい声でやさしく親切にしてくれる姿に接しながら
美味しいものをワーッとたくさん食べ、
たった数十分でものすごく楽しい気持ちになり、
意味ないヤル気のようなものに満ちあふれてしまった私。


「みかあさ」、Mi casa、スペイン語で私の家。

説明によると、「お客様に、我が家のように居心地がいいなあ〜、と感じて欲しい」
ということと、店の奥さんの名前が「みか」さんであることをかけたらしい。
うっはぁ〜かわいらしいなあ〜
何から何まで「心温まる」どころの騒ぎではない。



川越に別宅ができました(^o^)



(閉店後につき暗かったけど記念に一枚♪)
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posted by aya at 09:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>埼玉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月25日

表彰状♡


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8 years passed since I started to write Japanese Haiku(Japanese poem of seventeen syllables). Amazingly I received the Second Prize of the year last year at my Haiku Group. I was so happy and the certificate was THE MOST BEAUTIFIL ONE. My name(4 Chinese characters) was written in a picturesque manner. This work was done by the president of the group, Ryoichi Enomoto.

今夜は句酒会です。

ユニークな天才かいぶつ達があつまる「かいぶつ句会」の隅っこに参加させていただいて8年。

個性的な才能あふれる皆様の中でしょぼーい俳句をよちよち詠んできた私が、
なんと昨年は準句会賞を頂いてしまいました!?( °o°) ( °o°) ( °o°)

2ヶ月に一度集まる句酒会の度に得た点の一年間の総計で決めるのですが
自分でもなんで私がそんな賞をいただけたのか信じられません・・

画家、書家でもある主宰の榎本了壱さん直筆の賞状、素敵でしょう〜〜♪


句酒会は数時間お酒を飲んで楽しくお話しながら句を選び、ごはんはあと。
お酒があまり飲めない私は空腹といかに戦うか、そこだけが問題です(^^;;)
ひとりだけ子どもがいるみたい・・ってまあそうなんだけど(^^;;)。



posted by aya at 16:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | aya>日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月24日

兵庫・夙川「あんばい」


「関西には東京にはない美しさに驚かされるお蕎麦屋さんがある」
とは前にも書いたが、ここもまた。

阪急神戸線「夙川(しゅくがわ)」駅より徒歩2分。
マンションの1階にあるその空間は外観からはイメージが掴みづらい。
マンション自体のデザインがポップなので
そちらに目がいってしまうからかもしれない。

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「石臼挽き 自家製粉 十割蕎麦」。
素朴で堂々とした文字が私を誘う。




店に入った瞬間から、この店の時間に染まる。


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心に風が吹き抜け洗われるような空間。


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限界まで照明が落とされているため店の奥は昼もほの暗いが
大きな窓の向こうの太陽の光が懐かしい情景のようにまぶしい。
BGMはジャズ・ヴォーカル。


こんな、およそお蕎麦屋さんらしくない雰囲気だが
メニューは冷たいお蕎麦、温かいお蕎麦、一品料理など
蕎麦屋の定番ものが一通り揃っている。
お酒は「加賀鳶」や限定で「春鹿」や「大山」。
その他そば焼酎「しなの」や芋焼酎「蔵の師魂」など。

お、期間限定でこんなのもありますね♪

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あとでやってきたお客様方にはこの「限定ランチ」が大人気だったが
相変わらず蕎麦の香りを嗅ぎたい一心の蕎麦虫な私は・・
こうなりました↓↓(^ω^*)



「そばがき」
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ドシンと厚みある器にダイナミックな盛り付け。

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逆巻く波の如く、バシーンと練り上げられた迫力の姿!
このそばがきがなかなかユニーク。
見ての通りねっとりしているのだがぽふぽふ、ぽくぽくとした面白い食感がある。
また「あんばい」は十割蕎麦の店であるしこれはそばがきなのでそんなわけはないのだが
まるで二八蕎麦のようなほんわかのんびりしたような甘みと美味しさがある不思議なそばがき。
椀がきなのかも?



「せいろ」
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蕎麦も厚みのある陶器に盛られてやってきた。
木のテーブルに置かれて響くゴトリという音がいい。
北海道産の十割蕎麦。

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フレッシュで強い野生を感じる香り。
意外にもややきしめんに近いような強靭さがある固めの蕎麦で
口中で暴れる感じすらある。
それをもぐもぐ噛みしめさわやかな風味を味わうひととき。
(店内暗めにつき今回は美しい肌を撮りきれず残念無念 (;o;)(;o;)(;o;) )



「田舎」
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おお〜
どっしり陶器に今度はぐっと黒っぽい蕎麦。
迫力ある景色だ。

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うっわー・・・・

土佐和紙のような無数のホシ。
なんと美しい粗挽き肌だろう。
かすかな透明感のある肌を、店内奥のかすかな太陽光が透かしている。
先程のせいろと同じフレッシュな強い野生がそのままそこにあり
その上に甘皮のこうばしい黒い香りが加わった感じ。
その両方が穏やかでやさしい・・・と思っていたら
面白いことに段々それが変貌してきて
ほんのり白く上品な香り+香ばしい黒い香りになってきた!
強い野生が白い上品に変化した!
うーんお蕎麦って本当に面白いなあ〜
こちらは「せいろ」よりずっと軽い肌で、しかし食感はこちらもかため。
粗挽きのジャリ感がまた楽しい刺激だ。


