2014年11月17日
半襟あそび。
着物が好きで、しかもなるべく古典的に着るのが好きなのだが
しょっちゅう着るので何もかも昔通りにするのは大変すぎる。
その最たるものが半襟で
「毎回着る前に縫い付け、一日着たら糸をほどいて洗濯、また縫い付け」
というのは今の私にはちょっと無理(>_<)
なのでたくさん持っている半襟にはすべてスナップボタンをつけ、
長襦袢につけたボタンにポチポチと留めて
簡単に付け替えできるようにしてある。
柄足袋などは履かないけれど、あらたまった時以外は
半襟は白でない方が普段着らしさが出るし
取り合わせが楽しいのです♪
2014年11月06日
2014年11月03日
兵庫・みなと元町「手打ちそば処 卓」
旅先で出会った親切というのはとても嬉しいものだ。
神戸、元町の商店街近くで例によって蕎麦屋迷子になってしまった私。
生憎その裏通りには歩いている人が居なかったので
仕方なく目の前にあったおしゃれな美容室の扉を開け
「ごめんください・・すみません、このへんに卓(たく)というお蕎麦屋さんはありませんか?」
と声をかけた。
すると奥から出てきた金髪イケメンのお兄さんは感じ良く
「卓(たく)・・あっスグルですね!えっとスグルは〜」
と身軽に店の外まで出てきて指をさして説明してくれる。
あ、タクじゃなくてスグルだったんだ(^ω^*)
でもそのお兄さんに言われた付近に行ってもまだ見つからなかったので
今度は喫茶店の前に何故か立っていた店員さんに
「すみません・・このへんにスグルというお蕎麦屋さんは・・」
と訊くと
「スグル・・?あっタクですね!タクはねえ、そこの角を・・・」
となんと私と一緒に歩き出してほとんど店まで連れていってくれてしまう。
なんて皆さんご親切なのでしょう!!
神戸、元町の皆様にかんげき(>_<)♡
おかげさまでたどり着いた、「卓(たく)」。
来てみれば賑やかな元町商店街から路地を入ってすぐ。
実に簡単便利な立地であった。
小さな素朴な店を勝手に想像していた私にはちょっと予想外の外観。
割烹居酒屋か何かのような印象だ。
店に入るとますますその印象は強まり、まず眼に入るのはカウンター席。
厨房には何人ものスタッフが働き、ホールではパートのおばちゃま達がテキパキ働いている。
私はカウンター席の奥にあるテーブル席に通された。
カウンター付近とは仕切られていて落ち着いた空間が奥に隠れている感じ。
席に着くとまず蕎麦湯を持ってきてくれる。
この「まず蕎麦湯」に関して語ると長くなる上に私のおかしさがますます露見するので
遠慮したいところなのだが勢いに任せて書いてしまうと
非常に嬉しいようなもったいないようなちょっとイケナイことをしているような、
私の蕎麦心を千々にかき乱すものなのだ。
要は常に蕎麦に飢えて鼻をクンクンさせている犬のような私なので
まずその日一番に身体に入ってくる蕎麦の感激、
その瞬間をめっちゃめっちゃ楽しみにしているわけです。
ああああああ やっとあなたに会えた、という。
なのでその瞬間はやっぱり「もりそば」などの「蕎麦切り」であって欲しいんですね。
でも「そばがき」も大好きなので「そばがき」があったら蕎麦の前につい食べたくなっちゃうのですが
まあそれはそれで、他ならぬそばがきさまですから譲りますよその瞬間のよろこびを。
でも蕎麦湯で、ってのはねえ・・・ちょっともったいないような気がしちゃうんですよねえ〜・・
また蕎麦湯ってのはどうにも美味しくていやでも五臓六腑に染み渡っちゃうんですよ。
なにしろこちらは蕎麦成分を吸うためのスポンジのような状態で来ているわけで・・
という(長い)、その心乱す蕎麦湯を全身に行き渡らせつつ、メニューを眺めてみる。
「手打ちそば処 卓」のメニューはシンプルだが、
どんな楽しみ方にも対応してくれそうな感じの
絶対的メンバー、プラス、季節のメニュー。
うん、これはいいなあ〜
しかもメニューにはただ「田舎もりそば 860円」と書いてあるが
頼むと「白にしますか?それとも殻ごと挽いた黒にしますか?」と
訊いてくれる。キャー (≧∇≦)/♡
そ〜んなの両方いくに決まっているじゃないですか〜!
その前にコレもいきますよ〜
「そばがき」
うっわー
写真では伝わりにくいかもしれないが
びっくりするほど大きな、シンプルな鉢。
その真ん中に「ぽちょん」と鎮座するそばがきさまは
何だか寂しそうですらあった・・・が、
味は見た目の100倍美味しい・・ナニコレーー!!