つゆは鰹出汁のしっかり効いた甘め。



よく見ると蕎麦の器にもお箸を巻いていた和紙にも
「あんばい」のロゴが入っていて可愛い。


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この店に流れる時間を眺めつつ、蕎麦湯。

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時計を見るとまだ正午前。
(11時スタートというのも嬉しいところ♪)

私を吹き抜けた、美しい「あんばい」の風。


posted by aya at 11:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>兵庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月23日

長野・松本 美ヶ原温泉街「米十」


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山は暮れ、家は眠る。



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美しい、日本の家。

古民家のお蕎麦屋さんに来るたびに思う。

この家が建てられた頃のこと。
この家に帰ってくる人達がいたこと。
この家が見てきたもの。



御免ください。

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土間の部分がひろびろとした玄関になっている。



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都会ならこの玄関スペースと同じ広さのお店はいくらでもあるだろうなあ。




囲炉裏のある座敷。

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他に誰もいないのでストーブを焚いてもらうのが申し訳ないような気持ちになる。
昼は観光客も多いので座敷担当の人がいるが
夜は蕎麦を打っている人がひとりきりでやっているとのこと。
したがって夜は要予約だ。


ちょっとこの眺めは実家を思い出してしまった。

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縁側の幅の広さが素晴らしい。

あ、外に建物が・・


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なんと庭には築150年超というお蔵があった。
なまこ壁が美しく、かなり大きい。
ああ なまこ壁ってなんてファッショナブルでカッコいいんだろう!!

最近、日本のお蔵の貯蔵能力の凄さについて聞いたばかりなので
なおさら憧れを持って見入ってしまう。
普通の家に長年放置したらホコリやカビまみれになるものが
蔵の中からはピカピカで出てくるらしい。



何はなくともまず「お茶とおつけもの」。

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大好きな長野にいるよろこび。


「米十」にはビールやお酒のメニューはあるがおつまみの類は一切ない。
あるのは
せいろそば、かけそば、鴨や天ぷらなどの種物そばなど
蕎麦メニューのみ。
メニューにはないのでお通しなのか「季節の小鉢」というのが出てきた。

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「せいろそば」
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わ〜 せいろにきのこおろしが添えられている。
長野のきのこ大好き!これはうれしい。

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ふわっと軽やかに重なる二八らしい肌。
墨のような香ばしさと北海道らしい強い野性を感じる香りをまとい
たぐりあげると一本一本がほろり軽くほどける。
程よいコシのすべすべした蕎麦だ。
普段は地元産の粉だけを使っているということだが
この時は製粉所の都合で北海道と長野のブレンドだった。
きのこは長野ならではの大きなものですごく美味しい〜

汁は利尻昆布と鰹を使用とのことで
鰹は淡めのスッキリ美味しい汁。


「鴨せいろ」の汁はこんな感じ。

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この汁がとてもいい。
極上の肉厚鴨!とかではないのだが、鴨を焼いた香りが香ばしく
しかも汁は脂の浮いていないすっきりしたもの。
うん、おつまみなくても「鴨せいろ」とって
まず鴨汁だけもらって日本酒とチビチビ・・っていうテもありますね〜
(ってまたこういう発言をするからすごーく飲める人だと思われる・・(^^;;))



ストーブはあるが家の中は寒い。
天井が抜いてある古民家はよくあるが
ここの天井はこれまたすごいことになっている。

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完全にまっくろくろすけのお家だ。



私はまたこの家の永い時間を思う。

この家が建てられた頃のこと。
この家に帰ってくる人達がいたこと。
この家が見てきたもの。


時は流れこの家は東京の古民家を愛する人の手に渡り
東京から蕎麦打ち職人がやってきて蕎麦屋として経営されている。
芸能事務所の経営というのはこの家のイメージからはおよそかけ離れている。

しかし継ぐ人がいなければ、お金をかけて修復してくれる人がいなければ
古いものは壊れ消えていってしまう。

私が今夜この美しい家に出逢えたのもありがたい運命だ。



そして、
今こうして全く関係のないよそ者の私がここに座っているのも、
この家はじっと見ているのだろう。






posted by aya at 11:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 甲信越の蕎麦>長野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月22日

京都・北山「じん六」


傷ついた。


愛しきものがあった場所には
立派なマンションが無慈悲にドーンと建っていた。
あまりの印象の違いに、以前どこに店があったのかすぐには把握できなかった程だ。


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北山通りのこの場所にあった「じん六」旧店舗。
ゆったりと天井の高い山の庵のような風情を、私は愛した。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/389895153.html


それが昨年、建て替え工事をすることになり
4月からはこのビルの1階での営業を開始することになっている。

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案内に従い、仮店舗営業中の「じん六」を訪れてみる。

もとの場所から北へ歩くこと約500m。
お洒落な雰囲気の北山通りから少し歩いただけで
いきなり畑はあるわお山はゆったり連なってるわ
たいへんにのどかな雰囲気となる。

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市街中心部ではゆっくりできないタクシーの運転手さんのお昼寝スポットでもあるようだ。


こんなところにお店なんてあるのか、と不安になった頃に
張り紙にあったとおり「むら上」という割烹があった。
じん六は今ここを昼間だけ借りての仮店舗営業中なのだ。

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なるほど、ダブルネームなこの眺め。
やや心細かったが、私が大好きなこの懐かしい暖簾に出会いホッとする。
いつ見ても本当にいい字だなあ〜



店内に入るともわぁーと生温かい湿度。
ネタケースもあり、まさに割烹とか寿司屋とかといった雰囲気だが
カウンター内では大きな蕎麦鍋がグラグラしている。

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1年ぶりに会った店主は相変わらずの笑顔で
蕎麦屋でない場所で蕎麦を打ち、ゆでる難しさを語ってくれた。
それでもさすが、日本でも屈指のエキセントリックなまでの情熱と感性を持った店主であるから
工夫に工夫を凝らし
以前どおりどころか以前以上の進化をこの場所でも遂げているのだから
凄いとしか言いようがない。



メニューはほぼ旧店舗の時と同じ・・

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いや、「鯖すし 一切れ150円」というのがあるのが
ピカーッと目を惹くではありませんか!
「むら上」の影響ではじめたプチメニューらしい。
鯖好きの私としては飛びついてオーダーしたいところなのだが
実は・・大の魚好きが祟って昨年なんと
アニサキスアレルギーデビューを果たしてしまった私・・・(TOT)
どうやら一生分のお魚をもう食べてしまったようです・・
はい、店主よりもさらにエキセントリックなのは私です(^^;;)



というわけでいつもと同じ「蕎麦三昧(産地の異なる三種の蕎麦)」、
その前にもちろん「そばがき」も、お願いしまーす♪♪♪

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「そばがき」
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あああああ
あなたに、会いたかった・・・
これがどんなに特別なものであるか、私はもう知っているのだ。
この胸のときめきをどうしたら!!うー!(一人で来ているのに吠え声が)

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悶絶。盲目。無我夢中。
この、ありえないほど素晴らしいかぐわしさ。
フレッシュで、さわやかで、しかしたくましさも甘さも野生も全部ある。
私を埋め尽くして何も見えなくしてしまう恍惚天国の香り。
口に含むといきなり とろぉ〜ん!とるぅ〜ん!ふっくら〜〜〜!!と
これまたびっくりするほどすっばらしい極上のやわらか肌を持った香りの塊が飛び込んできて
噛みしめるとそこからグワァッと濃い蕎麦の旨みが口いっぱいに広がり、
次の刹那それは微塵もねっちょりすることなく潔くふるりと切れる。切れる!このニクさ!!

・・・もう私は完全にカウンター内の挙動不審者である。皆様見ないでください。
何か嗚咽のようなものが聞こえても知らんぷりしてください。
だってだって、私は今、このそばがきさまと二人きりで夢中で、何も構えないんです・・・


私の胃を考慮して小さめに作ってくれたというのに
食べ終わったらぐったりするほど興奮してしまった。
おそるべき「じん六」の「そばがき」。
その小さな塊の破壊力。




一枚目「茨城」
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「蕎麦三昧」トップバッターは「茨城」。
これも少なめ盛りにしてくれてある。

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美しく繊細に震えるその輪郭線。
まぶしく光を散らす粗挽き肌。
そこからむわぁーと漂う蕎麦のかぐわしさがただごとでない。
口に含むと驚くべき、生あたたかいほどの締めなさ加減で
口の中に「香り」という大きな塊が突っ込んできて
口を横方向にぎゅーんと広げられたような錯覚まで覚えた。
常陸秋そばの香りが最高潮に高まった爆弾のようなことになっている。
食感はむちゅーぐにゅーとやわらかくかなり個性的で、
噛みしめるとゆたかなゆたかなふっくら感。
ツルツルーッと食べる粋な江戸蕎麦とは対極にある
「じん六」ならではの蕎麦のかたち。




二枚目「北海道」
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こちらもちょっぴり少なめで・・

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見つめるほどにときめく繊細な粗挽き肌。
北海道らしい野生の香りをストレートに精製したような美しい香りがたまらない。
こちらもほとんどしめていない常温くらいの温度だが
超やわらかだった茨城よりは凛とした舌触りとコシを感じる。
キタワセと言われてみればキタワセなのだがこのストレートで澄んだ感じは
唯一無二のキタワセに思える。



三枚目「福井」
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ギャー

なっ なんなんですかこの宇宙人みたいな青さは!
あまりにも青く写りすぎて変だったので少し色調補正したのにまだ青すぎる蕎麦星人。

そしてお気づきかもしれませんがここでいきなり蕎麦の量が増えています(^^;;)
「もしかして、もっと食べられそう?」とのありがたきお言葉に
「ハイ!」と元気よく返事した私(←ちなみに二軒目)。