ふーっと香る落ち着いた、しか野生もふんだんに感じる素晴らしいかぐわしさ。
スプーンで取るとねとーっとした食感なのだが口にふくんでびっくり。
微粉の肌はごくなめらかでふっくら超エアリーな食感が最高。
そのエアーの中から野生のかぐわしさと、蕎麦の美味しさをバランス良く全部持ったようなバランスの良い旨味が
ぽふぽふといくらでもあふれてくる感じ。
ウワ おいっしーーー!!
北海道、沼田の蕎麦粉とのとこだが
こんなにおいしい沼田は初めて食べたかも?
「田舎もりそば(白)」
正方形のズシッとした陶器の器にやさしげな表情の蕎麦が
ひろびろとひろがってやってきた。
たぐりあげると不思議な柔らかい野生がふわーっ。
これも「そばがき」同様沼田産ということは、この沼田さんとっても個性豊かなんですね〜
しかもその不思議な香りはだんだんと淡くなってしまい
最後は濃い蕎麦の旨味だけが際立ってくるという珍しいタイプ。
見た目は柔らかそうだが一本一本はパラリと独立し口中で感じる輪郭線はっきり。
肌は超なめらかでやわらかいコシが絶妙だ。
「田舎もりそば(黒)」
黒と言ったからには黒い。
極細打ちの粗挽き。
大地のような海のような生々しさをもったかぐわしさ。
しかしそれだけではなく渋い墨のような
ストイックなたくましさを合わせ持っているのが素晴らしい。
ジャリつぶ感もかなりジャリッつぶっっと激しく
味わいはじわーーーっと濃厚に滋味深い。
実に個性的、そして美味しい〜〜〜!
汁はサラリと甘み少なく、醤油の風味を感じる端正なもの。
同じ汁が「そばがき」についてきたがその時は全く違う汁に感じたのが不思議だ。
食後「どうぞ」とデザートにとても綺麗な葡萄が。
店を出ると
「本日は売り切れました」のひとことだけでもいいはずなのに
本日の営業への感謝の心と丁寧な挨拶を毎日掲げる姿に
ちょっと見入ってしまった。
手書きというところがまたいい。
旅先で出会った親切や心動かされたものは、深く心に残るものだ。
2014年11月02日
兵庫・新神戸「そば切り 山親爺」
関西のお蕎麦屋さんでは、
東京にはない美しさに驚かされることがある。
それは坂道の途中にあった。
外観はカフェか雑貨屋さんのような印象。
看板らしい看板は何もないが隠れ家のような感じではなく
中の様子は通りから全部見えている。
大きなガラス扉の窓辺に座って驚く。
こんな居心地のよい、美しい時間が待っていたとは。
先客はさりげなくお洒落でやけにかっこいい若い男性が1人ずつ離れて2人と、
姉妹のようなおばあちゃんが2人。
おばあちゃん達は壁際にちょんと並んで座っている。
何ですか何ですか、このニクイ程すんばらしい客層は!!!
外は霧雨。
無音の店内には店の奥さんの静かな接客の声だけが時折するだけ。
飾らず自然な奥さんの接客はこの店のイメージそのままだ。
メニューはテーブルにはなく
壁に大きくわかりやすく書いてあるだけというのもとてもいい。
「すじにくの煮込み」
煮肉好きゆえついつい頼んでしまう大好物。
牛すじ、こんにゃく、人参、大根。
「手挽き」
わわ わわわわ
このもんのすごいザックザクの風情・・・
と、鳥肌が・・・!
この、驚くほど個性的な肌。
水分をいっぱいにまとったみずみずしい粗挽き肌は
やや太打ちながら不思議な軽さがあるブワンとユニークな食感。
最初は水分のためか香りがほとんど感じられなかったが
食べ進むうちにちょっと個性的な野生の香りを放ち始めた。
強いて言えば水に近いイメージの香り・・
味は最後まで淡くさっぱりとしている。
ざらついた肌の舌触りは独特で、水泡のような小さな穴が無数にあるような感じ。
私の大好物の、ごく素朴なタイプの手作りこんにゃくにちょっと似ているかも?
みずみずしい軽さの中にジャリッつぶっという刺激が軽やかに混じっている。
稀有な個性!
本日の蕎麦は全て福井だそう。
「細切り」
木枠のせいろの風情も素晴らしく、
これまたたまらなく美しい眺め・・・
先程の「手挽き」の肌が強烈だっただけに
こちらはぐっとやさしい印象の粗挽き肌。
口に含むと、こちらも先程の「手挽き」同様水泡のようなざらつきがあり、
しかし「手挽き」よりも食感の密度が濃く味も香りも濃厚。
うわあ 美味しい・・・
落ち着いた石のようなイメージの静かなかぐわしさを追いかけるひととき。
「太切り」
出たー!
この窓辺の光に浮かぶシルエット、すごい迫力・・・
太打ちを注文した客には
「うどんより太い位ですが・・」
と奥さんがその都度断っている通り容赦ない太さ。
西のお蕎麦屋さんは太いと言ったら本気で太いことが多い。
角の立っていない、やさしい趣の極太。
この蕎麦もまた表面に水泡のようなざらつきがあるが
みずみずしいため舌触りはするんとしている。
噛み締めるとと先程の「細切り」と同様の
落ち着いた正統派の蕎麦粉のかぐわしさがさらにしっかり感じられ
噛めば噛むほど美味しい〜〜〜たまらない〜〜〜
例によってまたまた何もつけずに食べきってしまったが
気づけば傍らには奥さんが持ってきてくれていた
それぞれの蕎麦用の汁類があった。
太打ち用にたまり醤油。
手挽きには細かな雪塩。
普通の汁もたまり醤油使用で、
甘み少なくキリッと濃いめの味わいが美味しい。
蕎麦湯。
器はやちむんをはじめ温かみのある素敵なものばかり。
厨房横の扉の前には、この店にぴったりの雰囲気の縄のれん風の暖簾があった。
帰りがけに訊くとなんと奥さんが作ったという。
縄紐の間に白っぽい綺麗な石がランダムに縛ってある。
ナチュラルですごく素敵なアイディア。
センスのいい人だなあ〜
ひょいと顔を出した山親爺・・ではなく店主の笑顔も実に素朴で感じが良く
旅先で素敵な場所を見つけた喜びにしみじみ。
店を出ると雨上がりの坂道。
振り返ると看板のない店の時間は
なんでもなさそうに続いていた。
2014年11月01日
兵庫・兵庫「久庵」
兵庫駅から徒歩3分。
久庵という名前から勝手に純和風の渋い店をイメージしていたために
珈琲屋さんのような洋風の外観にちょっと面食らった。
店の外には
「自家製粉 十割そば」
「自家碾き そば店」
「そばの香りと甘さをお楽しみください」
など美味しい蕎麦への誇りが感じられる表示がいくつも。
細かいメニューも出してあり、
「田舎そば 手臼超粗挽き20メッシュ 生粉打ち十割」
なんてモノスゴイのもある。
私は開店時間ちょっと前に店の前に着いたのだが、
時間ちょうどに店主らしき人が暖簾を出した途端、
どこからともなく人がわらわら現れ2組も店に入っていくので驚いた。
ヒー!人気店はたいへんだ!
外観同様店内もおよそお蕎麦屋さんらしくはなく
カウンターの中では店主ともう一人女性が忙しげに働いている。
入り口には漫画や雑誌の棚、上に片倉さんと高橋さんの本。
BGMはジャズピアノだ。
私は是非とも前述の
「田舎そば 手臼超粗挽き20メッシュ 生粉打ち十割」
というのが食べたかったのだが、残念ながら土日限定とメニューに書いてある。
でも、でも、今日は祝日だし、もしかしたら・・?(*≧▽≦)♡と
万が一の期待を込めて聞いてみると
「書いてある通りです」
と言われてしまう。がーん。
き、訊き方が悪かったのかな、と思ったが、
隣のテーブルでも他の質問に同じ回答だったので
きっと忙しい中いろいろ訊く人が多過ぎるのだろう。
「そばがき」も食べたかったがこちらは「夜限定」とのことだったので
それも残念・・・
でもいいのです、今日は「せいろそば」だけ、
あなただけを見つめます、愛します!
「せいろそば」
メニューに「160グラム余」とあるとおり
三ッ山盛りのたっぷりお蕎麦。
美しく端正な細切り。
白く明るい肌は微粉のごくなめらかな舌触りで
くにゅんとやわらかい食感。
香りはごく淡く、味わいもさっぱり。
しかし食べ進むうち、くにゅん肌の中から
墨のような落ち着いた味わいが静かにあふれくるようになり、
こんなに香りも味も上品すぎる印象ながら
汁もつけずに(通常運転)一気に食べてしまう。
本日は茨城の蕎麦。
汁はスッキリ甘み少なく、鰹がしっっっかり効いている。
薬味の山葵もとてもいいもの。
最高級合鴨使用という「鴨せいろ」のつけ汁はこんな感じ。
せいろのつけ汁同様、鴨汁も鰹出汁がガツンと効いている。
最後は蕎麦湯でのんびり。
セット物や単品おにぎりに使われているという
「コシヒカリのそば茶ごはん」
というのもおいしそう〜〜♪( ´▽`)