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(>_<)

(>_<)

(>_<)

たまらない・・・爆発的なこのかぐわしさ!!
このまま食べずに箸先だけでずーっと酔っていたい。
あなたに酔っていたい。でも食べたい。
もう何が何だか恍惚夢遊病者のようになって口に含むと
粗挽きの舌触りのあとにふっくらもっちりとした食感が迎えてくれる。
そこから広がるたくましく力強い在来種の味わい。

うううう
もう
どうなってもいい
おいしすぎる。



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蕎麦湯がまたひとつのメニューに思えるほど
香り高く味わい深くたまらなく美味しい。
「茨城」「北海道」をブレンドしてどろ〜り濃厚に溶いてくれてあるのだから
美味しいに決まっている。
「じん六」の超個性的で鋭利な蕎麦汁を肴に
じっくり、至福の蕎麦湯酔い。



新店舗のオープンは早くて4月。


私は「じん六」旧店舗が最後と聞いては駆けつけ、
仮店舗と聞いては駆けつけ、
リニューアルオープンが今から気になってたまらないのだから、

「じん六」はああ忙しい(^^)








posted by aya at 08:46 | Comment(5) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月21日

小岩「 蕪村居」


総武線「小岩」駅からすぐの路地裏。
暗闇に浮かぶ「手打ち蕎麦」の文字に早くもうっとりしてしまう。
(私は蕎麦の味香りはもちろん、その漢字からして大大大好きで・・やっぱりどこかおかしいらしい))

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路地裏というロケーションといい幅広の大きな扉といい
風情たっぷりの佇まい。

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奥にカウンター席、手前にテーブル席がある。

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ほっこり民芸調のような、どこかアーティスティックな雰囲気もある不思議な空間。


なんといっても壁に描かれた絵が楽しい。

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二人で大きなざるそばをつつきあってたり
かえるさんが紛れ込んでたり・・
高いところにたっぷり余白をとって描かれているのが
まるで壁を襖に見立てているような自由さを感じさせとてもいい。
私は日本の「余白の美」が大好きだ。



テーブルのメニューは塗の竹細工の台のようなものに貼ってある。
これも珍しい、素敵なアイディアだなあ〜


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しかも壁には

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きゃ〜〜 美味しそう!
これはやっぱり・・飲みたくなっちゃいますよね!?


自然な接客がとても素敵な奥さんが
猪口がたくさん入ったザルを持ってきて好きな猪口を選ばせてくれる。


神亀(燗)
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おお〜 一口でガツン!ズン!と重めの旨み。
これは上級者向き・・お酒一年生の私には強すぎたかも〜エーンエーン(*´д`*)


「アン肝 暮坪蕪と自家製ポン酢」

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わー!きゃ〜!ぎゃ〜〜!
見るからに美味しそうすぎる大きな厚切りに感激!
そして見るからに美味しそうなものはやっぱり美味しい。
ねっとりとろぉり濃厚なアン肝に
蕪のおろしが大根とは一味違う個性的なアクセント。
そしてですよ、この濃厚美味しいアン肝がきたら
突然さっきまで飲めなかった「神亀」が美味しくなっちゃったんです!
5分前からいきなり大人になっちゃった気分・・ヾ(*´∀`*)ノ
いや〜これはイケちゃいますね〜 危険ですね〜



「今日の盛り合わせ」
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しめ鯖、イカの塩辛&いくらonクリームチーズクラッカー、かまぼこ。
お酒好きが大好きなものばかり。


「蕪村居」のお蕎麦は「二八せいろ」「十割田舎せいろ」の2種類。
しかも嬉しいことに「二色せいろ」がある。
わーい、ぜひそれをお願いしま〜す!


二色せいろ 一枚目「二八せいろ」
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ほっこりくつろげるこの店の雰囲気からすると意外に上品な量のお蕎麦が
横長のせいろの中にはらり。
でもでも・・なんだかこのお蕎麦とっても美しいですよ・・!!

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端正な極細、やや平打ちの蕎麦。
見入るほどその肌の風情が素晴らしい。
粗挽きの蕎麦の粒子、儚くゆれる輪郭線・・
見た目も美しいが口に含むと優しくしっとりぴたっとした肌が同じ夢の続きを見せてくれる。
不思議なことにこれだけの姿ながらどこまでさぐっても最初から最後まで香りも味もごく弱いのだが
それでも、それだけで感動できるほどの姿と食感だった。
足が早くピタピタしてくるので急いで食べる・・までもなく
あっという間に食べてしまう。
北海道幌加内の蕎麦。




二色せいろ 二枚目「十割田舎せいろ」
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打って変わってたくましく黒い太打ち。
これも「二八せいろ」と同じ幌加内の蕎麦だ。


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ぬったりと重なる黒い肌。
色とりどりの粗挽きの粒子がいかにもじゃりじゃりしていそうだ。
箸先でまず、素晴らしい香ばしさに驚く。
しかもよくある甘皮の香ばしさよりもさらに香り高い、
上質のほうじ茶のような美しい香ばしさ。
え〜〜〜これは素晴らしすぎますよ〜〜!
食感はかなりしっかりで容易には噛み切れず、モグンモグンと噛みしめ味わう蕎麦。
じゃりじゃり感は思った程なくモッチリとして
味わいは甘みなくほんのり滋味深い感じ。
とにかく食べている間じゅう香ばしくて美味しくてしあわせ〜



「牡蠣南蛮」
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牡蠣がソテーされてがっつりボリュームのある牡蠣南蛮。
海苔がきいてる!(海苔好き過ぎ病)




店内では品のいいおじいさん達がいかにも楽しげに
仲間の快気祝いをしている。

私はその様子を見ながら蕎麦湯を飲んでいる。
甘みなくきゅいんと洗練された汁をチロリ、蕎麦湯をゴクリ。



路地裏で今宵蕎麦酔蕎麦湯酔




(蕎麦打ち場ののし棒の収納アイディアにもびっくり。
こんなに大切にされているのし棒を見たのは初めて!)
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2015年02月20日

京都・夷川通寺町「ろうじな」


400年の歴史を誇る、京都・寺町通り。
南の方は賑やかなアーケードの商店街だが、京都市役所以北あたりは
骨董屋や茶舗「一保堂」などさまざまな老舗が点在する風情ある通りである。
その寺町通りから夷川通りにひょいと入ったところにある「ろうじな」。

惜しまれつつ蕎麦屋から割烹へと転身したあの「なかじん」等で修行し
2014年6月にオープンした新店である。

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店名はロシア語の「故郷」。
平仮名で書くとその意味以上のしっとりとした迫力を感じ
なかなか魅力的な店名だ。



外の看板。
通る人が次々立ち止まって見ている。
(張り切りすぎて開店前に着いちゃった私(^^;;))
左上の「お昼のお決まり」のあたりが特に熱い視線を浴びている。

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「お昼のお決まり(1300円)」
もりそば
しょうがとおあげの炊き込みご飯
生湯葉と青菜のお浸し
だしまき卵
つけもの

なるほど〜 これは美味しそう!♪


店に入るとすぐ右側に蕎麦打ち場があり
京都らしく奥に長い作りになっている。

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カウンターのみの店かと思いきや奥にテーブル席もあった。

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白木のカウンターとアンティークの和家具のコントラスト。

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黒板のメニューがまた大変素晴らしい。
メニュー本も別にあるがここに書かれているものは少数精鋭、
選びぬかれているのがよくわかる。
そして今月のお酒は「風の森」
いろいろと、ときめく〜〜〜♡


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静かで美しい店内・・・だが
開店と同時にお客さんが来るわ来るわ、2月の平日の昼間だというのに
あっという間にいっぱいになって驚いた。
お客さんは全員が全員「お昼のお決まり」を頼んでいる。
しかし相変わらず私の心はどうしても「もりそば」だけに集中している。

とは言え、
せっかく黒板で美味しそうなメニューをいろいろ見ちゃったので♡


「ゆば豆腐」
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お豆腐が予想外になめらかで甘い。
濃厚とろーんとデザートのようだ。
塩も汁もついてこない潔さも珍しい。
欲しい人だけもらうシステムなのかもしれないのだが
味が濃厚で美味しいので全く必要性を感じなかった。




「鴨のロースト」
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美しく上品な鴨のロースト。






「もりそば」
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「ろうじな」はカウンターがかなり高い位置にあるので
出されるものは全てカウンターの上にコトリと置かれる。
それを各人が自分の前に取り込むのだ。
しかしお蕎麦だけは大きなお盆に載っているので
「表〜彰〜状〜」
のように奥さんから手渡されることになる。
私がちゃんと持ったかどうか、
「いいですか?大丈夫ですか?」
と慎重に手渡してくれる奥さん。
捧げ受け取る瞬間、かつての「蕎麦 なかじん」での蕎麦受け渡しシーンを思い出した。
自家製粉、十日町産の十割蕎麦。


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美しく重なる端正な極細切りの蕎麦。
そこからフワーッと濃厚にただようさわやかなかぐわしさが私の脳を体を染める。
十日町産だが、八ヶ岳産の蕎麦にも似たイメージの強い野生。
口中で自在にほどける極細の束が心地よく
噛みしめるとクニュゥンと伸びるようななめらかなコシがある。
全身を吹き抜けるようなフレッシュな野生の香りに染まるひととき。



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汁は澄んだ鰹をスパーンと感じる、やや透明感のあるもの。
関西と関東のいいとこ取りのような美味しい汁だ。



実は冒頭で敢えて書かずにおいた痛恨の事実がある。
(痛恨過ぎてそんな書き出しじゃ始められないのでとりあえず封印した)

「ろうじな」では夜限定で「粗挽きそば」を始めたのだ!!

11時半の開店時間前にやる気満々でやって来てその事実を知った私は
そのままキャインキャインと道路を転げ回りたいくらいの悔しさ悲しさであったが
次回また来る楽しみができたということにしよう!!♪


次回は天ぷらも食べたいな〜
懐かしいあの天ぷらも、あるかな??(^o^)



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2015年02月19日

神田「眠庵」フランスの蕎麦とたまき庵


神田の路地裏、隙間の奥に潜む「眠庵」にて・・


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フランスの蕎麦粉で打った十割蕎麦を食べました!


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ぎゃ〜〜〜〜 黒い!
黒さもここまで黒ければ立派!
ジャリジャリもここまでいけば立派!
国内産蕎麦粉ではあり得ない激しさである。

神楽坂の人気蕎麦ガレット店「ル・ブルターニュ」にいた名職人さんが
ただいま本場フランスのブルターニュ地方で活躍しておりまして
その方が入手してくれたというフランスの蕎麦粉。

店主によるとフランスでは日本のようにまず蕎麦の皮を剥いてから製粉するという
発想も技術もないらしくとにかく皮ごとまるごとそのまんま!ガガガと粗挽きしてしまうので
この黒さになるらしい。
そしてそのガガガ粗挽きこそが、フランスの蕎麦ガレットの美味しさの秘密らしい。

というわけで、普段は自家製粉の「眠庵」だが
このフランス産蕎麦粉に関してだけは丸抜き(皮を剥いた蕎麦の実)の状態でなく
粉の状態でやってきたということになる。
これがその粉。

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素人目にはそんなに黒くもなく、どちらかというとピンクみを帯びて見えるが
これを打つとあの真っ黒になるらしい。
確かに外皮らしい黒い粒が見えている。

それにしても・・・
ただ「十割蕎麦」を打つだけでも難しく世の中では苦労している人がいるというのに
こんっっな荒い外皮がジャッキジャキに入った超粗挽き粉を
ヒョイッと十割でつなげちゃう技術って・・・
いろいろとタダモノではない眠庵店主だが、すごすぎる!



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もっは〜〜と濃厚にただよう、焦がしたような渋い香ばしさ。
味わいは土のような石のようなイメージで甘みはなくどこまでも素朴な渋さ。
フランスの空の下の広大な蕎麦畑を思い、しみじみとした気持ちになる。

それにしてもこの香り、どこかで・・
と思ったら、これはイタリアのピッツォッケリにやっぱりそっくり!
色の黒さもまさにこんな感じだったなあ。
ピッツォッケリとはイタリア北部の蕎麦パスタで
一昨年私はコモ湖の畔の「城」に招かれ
その郷土料理であるピッツォッケリ・パーティーに参加させていただくという
人生の大事件があったのだ。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/381895797.html

パーティーではあらかじめ濃厚ソースが絡めてあったので
日本でのように蕎麦粉の香りだけをムハムハ堪能するという奇行を展開するわけにはいかなかったが
おみやげに頂いた乾麺ピッツォッケリは
帰国して自宅でこっそりそのまま、何もつけずにいきました(^o^)
http://ayakotakato.seesaa.net/article/382463559.html

今回「眠庵」で食べたフランス産蕎麦の香りは
まさにこの乾麺ピッツォッケリを彷彿とさせるもの。
乾麺ピッツォッケリは半分以上デュラム・セモリナ粉が混ぜてあったので
食感にモッチリ感があったが(それでもあれほど黒く香り高いのだからビックリ)
この「眠庵」のは十割ときている。


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ところどころに荒い粒があるのではなく全部が荒い!荒い粒だけでできている感じ。
食感はややくだびれたような、ぐったりした感じだが、
そこに儚いコシを持たせて信じられないほど端正に美しくつなげている。
ジワ〜〜と口中に広がる渋い滋味深さ。
パリ・モンパルナスのクレープリー・ジョスランで
何度も私を悶絶させた蕎麦ガレットの美味しさは、やはり蕎麦粉にあったのだなあ。
私は本当に蕎麦という穀物の香りが好きなんだなあ。



ちなみに「眠庵」ではいつもこんな黒い蕎麦を出しているわけではもちろんない。
全国各地の蕎麦が産地別で二種類、日替わりで打たれている。
この日出会ったもう一枚は宮城の蕎麦。
仙台・秋保大滝近くにあった日本が誇る超名店「たまき庵」の製粉によるもの。

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ふわーーーっとこちらに飛んでくるかのように濃厚に漂うフレッシュな、たくましいかぐわしさ。
この濃厚さはすごい。
畑がそのまま鼻に飛び込んできたかのような感激!(どんな大きさの鼻の穴)
噛みしめるとアレレ、意外と味はさっぱりめ・・・と思いきや、
きたきたきたきた下の方から押し上げるようにジッワーーーと広がる味わい深い蕎麦の旨みが!


「たまき庵」からやってきた丸抜き(皮を剥いた蕎麦の実)。

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めくるめく思いに、涙が出そうになる。

たまき庵・・!

私にあんなにたくさんの思い出をくれた「たまき庵」が
思い出の中の店になってしまった。




2013年10月の「たまき庵」






posted by aya at 09:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月17日

京都・河原町「そば 酒 まつもと」


美しく趣深い外観の蕎麦屋は数あれど
ちょっとこの美しさ+便利さは突出している。
ロケーションそのものが凄すぎるのだ。

京都の繁華街「河原町」駅からすぐ。
裏寺町通りのさらに裏に本当に小さく美しい小路がある。
南北約60m、幅員2mほどの「柳小路」。
「はちべーさん」の名で親しまれる八兵衛明神が祀られたこの古い道は
数年前に石畳が敷かれ柳の揺れる情緒ある通りへと大変身を遂げた。

その「はちべーさん」のまさに真向かいに2013年9月にオープンした「まつもと」。
そのまま木版画にでもなりそうな景色だ。


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こんな風情爆発の美しい名店に
河原町駅からものの数分で到着出来てしまうありがたさ!
京都に来るたび電車とバスを乗り継いだりはたまた自転車借りたりして
苦労してお蕎麦屋さんにぶっ飛んでいる私には夢のような話だ。



カウンターのみの小さな店内はシンプルモダンな和の趣。
照明を落とした店内に小路の光が忍び込む。

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奥にはどっしりとアンティークな雰囲気の梯子段が天井まで続いている。

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町家風の雰囲気を出すための飾りかな?と思ったら
なんと2階の酒庫へと続く実用の梯子であった。
えーっ ここをお酒持って後ろ向きに降りてくるんですかあー!
余計なお世話は百も承知だがどうしても心配になってしまう(>_<)
とは言え若き店主ならではのワイルドな技、この梯子段が実用なんてかっこいいなあ!!



梯子段も「まつもと」ならではの斬新さだが
メニューの体裁もなかなかユニーク。
クリップで留めたメモ帳のようになっていて
その中に美味しそうなメニューがズラリ。

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「そば 酒 まつもと」と名乗るだけあって
日本酒は「秋鹿」はじめ各地の地酒が揃っている。
おつまみがまたセンスを感じる美味しそうなものばかり。
「花椒 蒸し鶏」なんてすごく興味を惹かれるし
「鴨出汁おでん」はおでん種が選べるようになっている。
お蕎麦屋さんでおでん!しかも鴨出汁!
ユニークでおいしそうで、すごーくよいではないですか〜(^o^)




お昼もオーダーできるメニューより
「わさびと焼き海苔 長芋ポテトサラダ」

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じゃがいもではないんですよ、長芋ですよ、
しかもマヨではなくチーズでコクを出している。
わさびと海苔がたまらないアクセントで、ちょっとちょっとちょっと
これはニクイ、ニクすぎるおいしさ!!




「鴨ササミ一夜干し」
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えっこれが鴨?
見た目も食感もまるきり魚である。
言われなければ鴨とは気づかないが
味わいをじっと見つめると確かにじわ〜と鴨の旨味。
こんなしみじみとした鴨のおつまみは初めて食べた。
いい肴だなあ。



「もりそば」
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ああ なんて嬉しい眺めだろう。
香りがここまで伝わってくるようなこのときめきを、
私はどうしていいか分からない。


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肌にゆらめくやや粗挽きの陰影。
そこから濃厚にたちのぼるさわやかで美しいかぐわしさ。
ああああ うれしい・・・・
口に含むと見た目よりしっかりとした舌触りだが固さはなく、
ずっしりむっちり豊満な食感たまらなく魅力的。
そこからですよ、豊かな地味深き味わいが、
口中の横方向にジワーッと広がるのです!
これにノックアウトされずにおらりょうか。
ふかっふっくらと噛み締める度に広がる旨み。
そのふっくらのひとつひとつが、粉の旨みに酔う時間になる。
おいしい〜〜〜おいしいよう〜〜〜
外には「十割蕎麦」とだけ書いてあったけど
このただならぬ美味しさは・・茨城かな?(^o^)



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汁は透明感のあるすっきりとした関西風。
見た目は薄いが塩分はしっかりあり、関西らしいきゅんとした酸味も美味しい。
お蕎麦が美味しすぎてまたまた一回もつけられなかったが
これはつけてもすごーく美味しいんだろうなあ〜


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私にとって蕎麦湯はお酒で汁はおつまみ。
もうひとつ蕎麦猪口をいただき蕎麦湯をゴクリ、汁をチロリ。
ああ〜 しあわせだぁ〜〜〜



店を出ると美しき小路にまたはっとする。
こんな素敵な小路の片隅で楽しい時間を過ごしていたことがあらためて嬉しくなる。


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さあ どっちに歩いて行こうかなー(^o^)




<おまけ>
雨の「まつもと」も素敵♡これは去年撮った写真。

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posted by aya at 11:03 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関西の蕎麦>京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月11日

朝霞「水魚亭」


東横線、副都心線が和光市まで伸びて
都心からのアクセスがぐんと便利になった「朝霞」駅。

駅からすぐの好立地、マンションの1階にピカーッと輝くお蕎麦屋さん。

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昨年12月22日、冬至の日にオープンしたばかりの「水魚亭」。
なにもかもが新しく赤い暖簾とポストがなんともキュートだが
通りからかなり奥まっているので雰囲気は静かなのがとてもいい。

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店内ももちろん真新しくピカピカ。
しかも予想以上に広い〜〜

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カウンター席が三箇所もあって、

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その上テーブル席もある。

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「手打ち蕎麦と地酒の店」ゆえ、珍しいお酒もいろいろ。

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お酒メニューに日付が入っているということは、次々変わるんだなあ〜♪



案の定、メニューに無いお酒がいっぱいありました。


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おお〜〜
ではこの右の「苗加屋 特別純米 琳青」 からいってみましょう!



らっきょう
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「苗加屋 特別純米 琳青」
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うわー これ、ものすごい私好み(>_<)
旨味がまろやかに深くてそれがスパッと切れる。
しょっぱなから大変だー 飲みたくなってしまうではないか!



メニュー名を見ただけですごーく美味しそうなおつまみ達。
あれとあれと、あれも食べたい♡

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「蛸とにらのぬた」
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みずみずしい弾力のある柔らかさ、蛸の火の通し方が実にいい。


「里芋と鶏肉の煮物」
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家庭的だがありそうでない取り合わせ。
ほのぼの、おいしい〜



私の目の前にはプチ盆栽が。

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松好き、盆栽大好きの私。
これは怪獣の卵みたいなモダンな器と松がいいバランスですねえ〜



「太刀山 純米 無濾過 生酒」
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おつまみが美味しいとついお酒がすすみます・・
と言っても相変わらず「酒量だけは小鳥」の私、
一種につきおちょこ一杯も飲んでないのですが〜(^^;;)

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うっ 濃い・・
これはなんとなくラベルからして想像した通り
お酒一年生(いつまで進級しないんだか)の私にはかなり濃い上にひねがはいっていて
かなりお酒上級生向きなのでした・・
上級生にはおすすめです♪




「春菊のごまあえ」
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ごまあえが春菊とほうれん草から選べるあたり
胡麻好きにはたまりません。
しかも黒胡麻あえとは珍しい。
甘みもしっかり、栄養たっぷり。



うっふん
ここからおつまみグランドフィナーレ、
一番食べたかったものにはいります。

「うずらの玉子の半熟(三個)」
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「水魚亭」にはうずらメニューが二つある。
本当は
「うずらの玉子の燻製(三個)」
っていう方にしたかったけどこの次が本命燻製なので
大人のブレーキかけてみました。
半熟も美味しい〜



「鴨はつの燻製」
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店に入った瞬間、なんと蕎麦メニューより先に目に入ってしまった
この美味しそうすぎるメニュー。
燻製大好き、お肉より内蔵好きの私にはたまらぬ美味しさ!!(>_<)
あまりにも美味しくて
「ズルすぎる、こんな美味しいおつまみ出したらみんなお酒がどんどんすすんじゃうじゃないですか!」
とつい言ったら
「アハハ〜 でも仕込みが大変なんですよ〜」
と爽やかに笑う店主。
本当にこの店主の笑顔には爽やか、という言葉が似合う。
大変でも、どうかこのメニューはお客さんのためにがんばってください!!


というわけで最後のお酒はこの右の「三笑楽」。

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こ〜れ〜が〜
さらに大人向きな上に私には海老?甲殻類?カブトムシ?系な香りを感じる・・
私のお酒の形容詞はお酒好きがひっくり返って笑うほど独特らしいので
どうぞ話半分にお聴き下さいませ(^^;;)
お酒好きには大変好評のお酒のようです♪




さあいよいよときめくこの時が!!


「水魚亭」のお蕎麦は「せいろ」と「十割せいろ」の二種類。

まずは「せいろ」から・・


「せいろ」
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シンプルながらちょっと珍しい塗のせいろ。
日本が誇る美しい眺めだ。

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美しい粗挽きの肌からふーっとただよう静謐なかぐわしさ。
口に含むとまずはっきりくっきりした輪郭線を感じるが、
すぐにその肌の粗挽き感に驚き、魅せられる。
うーんこれは他にあまりない食感だ。
噛み締めるとかなり硬めのコシが応えてきて、
そこから二八らしい味わいがむんむん膨らむ。
モグモグ夢中で食べるしあわせのひととき。



「十割せいろ」
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十割はビシッと黒塗りのせいろで。

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二八同様の粗挽き、しかし二八よりも美しい青さにまずときめく。
ドキドキしつつ箸先から香りを寄せると、さっきの二八に似た、
しかしそれをもっとストイックに研ぎ澄ませたような静謐な香りが穏やかに漂っている。
こちらも食感はしっかりめで最初の印象は二八にかなり似ている。
しかし見つめると繊細で密な舌触りといい、じわーと滋味深い旨みといい、
うーーん これまたたまらなく魅力的・・!!
同じ茨城の常陸秋そばだが二八と十割でこんなふうに違いが出てくるところが面白い。




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蕎麦粉が美味しいと蕎麦湯もおいしい。
蕎麦湯が美味しいと蕎麦後が長い。



 
今日は「自家製ごまどうふ」が売切れだったのがとても残念だったので
次回はそれ食べに参りますよ〜!


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posted by aya at 10:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>埼玉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする