2014年10月31日
祐天寺「「蕎や 月心」
駅からはちょっと歩くが
その先にはこんな入り口が待っている。
心をぽっと照らしてくれるようなあかり。
暖簾をくぐり、扉を開けるとそこは「月心」の世界。
私はいつも、この店に入っただけでとても嬉しい気持ちになる。
こぢんまりとした店内はほっこりとあたたかく可愛らしい雰囲気で
ああ素敵なところに来たなあーとわくわくする。
私にとっては駅から遠いことが嬉しくなるくらい
「こっそり、素敵な小さな世界」なのだ。
私自身も嬉しいが
ここに人をお連れすると必ずたいへん喜んでもらえる。
素敵な空間、美味しいもの、美味しいお蕎麦。
いつも本当に楽しいひとときを過ごすことができ、
私は何もしていないのにとても感謝されてしまう。
そうそう、拙著「蕎麦こい日記」の出版記念&打ち上げをしたのも
ここだった。
「お通し」
お店は可愛らしいがこんなところはバシッと古典的。
王道の蕎麦味噌。
「なす田舎煮」
じんわり出汁の味がしみ、程よく油分の効いた美味しい茄子。
しみじみ、美味しい。大好き。
「鴨ハツしょうが煮」
シンプルなようで家ではなかなか作らないメニュー。
これを定番メニューにするアイディアそのものが素晴らしい。
味もとてもよく、大事に大事にひとつずつ食べる喜び。
「そばがき」
「月心」のそばがきは薬味リッチ♪
しかもなんとも古典的で洒落た演出だ。
焼き海苔は立派な塗の木箱入り。
その他、ねぎ、山葵、辛味大根、造り正油、天然粗塩など。
大鉢の中の温泉で、気持ちよくあったまってやってきた
ほかほかそばがきさん。
見た目はのんびり風だが箸先にぽてっと取ったその香りに目がさめる。
石のような、静謐なかぐわしさ。
微粉のなめらかな肌を口に含むと
ふっくらぽわんとした食感がたまらないー!
思わず子供のように「ぽわん♪」「・・ぽわん♪」と何度も声に出してしまう。
素晴らしい舌触り。
ふっくらぽわんのなかからこぼれるかぐわしさに恍惚・・
「細挽せいろ」
姿も味も、ネーミングまでも美しい「月心」の「細挽(ほそびき)せいろ」。
白木に縁取られた、神殿のごとき清らかな眺め。
「細挽」との名前なれどこれもかなりの粗挽き、ときめきの肌!!
最初の香りは思いの外ごく淡かったが
どうもかなり冷たくしっかりしめられていたので
早く食べたい気持ちに必死でブレーキをかけつつ
一生懸命ゆっくり食べる・・そのうちにたまらぬ香りが溢れ出してきた〜!
食感も最初はしっかりはっきり流麗な感じだったが
食べ進むうちに優しく繊細なコシがあらわれてきてうっとり感激。
さらにそこからふわーーっと
なんともバランスのよい、馥郁たるかぐわしさが現れてきた・・・
その香りが最終的に脳にはっきりと届いた瞬間、私の脳が「茨城だ!」とつぶやいた。
あとで茨城、筑西の蕎麦と知りなんだかとても嬉しい。
「玄挽田舎蕎麦」
ぐほほほっっっ
もう〜〜何度出会っても嬉しすぎるこの眺め!!
そしてこの「玄挽田舎蕎麦」ってネーミングも本当に好きだなあ〜
「細挽きせいろ」と全然ちがうネーミングだけど
両方それぞれに詩のように、好きな人の名前のように私の心に響く。
これまた最初は香りさっぱりめ。
たくましく弾けるようなくっきりした固めの食感。
そのうちになんともふっくら優しい肌の中に「細かい粗挽き感」が感じられるようになり、
口中をなでる繊細でやさしいジャリジャリな刺激がたまらなくなってきたーー!
香りはどんどんどんどん濃くなり
たくましく黒く渋い香りに私ごと頭から吸い込まれるよう。
ああああああ もうダメです・・・ しあわせすぎる・・・
こんな素敵なお店であるから、駅から遠い暗闇の中にあるというのに
この夜もお客さんが次々と入ってきてあっという間に満員。
しかし私はあまりの居心地の良さにのんびりしすぎて
ほぼ一番乗りで入店したというのにほぼビリになってしまった。
実は「長陽福娘 純米ひやおろし」もちょこっと舐めちゃったしね〜
静かな店内。
ここについ先程まで流れていた和やかな、楽しげな賑わいのひとときを思い起こす。
今夜の「月心」の世界に、身をゆだねる。
帰り際に挨拶した店主夫妻の素朴な笑顔。
この気持のまま、駅まで歩きたいのだ。
「蕎麦喰って月追いかけて暮の秋」彩子
2010年12月「蕎や 月心」
2010年01月「蕎や 月心」(「蕎麦こい日記」打ち上げ)
2014年10月30日
淡路町「松竹庵 ます川」
「淡路町」駅、「小川町」駅、「神田」駅。
すべての駅から近い好立地にある「手打ち蕎麦と天ぷらの店」。
車通りの多い都会の大通りに揺れる清々しい暖簾に心が洗われる。
店に入りその雰囲気に驚く。
まず眼に入るのは板さんと数人のスタッフがキビキビと働く大きなカウンター。
活気ある店内には天ぷら油の華やかな香りがただよい、
カウンターに飾られた旬の野菜の彩りも美しく
「蕎麦と天ぷらの店」というよりまるっきり天ぷら専門店の体だ。
もっと蕎麦屋っぽい店を想像していた私は
一気に華やいだ気持ちになりめちゃめちゃウキウキしてきてしまった〜(≧∇≦)
「松竹庵 ます川」は創業150年以上という老舗。
このスタイルの営業になってからは2年目で、現在は若き8代目が大活躍。
明るい笑顔が印象的な仕事ぶり、接客ぶりで
店内には実に清々しい空気が流れている。
うーん、まだなんにも食べていないけどこれだけでもう名店だ!
目の前に置かれた新鮮な野菜達、その鮮やかな彩り。
この雰囲気じゃあ、ほとんど飲めない私も飲みたくなってしまうではありませんか〜
お酒のセレクションも素晴らしすぎ!
私が大好きなのがズラリ♡
「手取川 ひやおろし 純米大吟醸」
むはっ
おいひーーーい!!コレ好きーーーー!
なんだか私最近前よりは濃いめもイケるようになったらしいです( ◔ิω◔ิ)
いやもともと薄いのはイヤなんですが・・
入り口は澄んでやさしくあとでふくらんでコクのあるようなのが好きなつもりなんですが・・
お酒素人の私の発言はお酒好きの方から見ると相当ズレているらしい(^^;;)
それにしてもこの器、個性的で素敵だなあ〜
ちょっとあべさん的なものも感じるユニークさ。
初めてなので本日はコースにしてみました。
「前菜」「旬の天ぷら」「十割蕎麦」「デザート」。
「前菜」
「車海老」
頭の思い切ったパリッパリがすごい。
身も見た目以上にプチプリッと食べ応えがあって大満足の海老だった。
ここで店主が思い切り大きな赤茄子に包丁を入れ始めた。
見ているだけでいかにもふっかふか、やわらかくて美味しそう〜
「熊本の赤茄子」
油をたっぷり吸ってアチアチのふーっくら、すごいご馳走野菜!
「めごち」
なんだか懐かしいようなしみじみとした美味しさ。
「アボカド」
アボカドの天ぷらなんて初めて。
ネットリ濃厚さがますますリッチになって美味しい。
「名残鱧」
天ぷら割烹の雰囲気を楽しんでいたところに
突然「お蕎麦の準備をさせていただきます〜」と
蕎麦猪口や汁徳利が運ばれてきて我に返る。
生まれた家に帰るような気持ちで、お蕎麦屋さんモードに(^o^)
「十割蕎麦」
わぁー きれいな青緑!
美しくおおらかな印象の、北海道・摩周の新蕎麦だ。
氷水でキンッキンにシメられたつるつる流麗な肌。
石のような静謐なかぐわしさがひんやりただよい
するりつるりと流れるような食感が実にさっぱりと清々しい。
天ぷらを食べた後には最高の流麗蕎麦だが
もっとその味わいを見つめたい私は一生懸命ゆっくり食べてみる・・
するとさらに出てきました出てきました・・・
やさしい肌の舌触り、そこから膨らむ
フレッシュなキタワセの清らかなかぐわしさ。
ああ 素敵なお店だなあー
デザートは
「酒粕のブランマンジェに巨峰のコンポートソース」
という洒落たもの。
すっかり豊かな気持になったところへ
蕎麦湯が運ばれてきてますますのんびり、幸せな気分。
木や竹が用いられたシンプルな和の空間。
目の前では休むことなく新鮮な魚介や野菜が素早く美しくさばかれ、揚げられている。
カウンターにはサラリーマンや数人のグループが穏やかに集い
特にそれぞれ蕎麦をたぐる姿が私には際立ってまぶしく美しく見える。
流麗に、立ち上るようにあちこちでたぐり上げられる蕎麦。
日本の美しい昼の風景がここにある。
(私、蕎麦の風景が好きなあまり
いつも人が食べている蕎麦をうっとり見過ぎなんですよね・・
自分は食べ終わったのに、お腹が空いた子供みたい?(^^;;))
(店内賑わっているので入口の方だけそっと撮る。)
そして最後のびっくりは帰りに入口付近で目撃したこの写真!!
ええー店主さんすごい方なのではないですか!!
スキーが大好きで、スキーの上手い人を無条件で尊敬してしまう私は口あんぐり。
なんと店主は現在も休日はスキーのコーチとして活躍しているそう。
「アハハ痩せてた頃の写真ですよ〜!」と笑わせつつ謙遜する姿もさわやか。
しみじみ、楽しいお昼だったなあー
2014年10月29日
伊豆急下田「いし塚」
実はかなりの温泉好きの私・・
だって蕎麦の感動は首から上だけで感じますけど
温泉は全身じゃないですかー!
泉質第一、源泉かけ流し命( •̀ .̫ •́ )✧
伊豆の最南端に大・大・大好きな温泉があり、
何度行っても湯船でさめざめと感動泣きしたくなるくらいなのだが
東京からだとやっぱり遠い。
しかも泉質を考えるとなるべく早い時間に行きたいため
いつもお昼のお蕎麦に困ってしまう。
というわけで温泉の前は大抵ここ♪
休日ともなれば観光客で大行列、大人気の「いし塚」。
店内は大きな座敷になっている。
今日は開店直後だったのでなんとかすぐに座ることができた。
ザ・一茶庵系な堂々たるメニューがかっこいい。
私たちが座ってすぐにもう入り口付近には行列が出来始めた。
イケる口の親友深雪ちゃんはこんなことしてます。
温泉前に「国光の純米」。イヨッ粋だねっ(^o^)
深雪ちゃんがとった
「そばとろ」
うっはー 大きな器にたっぷりとろろの雪景色。
おいしそぉ〜♡
お座敷担当のおばちゃま達は甲斐甲斐しくテキパキ働いているのだが
私たちのテーブル担当になったおばちゃまがなんともおちゃめ。
余計な愛想は使わず、でもついいろいろお世話したくなっちゃうタイプらしく
「これは、これで食べる!」「これはこうして!」と薬味などの食べ方をそれぞれ指導!
しかし言った後であまり断言してしまった自分にハッと気づき
「ごめんね、では、ここに置いていきます」
と言いつつサーッと次の仕事に走っていく。
その生真面目な言い方がなんとも憎めない感じで可笑しい。
そして私は寝ても覚めていつもコレ。
「おせいろ」
清々しく目に映る端正な姿、明るい色の肌。
ふーっとただようさわやかな、すこし野生も感じる蕎麦の香り。
繊細な輪郭線、王道のコシ。
二八らしい甘みや味わいもさっぱりと感じられ
ひんやりとした夢は瞬く間に消える。
本当は「そばがき」も注文したかったが混雑時はできないので
次回こそ是非空いている時に来たいものだ。
外の行列もすごいことになっているし長居は禁物。
さぁー 温泉だ 温泉だぁ〜♡
帰り「黒船クルーズ」もしちゃった!
2014年10月28日
新江古田「じゆうさん」
今夜は、お蕎麦大好きの大切なお友達と一緒なので
絶対に美味しいお蕎麦を食べたい。
じゃあ「じゆうさん」だ!
若き異能の店主の、ここにしかない絶品蕎麦を食べに。
拙著「蕎麦こい日記(飛鳥新社)」において
私が是非にと紹介させていただいた
「敢えて新蕎麦を出さないお蕎麦屋さん」。
新蕎麦は色や香りは素晴らしいが味わいには欠ける場合もある。
もちろん全て一概には言えない話だが、保存方法が完璧であれば
1年前2年前のものの方が甘みや味わいが深まり、
じわわわ〜っとたまらぬ美味しさが引き出されてくる。
例えば1年前入手した極上の玄蕎麦を完璧な状態で管理し、
その熟成度合いを毎日見つめながら最高の状態に持っていき
見極めた「その時」に自家製粉してすぐさま蕎麦を打つ・・・
はっきり言って新蕎麦を出すよりよっぽどよっぽど大変なのだが
美味しさのためならどんな手間も惜しまぬ蕎麦職人が
今の日本には居るのだ。
ぐっと照明が落とされた、落ち着いた空間。
「ぜんまい」
一般的なものよりずっと太くたくましいぜんまい。
ごま油かな?豊かなボリュームある味付けで
どーんと迫力ある山のご馳走だ。
「竹やぶ」出身のお店ではお馴染みのメニューだが「じゆうさん」のは
ボリューム感とさっぱりのバランスが美味しくて大好き。
「つるむらさきと無花果のサラダ」
季節のメニュー。
つるむらさきも無花果も大好物なのでこれは頼むに決まっている!!
素敵なメニューだなあー
「生ゆばと豆腐」
「荒挽きそばがき」
ギャー 来たー!
「じゆうさん」では絶対に頼まなくちゃの「荒挽きそばがき」。
ものすごい荒挽き感、ものすごいフレッシュな美味しそうさ!
無数の粗挽き蕎麦粒に吸い込まれそうな肌。
見入れば白や新緑のような緑の粒が揺らめき
穀物と言うより野菜のかたまりのようなそばがき。
ふわぁーー!とふんだんに香る、青く美しい最高のかぐわしさと
モチッどろ〜つぶつぶつぶ〜〜 とした舌触りにうっとり!
お蕎麦は「せいろ」と「田舎せいろ」を頼み
いつものように順番はおまかせでお願いする。
と、ここで大事件発生。
空いていたこのお隣の席にカップルがやって来て
その女性のほうがとっても綺麗な人だったので
わー綺麗だな〜、なんて最初はのんきに思っていたのだが。
その方が、た、大変ゴージャスに香水をまとっていらしてですね・・・(>_<)
もう蕎麦犬&蕎麦好きお友達は、悶絶の大ピンチ、大パニック!!
時は今まさに、愛するお蕎麦さまをお迎えするという瞬間。
ああ何たるこの不運・・・
ただでさえ
「蕎麦が出てくるとなぜか嗅覚が普段の100倍位になり
店内中の香りが鼻の中に入ってきてしまう」
という深刻な疾患を持つことから蕎麦犬を自称している私には、
これは冗談じゃなく危機としか言い様のない状況なのだ。
もうデパート化粧品売り場にいる気分になるくらい、
鼻先を香水にドボンとつっこんだような気持ち。
綺麗なお姉さんお願いです、
そこにいらしてももちろんいいのですが
しばし動かないでいただけると大変助かります、
ああっそんな、ジャケットをバサバサやっては・・!ヒィィ〜〜〜!
「田舎せいろ」
感涙。
美しい肌が私の目を、心を底から奪う。
黒々と、土佐和紙のような趣にみちた肌。
蕎麦犬、集中します。
右の方から押し寄せてくる南国の花のような強烈な香りを心眼で無視し、
今この世に在るは愛するあなたと私だけ・・・
最初に出会ったのは、しずかな香ばしさ。
それがだんだんと深くなりその深さに目を見張る。
甘さやさわやかさなどは見えず、シンプルにただその深さに溺れるひととき。
南国の花は全面無視!心眼で排除!!
ああああ なんと素晴らしい「田舎せいろ」!!
ざらざらの肌はずっしりしているようで
たぐると独特のみずみずしい軽やかさも感じられる。
ざらついているのにすべらかでたぐりやすい繊細な粗挽き。
今日は黒姫の蕎麦。
「田舎せいろ」を食べ終わり、次の「せいろ」までにちょっと一息。
なにしろ愛と危機が同時にやってきたのだから大忙しなのだ。
でも危機とか言いながら
本当は2人ともこのあまりのタイミングと犬過ぎる自分たちが可笑しくて
クックッ大笑いしてたんですけどね・・(^^;;)
お隣のカップルも食べるの大好きのようで、
おつまみを盛大に注文し、とっても楽しそうにしている。
「せいろ」
大きな四角いせいろの上に広々とひろがるやさしい風情。
今日の肌はやや赤みを帯びている。
ムンと強くただよう甘い香り。
姿は素朴な粗挽きに見えるが舌触りはなめらかで繊細。
ふっくらと自在なコシといい、甘く優しい味わいといい、
二八の良さと十割の良さを併せ持ったような赤城の十割蕎麦だ。
今夜は途中大ピンチもあったが、
「じゆうさん」への長年の愛を込め全身全霊で集中し
その姿、香り、味を見つめた時間もまた楽しい思い出。
お隣のカップルも、「せいろ」「田舎せいろ」を2枚ずつ注文している。
みんなここのお蕎麦が大好きなのだ。
若き異能の店主の、ここにしかない絶品蕎麦。
「おあげ温そば」っていうのも気になるなあ〜♪
2010年09月の「じゆうさん」
2010年04月の「じゆうさん」
2014年10月25日
代田橋「手打蕎麦 まるやま」
私にとって国内屈指の「書くのが苦手なお蕎麦屋さん」。
要は好き過ぎて感情が大きすぎて、
それを文字に変換するという作業が非常に困難なのだ。
蕎麦の超絶な美味しさ、店の雰囲気、店主夫妻の人柄の素晴らしさ。
何もかもが大好きすぎて感情が頭のてっぺんまで沸騰してしまい(日本語までおかしくなるほど)
その巨大な愛をどうしてよいやら全身のジタバタをこらえつつ書くこのつらさ。
本当はただただ、わおーんわおーんと遠吠えしていたいのだ。
実際、過去この店について私が書いた文章は
単なる雄叫びのような、やまびこのような・・
その超・超・超名店は甲州街道沿いにのんびり〜と、ある。
店内ものんびりと普通・・・そうでいて、
この特別な居心地の良さは一体何なのだ。
気取らぬ飾らぬおもてなしの心が伝わる空間・・・とでも言おうか。
何が他の店と違うのかわからないが
この素朴で、清潔で、あたたかな雰囲気は私には唯一無二のものだ。
そしてね。
出てくるものがもうみんな泣けるほど美味しいわけですよ。
「蕎麦豆腐」
蕎麦の風味、素朴な香りがじわ〜と伝わる、
ねっとりさっぱり小さな蕎麦豆腐。
普通の豆腐のようなストレートな甘味はなく
なんとも言えない滋味深さが美味しい〜〜
「玉子焼き」
出たーっ大人気「まるやまの玉子焼き」!
写真でも十分伝わってしまうであろう、この美味しそうさ・・・
甘い味付けが苦手な私は、普段玉子焼きは断然「だしまき卵」派。
甘辛の江戸風玉子焼きはそんなに〜・・のはずなのに、
どうして「まるやま」のはこんなに美味しいんでしょうね〜〜
でもこの玉子焼きのファンはめっちゃくっちゃ多いので
どうしても何もありません。
家庭的で豊かなほのぼの味と、プロ技見事なふっくらボリューム。
ただただ、美味しいのだ!!
そして、
ぐははははは・・・
ぐははははははは・・・
アニメの悪役風に高らかに笑いたくなるほど、
世界征服したような気持ちになってしまう、このまるやま名物。
御覧下さい!
どっかーーーん!
「穴子天ちらし」
このボリューム感は写真じゃ全然伝わりません。
たーっぷりの野菜天の下に、どーんと大きなあなご天!
この、まるやまの「あなご天」については
手短に書くのは本当に困難なのであります。書くのが嫌になるほどの美味しさ。
以前当ブログにおいて「日本一美味しい」と書いたら「いや、宇宙一です!」との
コメントを頂いたほど大人気のまるやま名物「あなご天」。
ふっくら肉厚のおいしい〜〜〜〜穴子が
がっつりバリンとこれまたおいしい〜〜〜〜に衣に包まれて
もう、もう、今日は蕎麦を食べずにこれだけでもいいかも思うくらい(思うだけ)
わおーーん わおおおーーーん・・・・
「鴨焼き」
これがまた・・ところどころ手を抜いてもいいんですよと言いたくなるくらい美味しい。
同じ鴨焼きでもまるやまは何故こんなに美味しいのだ!
ふっくらとした食感と鴨肉の旨味。
同席の、本日まるやま初体験のWhitaker嬢もびっくり大喜び!!
こういうさりげないおつまみ達も、
どれも家庭的なほっこり感を感じつつプロのセンスが行き届いている。
参っちゃうなあ〜〜ほんとに!!
「揚げそばがき」
裏メニュー?の揚げそばがき。
今日は集まりの趣旨?的にお酒は頼んでいないのだが
このガッツリたまらない美味しさは猛烈にお酒に合いそう。
揚げたお醤油のたまらないこうばしさと
中から現れるふっくらむっちりのそばがき・・・
キャー ヤメテー おいしすぎる
そしていよいよ・・・!
まるやまに来てこれを頼まなかったことは一度もないこちら。
「二種せいろ」
・・・もう、
どうしていいかわかりません。
感激と愛が体内で爆発し
口からは「ヒャッホウ〜〜!!ヨロロイホ〜〜〜♪」という
昭和な奇声が飛び出す始末・・・
でも、私が悪いのではありません!!!
♪黒〜と白と〜の間には〜〜〜♪
たった今奇声を上げていたのに今度は中島みゆきの替え歌を実際に歌ってしまうという
この末期的な壊れ方。
まだ食べてもいないお客さんをこれほど狂わせる(私だけか)まるやまの蕎麦の破壊力。
だってだって、この「せいろ」のふっくら肌にゆらめく蕎麦粒子の美しさ・・
ムンムンに香りをまとっていそうな「田舎せいろ」・・
ああ私、この間に住みたい・・・
「せいろ」
ふわーっと豊かに香る、フレッシュでさわやかなかぐわしさ。
てびねりの陶器のような素朴な輪郭線、ふっくらとやさしい食感。
その中から広がるしろいイメージのやさしい滋味。
とか一生懸命形容してますが、実際はもう美味しすぎてしあわせで何が何だかわからない。
低い声で、ンー!ンー!ンー!とか
ウウ〜〜、ウウ〜〜とか、アラーム音かバイブレータ音のような
おかしな音を発しながら食べる人・・
もう恥ずかしいのでこれ以上書きません・・・
だから書くの苦手って言ったじゃないですか・・
「田舎せいろ」
泣きたいほど香ばしく、しかもフレッシュな黒い香り。
むっちりふっくらした肌はやさしく豊かなコシを持ち
そこからいくらでも溢れ出すこうばしい滋味が私を染め尽くす・・・
(>_<)
(>_<)
わおおーーーん わおおおおーーーん
今日もまた「せいろ」も「田舎せいろ」も
どちらが好きか全く選べないほど最高の美味しさ。
帰り際にはこれまた筆舌に尽くし難いほど素敵な店主夫妻の笑顔に見送られ・・
わおおーーーん わおおおおーーーん
2012年10月の「手打蕎麦 まるやま」
2012年6月の「手打蕎麦 まるやま」
2011年12月の「手打蕎麦 まるやま」
2011年07月の「手打蕎麦 まるやま」
2010年10月の「手打蕎麦 まるやま」
2010年3月の「手打蕎麦 まるやま」
2014年10月24日
下丸子「蕎麦nicco」
下丸子にできた新しいお蕎麦屋さん。
可愛らしい店名は雑貨屋さんか何かのようだが
由来を店主に尋ねて感動してしまった。
奥の厨房から顔を出し、少しはにかみながら
「お蕎麦を食べてニコニコしてほしいからです・・」
(>_<)
(>_<)♡
なんて可愛らしい、ステキなお店・・・!
駅から徒歩5分、角に佇むスタイリッシュな外観。
入口にあったメニュー。
オープンしたてにつきまだメニューは少ないそう。
店内はぐんと照明が落とされクールな雰囲気。
箱のような蕎麦打ち場がユニークだ。
「お通し」
お通しが野菜であるのはとても嬉しい。
しかもこんなすっきりとしたお浸しであるのはもっと嬉しい。
開店祝いで(勝手に(^^;;))ノンアルコールビールを飲んだ私(^^;;)
「香ばしい焼味噌」
スタイリッシュな店ながら
出てくるものは正統派、王道のスタイルであるところが嬉しいところ。
甘めの味噌と香味野菜の豊かな香り。
「長芋のもっちり揚げ」
長芋って揚げると(揚げても♡)美味しいですよねー!
シンプルで豊かな山のごちそう。
「醤油麹で漬けた焼き鳥」
醤油麹というのが面白い。
確かにちょっと珍しい、しみじみとしたボリュームのある味わい。
お肉もふっくら〜♪
「せいろ」
わー!
正方形の陶器の器に、端麗な蕎麦がおおらかにたっぷり。
すっきりと、美しい眺めだなあ〜〜
ふーっと静かに伝わってくる、ちょっと個性的な野生の香り。
女性的な印象を受けるほど繊細、端整な舌触りと
絶妙のふっくらしたコシを持つ正統派の二八蕎麦。
食べた瞬間「北海道」という文字が私の脳裏に点滅したのだが
やはり北海道・黒松内のお蕎麦でした(^o^)
(店内暗めにつき、せっかくの美しい肌を撮りきれなかったのがちょっと残念・・)
ぶっかけ大・大・大好きながら
普段は人生をせいろに捧げ過ぎてなかなかたどりつけないのだが
今日はここまで来られました!わーい!
「いろどりそば(冷)」
「かつおぶし、千切り大根、三つ葉、揚げ蕎麦」
これまた王道スタイルのぶっかけながら
蕎麦の実を揚げた「揚げ蕎麦」というのが蕎麦犬としてはかなり嬉しいところ。
香ばしいぽちぽちのなかから蕎麦の風味がこぼれる喜び!
いやーぶっかけって本当に本当に罪な存在だ。
美味しいお蕎麦にこんなに美味しいものばかりのっているんだから
美味しいに決まっていますよねえ〜〜!大好きすぎる。
なのに食べている間じゅう「ああお蕎麦だけで食べたい」
という思いがグルグルするという悩ましいお方・・
単に私の蕎麦煩悩の問題なのですが。
静かな店内には
近所の親子連れや会社帰りらしいカップルがぽつりぽつりと入ってくる。
開店したての清々しい雰囲気の中、
スタッフの女性の丁寧なもてなしの声が印象的だ。
これからこの空間の中で、たくさんのニコニコが生まれていくのだ。
そう思いながら、ニコニコ蕎麦湯を飲んでる私(^^)
2014年10月22日
浅草橋「御清水庵 宮川」
浅草橋駅から徒歩2分。
この夏リニューアルした「御清水庵 宮川」へ!
おおお 確かに。
外観からして凛とした、静かな心意気を感じる佇まいになっている。
以前の明るい気安い雰囲気からは大変身だ。
今日は私の大切な大切な蕎麦犬仲間のWhitaker嬢が
しばらく本国へお帰りになってしまうので
後悔なきよう2匹で思いっきり美味しいお蕎麦をいっぱい食べましょー!と
やってきたのであります。
ひろびろ静かなカウンターがありがたい。
「御清水庵 宮川」は蕎麦も美味しいけれど、おつまみが本当に美味しい。
福井出身福井弁の店主が、福井産の食材を中心にいろいろ用意しているのだが
軽い気持ちで頼んだものの非凡さにいつも驚かされる。
どれも沁みわたるように美味しいのだ。
例えば、「つまみ・本日の三点盛り」って聞いたら
「蕎麦味噌、わさび漬け、煮物」とかかな?と思うじゃないですか。
それが「御清水庵 宮川」ではこうなってしまうのだ。
ドーン!
左から
「焼き蒲鉾のカルパッチョ」
「大根の塩麹&ごま油漬け」
「梅酢玉ねぎ、三年子(すこ・ずいきの酢漬け)」
「エシャロットと花らっきょ」
「小松菜とネギのおひたし」
オイオイどこが三点なんだよという盛り沢山ぶりが
まるで福井の田舎の食堂でも来ちゃったようで嬉しい限り。
しかもどの一品にも工夫があり、郷土性もあり
素材のおいしさを最大限に生かしたセンスの良い味付け。
この「本日の三点盛り」と蕎麦だけで
野菜もバッチリ摂れるし栄養的にも完璧ではないか!
こういうお蕎麦屋さんは意外と少ないだけに、
うーん「御清水庵 宮川」・・やっぱりいいなあ〜〜〜
「あげ煮」
シンプルに煮た厚揚げに切干大根を加えてしまったセンスがニク過ぎる・・
っていうか私好みど真ん中なんですけどーー!!これ大好きーー!!
この切干の香ばしい香り、素朴な食感。
なんてことない煮物に、一人しみじみと感動してしまった。
そして忘れてはならない、
ここに来たら私が必ず頼むもの・・「だしまき」!
「御清水庵 宮川」の「だしまき」はちょっと図抜けて、特別に美味しいのだ。
今日は以前はメニューに無かった「昇竜舞茸だしまき」というのがあったので
それにしてみる。
「昇竜舞茸だしまき」
お〜 だしまきの上に福井の特産「昇竜舞茸」がのっている。
中にも入っているみたい。
ここの「だしまき」がですね〜〜!!!
見た目は普通っぽいんですが、本当に弟子入りしたいくらい
ものすごぉーーーく美味しいのです。
余計な甘さやくどさが全くなく、ほわっと軽く、
それでいて卵の旨みはじわ〜〜〜と広がる。
Whitaker嬢と「美味しい〜」「こんなの他にないよね〜〜!」
と絶賛しつつあっという間にパクパク食べてしまう。
本当にこんなに美味しい「だしまき」はなかなかない。
大ファンなのでそこに何か加えるなんてホントは許したくないけど
舞茸は大好物なので許せちゃうなあ〜ていうか面白いアイディアだなあ・・・
しかも舞茸も福井県産とは・・・ニクイ!
そしてこれはちょっとずつ、私の分だけ取り分けたもの。
「牛肉の蕎麦蜜煮」「蕎麦味噌」「大根煮」
牛肉は、「杉養蜂園」の蜂蜜でぎゅうううと煮詰めたお酒にぴったりの一品。
大根は甘み一切なく、スッキリまっすぐ、やや濃いめの味付けで煮込まれた、
これまたお酒が欲しくなる洗練の大根煮。
そこに、蕎麦の実そのままザックザクの蕎麦味噌!
・・これだけお酒にぴったりなおつまみを出されても
今日は一滴ものまない蕎麦犬2匹・・
なぜなら、つい18時間ばかり前も2匹でお蕎麦屋さんにいて
美味しい日本酒飲んじゃいまして(^^;;)
特に「酒量だけは小鳥」な私はおちょこ2杯も飲んだら
その翌日はもう無理でして・・
「御清水庵 宮川」には美味しい福井の地酒が揃っているというのになあ〜
蕎麦ももちろん福井県産。
一枚目は
「福井・夏蕎麦キタワセ(十割)」
決然たる中太打ち、調った眺め。
箸先から伝わる、キタワセらしい強い野生の香り。
ぬるつるっとした肌は噛みしめるとくにゅんと軽やかなコシがあり
十割と思えないムッチリふっくらした食感が美味しい。
太めの十割だが軽やかなのであっという間に食べてしまい
隣のWhitaker嬢が食べてるのを眺めている時間が長いこと長いこと、
もの欲しそうに、ジ〜〜〜(^^;;)
ほんとに、なんでいつも私のお蕎麦はすぐ無くなっちゃうんですかーー!?
「福井・武生盆地の在来種(外一)」
今度はぐっと黒っぽい平打ち。
わわわわわ これは・・・!!
がっつり、深くたくましく黒い香り。
この手の香りはちょっとえげつない感じにもなりやすいが
美しく澄んでいるところが特に素晴らしい。
ぬるりなめらかな肌とむっちりとやさしいコシからこぼれだす
在来種ならではのぎゅうううとした滋味がたまらない。
お、お、お、おいしいいいいいい〜
全身に染み渡るような香りと味わいに浸りながら、
私はこの店に初めて来た日の感動を思い出していた。
あの日もここの蕎麦の美味しさに本当に感激したのだ。
福井の蕎麦の豊かな旨味!!
そして忘れてはなりません、
「御清水庵 宮川」は東京では数少ない、
本場の「越前おろしそば」が食べられる店なのです。
本場の「越前おろしそば」と、と本場じゃないのの違いはいろいろあるが、
一番の違いは「大根おろしが搾りたて」ということ!
まずは「古代つけ汁」で食べる「古代おろし蕎麦」から。
「古代おろし蕎麦」
この汁はなんと、「搾りたての大根おろし+醤油+味醂」というシンプルさ。
出汁は一切入っておらず、そこに薬味として鰹節とネギを入れるスタイル。
福井に伝わる伝統的なつけ汁らしい。
お蕎麦は「福井・大野在来(二八)」。
ふっくらふわんと軽やかな食感。
そして「古代つけ汁」がおいっっひーーい!!
いやあ・・・これは本当に困る・・・
蕎麦は蕎麦だけで食べたい蕎麦犬ではあるが、
搾りたての大根おろし汁、美味しすぎる!!
なんと最後まで汁を飲み干してしまったほど。
「越前おろしそば」
この「ぶっかけスタイル」がいわゆる「越前おろしそば」。
注文が入ってから大根をおろすという本場の作り方でやっている店は珍しい。
・・・もう本当に、迷惑なほど美味しい・・・
お蕎麦だけで食べたいという蕎麦犬のひたむきな気持ちが千切られるようなこの美味しさ。
わはは、お隣のWhitaker犬はお皿に残った汁を全部舐め・・じゃなかった
全部飲み干しちゃった(^o^)!
搾りたての大根おろしは甘みも辛みもフレッシュで脳が澄み渡るよう。
素晴らしいー!!
デザートも、「御清水庵 宮川」らしくとても自然でヘルシー。
「富津金時(さつまいも)、福井の柿、蕎麦をパリッと焼いたもの」
うーーーーーん
なんでこのお店はこうまで私向きなんでしょうねえ〜
砂糖の甘味が苦手で、食物が持つ自然の甘みが大好きな私には素晴らしいデザート。
「蕎麦を焼いたもの」はそれはそれは変わったものなのだが
蕎麦犬にはたまらぬ滋味深さ。
「杉養蜂園」の蜂蜜が添えられていたが
塩で食べる方がより蕎麦の美味しさが伝わり、Whitaker嬢と2匹で
犬用ジャーキーの如く大喜びでムシャムシャ!!
杉養蜂園の蜂蜜が添えられていたが
犬らには塩で食べる方がより蕎麦度が高い味わいで美味しかった〜
気がつけば信じられないほど長居をしてしまったが
今日はWhitaker嬢としばしのお別れ、最後のお蕎麦だったので
ゆっくり過ごせて本当によかった・・
楽しかったね、Whitaker! (≧∇≦)/
今月からお昼の営業も始めた「御清水庵 宮川」。
浅草橋駅西口すぐのこの看板が目印ですよ〜〜
(お箸もすき↓)
2013年04月の「御清水庵 宮川」利き蕎麦の会
2012年02月の「御清水庵 宮川」
2011年06月の「御清水庵 宮川」
2014年10月12日
綾瀬「重吉」
「綾瀬」駅より徒歩1分。
駅前から正面に伸びるきれいなレンガ通りをチョチョチョッと歩いただけで
このような素晴らしい名店に辿りつけてしまうということが私には信じられない。
ディズニーランドのために作られた「舞浜」駅のように、
「綾瀬」駅がこの店のために作られたような気すらしてくる。
「綾瀬」駅、素晴らしすぎる!
昼の開店は11時と早めで、この時11時30分。
店に入るとなんと満員!
少し待ってやっと入れる。
おばさまグループ、若夫婦、親子連れ、男女グループ、
客層は様々で皆実に楽しそう。
本日の蕎麦は「茨城・常陸秋そば」と「富山在来」らしい。
ドキドキしつつ限定5食の「アレ」と「せいろ」を頼み
ぼんやりと「重吉」の昼の風景を楽しむ。
店内の石臼。
手挽き用の石臼。
これはきっと「アレ」に使うんだろうな〜・・
なーんて考えながらすっかりのんびりしていたら
なんと「アレ」から来てしまった!!
じゃーん!
「重吉」の限定5食、
「田舎」
うははーい ばんざーい!
「重吉の田舎」のザックザクの超粗挽き肌!!
感激余って連写してしまいましたが、
これでも粗挽きっぷりは以前より相当マイルドになっております。
以前は粗挽きの割合がさらに多かったため
何をどうやったらこんな粗挽き粒が蕎麦の形につながるのかと思うほど
ゴッツゴッツのジャッキジャキ、
国内最高レベルのぶっ飛んだ粗挽きだった「重吉の田舎」。
今日のはかなり微粉もかなり入っているらしく輪郭線は比較的つるりマイルド。
水分をまといピカピカと輝き、粗挽きと微粉のいいとこ取りが期待できそうな
なんて美味しそうな「田舎」!
箸でたぐるとずっしり感じ、ドキドキときめきながらそっと香りをよせると・・
あれ?あんまり香らない?
かすかにスモーキーな渋い香りとさっぱりした味わい。
ところがどっこい、それはこちらの蕎麦が思い切り冷たく締められているためで
食べ進むうちに香りが膨らむこと膨らむこと!
スモーキーさはより深まり、渋い香ばしい墨にも似た香り。
それに加えふくよかな穀物の香りも加わってきた〜〜た、たまらない!
食感も最初はやや硬めでつるっと感の中にゴツゴツがあったが
今は全体がなじんでふっくらザラザラゴツゴツ、
お、お、おいしすぎるんですけどぉおおお〜〜〜!!
しかもこの「田舎」だけではなく「せいろ」も食べなきゃ
「重吉」の凄さはわかりません。
打って変わって白めのすんなり。
なんとやさしく、美しい姿・・・!!
(>_<)
(>_<)
もうね、
私参っちゃいますから。
あの「田舎」を打った人がこんな「せいろ」を打っちゃうかっこよさ。
なんとバランスの良い、王道の最高の「せいろ」なのだー!
フレッシュさ、こうばしさ、上品な野生、ふくよかな甘さ、滋味深さ。
蕎麦の美味しさの要素すべてをバランスよく濃厚にまとい
しかも食感もするりしなやか、やさしく豊かなコシ。
とにかく何もかもが王道にして最高!!
おいしいーー!!もう私、綾瀬に住みたい!!
(いやアナタ方方でそんなこと言ってませんか?)
店内混雑につきお店の方は大わらわで飛び回っていたので
どちらがどこの蕎麦か訊くことはできなかったが
これはやっぱり「せいろ」が「常陸」で「田舎」が「富山」だろうなあ〜
ちなみに「鴨せいろ」はこんな感じ。
お店を出ると12時45分。
まだ13時前だというのになんと・・
お蕎麦売り切れ!!
ヒャー(゜▽゜;)
美味しいものは放っておいてはもらえないんだなあ〜。
やっぱり綾瀬駅は「重吉」のために作られたのかも(^^)。
(それは冗談としても、あの駅からの綺麗な石畳は
どうしても「重吉」へのプロムナードとしか思えない・・・(^^;;))
2014年10月11日
記念コイン
500円玉に各県の記念コインがあるのを初めて知りました。
偶然手に入った栃木県の記念500円玉「日光東照宮の眠り猫」。
これは是非ともあの方に〜♪と思いついてしまい、
額装風にしてプレゼントにすることにしました。
100円ショップで買った額縁を金にペイントし背景に風神雷神柄の金色の和紙を貼り
コインは簡単に、両面テープで留めただけ。
小学校の時読んだ本に「お金に穴を開けたりすると警察につかまる」と書いてあり
それは大変だ・・とすごく怖かったのを鮮烈に覚えておりまして(^^;;)
プレゼントしたお相手は、
あの神田「眠庵」姉妹店のカフェ、末広町「眠り猫」さん。
野菜いっぱいのカレーやスープ、手作りのケーキが美味しいお店です。
とっても喜んでくれました(^o^)
2014年10月10日
月島「由庵 矢もり」
「由庵 矢もり」ついに開店!
・・なんて書くと派手派手しいが、
店は路地裏でひっそりと静かに、そして清々しく始まっていた。
まだ暖簾も届いていない、生まれたてのピカピカの店舗。
昼夜ともに予約のみのお蕎麦屋さんだけに
この小さな路地はぴったりのシチュエーションだ。
店内も何から何まで行き届いたしつらい。
ながく名店で一流の仕事をし、一流の物を見てきた店主だけに
天井、壁、床、柱、カウンター・・全て「ほんもの」の見事な空間だ。
「自家製柚子巻と自家製こんにゃく」
出だしから、心が澄むような美しさ。
「柚子巻」は薄切りにした大根で柚子を包み干したもの。
店主の故郷上野原では民家の軒先でよく下がっているものらしいが
東京では珍しく、これがとても美味しい。
爽やかですばらしいスターターだ。
「自家製こんにゃく」もやさしいコシ、ふるふる感が最高!
すっきりさりげない味付けもさすが。
お酒は「扶桑鶴」。
器も素敵なものばかりで ああ 幸せだなあ・・
「桜海老のおから」「アワビ茸のお浸し」「ひじきと干し筍」
どれもさりげないのに当たり前でなく、
一口ごとに静かに喜ばせてくれる逸品ばかり。
これは参った。
「矢もり」さん、かっこいいなあ〜〜
(「扶桑鶴」が若干減っているのが確認できますが、この時すでにぐるんぐるんだった記憶が・・
「酒量だけは小鳥」どころか今日は「虫」くらいだったかも(^^;;))
ここでおもむろに店主が・・・
「そばがき、食べますか?」
食べますとも!!
私の人生に於いてどんなことがあっても
「そばがきを食べない」という選択はありえません。
食べます♪食べます♪食べます♪(^o^)
カラカラパラパラパラ〜
店主が石臼の上に蕎麦の実を置いた。
遠目にも驚くほど青く美しい実!
秋田の蕎麦、美味しそうだなあ〜
何が始まるのかって?
これは店主が長く任されていた「流石」そのままのスタイル。
これからこの手挽き石臼で蕎麦の実を挽き、
その挽きたてホヤホヤの蕎麦粉で「そばがき」を作ってくれるのだ。
ウキャー (≧∇≦)♡
ゴロゴロ・・・スルスル・・・・
手挽き石臼ならではのなんとも深く静かな石の響き。
この音、落ち着くなあ・・・
(自分で回すのは重くてとても無理だけど(>_<)←昔「半周」しかできなかった伝説を持つ人)
「そばがき」
これも器がいい。
器と食材が引き立てあっている。
ほわあ〜と私を包む、なんとも豊かなかぐわしさ。
野性味もあるがそれよりもふくよか、まろやかなイメージの香りが何とも素晴らしい。
やや粗めの舌触りと、もちっネチッとした食感。
ついさっき私の目の前で青さを際立たせていた秋田の蕎麦の実達が
こんなに芳しくおいしい塊となって私に溶けてくる・・
ああ おいひい・・贅沢すぎる・・・・
「神亀 小鳥のさえずり」
ここで小鳥、さえずりました!!
このおさけおいしい!!
私にしては「濃い」「大人」タイプなのだが
なんともまろやかないいバランス、うまみがある。
虫が小鳥に昇進。
この酒器もまた素敵だなあ〜
黄昏時の雪景色の中に澄んだ水辺があるかのよう。
そう思うとさらにおいしくなっちゃうじゃないですか〜 (≧∇≦)/ キャ
「蕎麦サラダ」
「一応サラダと呼んでいますが、僕にとってはこれは
蕎麦に足りないビタミンCを補えるぶっかけです!」
と店主が言うとおり、ヘルシーで実に美味しそうな汁なしぶっかけ。
美味しい蕎麦と大根、水菜に、ねりごまと韃靼蕎麦の実の風味。
何より、味付けに唸らされる。
美味しい素材ばかりだから美味しいことは想像できたが
抑制のきいた洗練の味付けにはまさにギャフン。
これに似た下卑た味のものは世の中にたくさんあるが
これはその対極の高いところに居る「蕎麦サラダ」だ。
「鴨南」
うっ
この美しく澄んだ汁・・
姿も美しいが味わいもやはり美しい。
すっきり&しっかりとした洗練の出汁。
鴨もふっくら味わいの濃いもので素晴らしい鴨南。
もう本日は小鳥、とんでいきそうなので
あとはラベルと器を楽しむ係になります(* ̄∇ ̄*)
桜と赤字が京都らしく古典的で素敵なラベル。
この酒器も紫がかったグレーが美しい。
「もりそば(富山)」
うわ わわわ
なんと美しい・・・
これほど美しい盛りつけの蕎麦は久しぶりに見た。
お蕎麦が気持ちよさそうに、踊るように盛ってある。
箸先でふーっと香る、落ち着いた、しかしたくましいかぐわしさにうっとり。
そしてひとくち、口に含んで目が丸くなった。
このなめらかさ!このもっちりふっくらとした食感!
見事としか言いようのない稀有な食感だ。
その夢のような食感の中から滋味深い味わいがスーッとひろがり・・
なんという美味しさ!ばんざーい
「矢もり」ばんざーい!!*\(≧∇≦)/*
「もりそば(秋田)」
ね、美しいでしょう?
この「軽やかに踊っているかのような盛り付け」!
この踊るような蕎麦の盛り付けは何年も修行の要る職人技なのだ。
すごい〜〜〜
(古伊万里の復刻版という菊の花型の薬味皿と
瓔珞文の蕎麦猪口にも釘付け)
こちらは先程のそばがきと同じ秋田の蕎麦。
蕎麦にした方が野性味を強く感じ、フレッシュで爽やかなイメージ。
食感はコチラの方がややぱっきりとしているが、柔らかなコシが素晴らしい。
食べ進むうちに肌はしとぴたっとしてきて、野性味はどんどん強くなる。
うーん、しあわせ・・・
またしても最後まで使うことはできなかったが
ここは汁も大変素晴らしい。
スッキリ洗練・・のあとに、何とも言えない旨みが残る。
普段、蕎麦汁は旨みなんて残らない方がいいと思う方だが、
これはなんともおいしいものが小さくスッと残る。
見事な汁だ。
実は「矢もり」には2階もあり
お言葉に甘えて上がらせてもらった。
まだ座布団も何もない、生まれたての空間。
製粉機は2階にあった。
そして2階に行く階段の手前には
アノ方が彫った「矢もり」の看板が。
その看板が嬉しくてニコニコ顔の「矢もり」さんが素敵で
なんだかもったいなくて写真は撮らなかった。
思い切りのいい字が素敵な看板。
いらした方は是非見てみてくださいね〜(^o^)
(現在は夜のみ、予約のみの営業となっていますが是非お気軽に〜☆)
2014年10月09日
浅草「手打 恒(つね)」
浅草から吾妻橋を渡ってすぐ。
裏通りにある小さなお蕎麦屋さん。
店そのものより賑やかな幟だの看板だの張り紙の方が目立っている。
入り口脇の製粉機には目玉がついている。
なんだか面白い外観のお蕎麦屋さんだなあ。
店の作りそのものは非常にシンプルなのだが
そこにメニューやら張り紙やらがたくさん貼ってある。
立て看板のメニュー。
各種「種ものそば」から「おつまみ」まで
豊富なメニューは居酒屋さんのように賑やかだ。
店に入るとこれまた意外な事態に遭遇。
なんとギャルソンエプロンをしたスラリと背の高い
繊細そうな男性が席に案内してくれたのだ。
え、お蕎麦屋さん・・ですよね?
はい、どう見てもお蕎麦屋さんです。
しかもかなり個性的な創作メニューが揃っている。
でありながら蕎麦は自家製粉手打ちである。
ますます不思議は深まっていく。
「京都の水なす」
「豆腐サラダ」
軽い気持ちで頼んだらすごいボリュームサラダが来てビックリ。
揚げ蕎麦がのった上にゴマドレッシングがたーっぷり!
普段はあまりドレッシングの類は好きでない私だが
このサラダは家庭的なボリュームと懐かしいような味わいがおいしくてパクパク。
「恒(つね)」の蕎麦は2種類、「せいろ」と「田舎」。
しかもワーイ!両方が食べられる「二色もり」があるではないですか!
ありがたいなあ〜
「せいろ」
本日の蕎麦は北海道弟子屈町の蕎麦、品種は摩周とのこと。
外観にも店内にも「手打 恒のこだわり 外一蕎麦」との張り紙があったので
(蕎麦10 : 小麦粉1の蕎麦のこと)
少なくとも「せいろ」は外一だろう。
むわ〜〜とかなり濃厚な熟成の香り。
口中で感じるパキッとシャープな輪郭線。
しかし食感に硬さはなく弾むような強靭なコシがある。
「田舎」
ええええ
予想を超える太さにビックリ!
これだけの太打ちを出す店は珍しい。
太さ余って暴れ龍の如く笊からはみ出しております。
近づくほどにド迫力!
ここでこんな蕎麦に出会うとは思わなんだ。
つくづく面白いお店だなあ〜
濃厚な甘い香りを想像したが、黒く渋い香りが静かに香り意表を突かれる。
うわー、これはいい!
はじめの印象はごくストイックだが
かみしめるうちに甘みも出てきて実に美味しい「モグモグ蕎麦」。
実は今回は初めて来たお店だったうえ
最初の印象が「不思議なお蕎麦屋さん」だったこともあり
「二色もり」にこんなものをつけてもらっていた。
「鬼おろし」
「鬼おろし器」でおろした「おろし蕎麦」が食べられるのは珍しい。
大根おろしが大好きなあまり自宅に数種類のおろし金を所有する私。
もちろん「鬼おろし」も持っています(^o^)
(こちらを参照)
ザックザクの粗挽きおろし、おいしいんですよね〜
普段はお蕎麦の香りを偏愛するあまり
最初から最後まで汁を全くつけずにお蕎麦だけをズルズルいってしまう
行儀の悪い蕎麦犬な私。
故にどこでも「もり」しか頼まないが
初めてのお店ではたま〜にこういう「つけそば」にするのだ。
今回は特に「せいろ」が、この「鬼おろし」で
さっぱりおいしく食べられました♪
いろいろ面白いメニューが多いし地酒の品揃えも豊富なので
夜は地元の人が集う居酒屋さんのようなお蕎麦屋さんなのかな?
「とろ牛つけそば」っていうのも見てみたかったなあ〜♪
2014年10月07日
栃木・那須町「ほし」
「山の中の林の中に、こんな素敵なお蕎麦屋さんがあったらいいな」
という理想のお店。
あまりにも美しくかぐわしい山の空気。(なんっっていい香りーー!!)
簡素でゆったりとした佇まい。
店の前に立っただけで心がやすらぐ。
店内もまた素晴らしい。
吹き抜けの空間と大きく取られた窓。
窓いっぱいの緑は店の中にまで入り込んでくるかのように
この木の空間を青々と染めている。
私まで青く染まるような気持ち。
自然を愛し、素朴な食べ物を愛する店主だけに
この店の自慢は「蕎麦」と「素朴な山里料理」。
店主が朝から山に入って採ってきたきのこや山菜、
そして無農薬の地野菜を美味しく食べさせてくれるのだ。
入り口にあった「たまごたけ」の可愛さにビックリ!!
もちろんこれも店主が山で採ってきた本物のきのこ。
絵本の中にだってこんなに可愛いきのこはないのではないかしら。
後ろにこびとさんが隠れていそう〜(≧∇≦)♡
メニュー本の一部は手作りの「山菜・きのこ図鑑」のようになっている。
これは何とこの店の奥さんの手によるもの。
イラストも文章も本当に素敵で、
見ているだけで私まで山と親しくなれたような気持ちになる。
お山の楽しさにウキウキしてしまう。
お昼はランチの「山里コース」を頼んでいる人がほとんどだが
壁には美味しそうなメニューもいろいろ。
「深山のわらび一本漬け」
どーん!とすごい存在感!
歯ごたえといい香りといい、美味しい〜〜〜〜
素材の味を最大限に生かすさり気ない味付けはさすが「ほし」さん。
ランチの「山里コース」
心も体もぐにゃんぐにゃんに癒される、山のやさしい食べ物づくし。
素朴で家庭的で、それでいて田舎料理というイメージではない。
作る人のセンスと思いやりが伝わる「山里料理」。
今日のお蕎麦はひきぐるみの「くろがね」と更科の「しろがね」、ともに十割。
二種類のお蕎麦が交互に三つ山盛りになって
賑やかで楽しい眺め!
しかしこの時、久しぶりの「ほし」でしあわせ絶頂にいた私に
「カメラが壊れる」という大悲劇が起きまして・・(lll ̄□ ̄)!!
幸いほどなくしてなぜか復活したものの、一度は諦め
写真を撮らずにまずお蕎麦から食べ始めてしまった・・・のが、
上の写真の一番奥のお蕎麦です(^^;;)
3つの蕎麦山の量が自然に見えるようこういう角度で撮ってみましたが
遠近法でますます少なく見えているような(^^;;)
「たまごたけと野菜」
入り口にあった真っ赤な可愛いたまごたけは
火を通すとなんと黄色くなるそう。そしておいっしい〜〜〜!
野菜もきのこも本当においしくて、こんなさりげない一皿にも感激。
「さといもと菊」
菊を添えるだけでさといもの煮物がこんなに一品に。
淡くさわやかな香り。
緑の中のこの空間で食べると一層美味しく感じる。
上の二つの小皿料理の真ん中に
「イッポンシメジと豚肉の炒め」
というすごく美味しい一品があったのだが・・
カメラ故障事件でうろたえたらしく何故か写真がない〜 (;o;)(;o;)(;o;)
メニュー本の中にあるミニきのこ図鑑によるとイッポンシメジとは
「市販のしめじが大きくなって一本ずつ地面から出ている」
ようなきのこらしい。
それを豚肉と一緒に炒めごま油と味噌で味付けしたという
いかにも山里〜な家庭料理なのだが、これがたいへんに美味しい。
甘い味付けが苦手な私は一般的に味噌炒めというのはあまり得意でないのだが
これは魔法のように別物で美味しい。
イッポンシメジの苦味があとからくるのが最高!
ランチコースには「ぬか漬け」がつく。
ぬか床は80歳だとか!
挽きぐるみ十割「くろがね」
見るからに香ってくれそうなふっくらとした肌。
産地は栃木だがちょっと北海道の蕎麦を思わせるような
草のような野生の香りが濃厚にふわぁー!とこちらに飛んでくる。
コシ、食感はまさに完璧、王道の蕎麦で、そこからこれまた濃厚な味わいが
じわぁ〜〜〜〜とあふれ出る。
甘みはすっきりとして、山の滋味なる味わいが身体に染み渡り
ああああ おいしいなあ〜〜
更科十割「しろがね」
なんと更科のほうがずっと太いという珍しい事態。
しかも十割!
ごくわずかな極上の更科だけが持つ美しく澄んだ香りがふわぁ〜
しかも甘さのない美しい香りなのでますます澄んで感じる。
食感がまた凄い。
太切りの肌がぴったりと舌に寄り添うように触れ
噛みしめるとむっちり・・でもない、もちもち・・・でもない、
強いて言えば ぷにぷにっ、に近いような独特の肉厚なコシ、感触。
出会ったことのない美味しさだ。
味わいはごく淡く、ふわーっと天女の羽衣のように美しい香りだけを
追いかける恍惚のひととき。
これが十割とは・・・信じられない!
蕎麦が美味しすぎるため例によって蕎麦つゆを使うチャンスは
蕎麦湯の時にしかないのだが、これがまた大変美味しい。
甘さを抑えたきりっと濃いめの端正な汁。
山里料理だが田舎料理ではないところがここに集約されている。
最後のデザートの可愛らしさ。
自家製赤紫蘇のゼリーの色の美しいこと!
そしてその上に飾られたパイナップルは「ほしさんだから星型」☆
かっわいー (≧∇≦)♡
こんな素敵なお店ゆえお昼時は相当混雑したが
今は落ち着いて、この店らしい時間が流れている。
小鳥たちの声が林の高みに響いている。
美味しいお蕎麦と素朴な山里料理の余韻。
自然を愛する店主夫妻が作り上げたこの空間に憩う。
「山の中の林の中に、こんな素敵なお蕎麦屋さんがあったらいいな」
那須の林の中に「ほし」がありますよ〜☆(^o^)☆
2014年10月01日
宮城・秋保町「たまき庵」
宮城県には数えるほどしか行ったことがない私。
そしてその全てが、ただこの店に行くためだけに行ったものであった。
知る人ぞ知る、東北が誇る名店。
工事中でも車庫でもありません(^o^;;)
名店には到底見えないかもしれないが
実はこの店、通常は昼15時くらいまでで売り切れ仕舞いで、夜は営業していない。
今回はいろいろと事情があり例外的に夜お邪魔したのでこんな写真になってしまった。
とは言え昼間来たってそんなに印象は変わらない。
店は秋保大滝に近い山中の道沿いにある。
お世辞にもきれいとは言えない大きな建物は
まあ古い食堂かドライブイン以上には見えない。
しかし私はこの店の店主ほど
「美味しいものを求める」
「美味しいものをお客さんに提供する」
ことだけ!!それのみ!!に集中している人物を未だかつて見たことがない。
雪深くなる冬場はお店を閉めて全国に美味しいものやいい食材を探し求める旅に出てしまうとか
(しかもかなり長期+車中泊の強行軍)
のし棒で代用できると言って小間板は持ってないとか(!)
いろいろと驚愕の逸話の多い店主。
美味しいものに関する知識の豊富さ、頭の回転の速さには会う度驚かされるし
食材に関して全く妥協というものをせずお金に糸目をつけないので
おせっかいながら見ていてハラハラしてしまう。
当然、製粉に関する知識と情熱も物凄いもので
店の裏にはミニ工場といっていい設備があり巨大な石臼を含む複数の石臼から
こんなものが個人店に?という専門的な製粉機械までが全て揃っている。
その容貌は眼光の鋭い熊のようで、
大真面目に熱く語る姿は私にはどんな小説より映画より面白い。
特にひょうひょうとしながらもやけに丁寧な言葉遣いは、
もしやウケ狙いなのだろうか?と思うほど可笑しくて
私はこの店にいるといつも笑いっぱなしだ。
そして天才の息子というのは得てしてそれを超えられず
かすんで見えてしまうことが多いものだが
この店は息子さんである二代目も素晴らしいときている。
当然、店の進化はますます止まらず蕎麦もなにかも国内最高レベルの美味しさなのだが
店舗そのものは40年前のまま。
そのまんま!
その外観と内容のギャップたるや凄いものなのだ。
この尋常ではない美味しそうさと
大真面目だけどどこかおもしろ可笑しい感じが
伝わるでしょうか・・
普段はメニュー本の中の写真は掲載を遠慮しているのだが
この店の説明は私の筆だけでは追いつかないので掲載させていただきました〜
そしてその実際の美味しさは、是非まずこちらを見てびっくりしていただきたい。
壁の張り紙に「超限定品」「プレミアム」と銘打ってある
「そばがき」
一目見た瞬間、ブッと吹いた。
なななんですかこのド緑のかたまりはぁーーーーーーっっ!!!!
そばがきとしてはありえない、よもぎ餅のように鮮やかな緑。
間違いなく、こんな色のそばがきを見るのは生まれて初めてだ。
しかもちょっとあぶってあるなんてニクすぎる。
見れば見るほど、びっくりで嬉しくて可笑しくて笑いが止まらない。
たまき庵さん・・・何をどうしたらこんなそばがきが作れるんですか・・・
うはははーい
この粒、この肌!
ありえないでしょう?
ニッカニカうっひゃうひゃしながら大興奮で一口。
・・・口が、きけなくなった。
「このそばがき生きてる!?」
人生で食べたそばがきの中でも飛び抜けてフレッシュで
飛び抜けてかぐわしい香りが最高濃度でブワァー!!!!と頭を吹き抜ける。
しかも舌に載せた瞬間、玉露だかグルタミン酸だかのような「生」のウマさが
グワァーー!!と舌じゅうに、口の中いっぱいにひろがった。
生命感あふれる若い青い蕎麦畑が
生きたままそのまま口の中に突っ込んできたような衝撃。
焼きは、いつもは軽く焦げ目がつくほどだが今日のはごく軽い焼き。
しかし表面が焼けて軽く乾いているため、
サクッほわっザラッ そして内側は極上エアリー!
やーん、なんでここでこういうこと(焼き)しちゃうかなあ〜!ニクすぎるでしょう〜
野生、フレッシュな生々しさ、刈り立ての蕎麦畑、宇宙を隅まで満たす香り・・・
頭がどんどん犯されてもどこかから
「高遠さん、さっきから瞳孔が開きっぱなしですよ」
という声が聞こえても私は今この宇宙から抜け出すことはできない。
だいすき だいすき
この愛するお方と、二人きり・・・・
「御前そば」
いわゆる「更科そば」であるが
「たまき庵」のはなんと自家製粉の更科。これは本当に珍しい。
まさに「そこまでやるかたまき庵!」という感じである。
福井・丸岡産自家製粉の御前そば。
ぎょえー
これまた何ですかこのものすごい「御前そば」は!!
一般的に「御前そば」「更科そば」というものにはほとんど香りはなく
のどごしを楽しむ蕎麦、なんて言われているのだが、
ごく限られた極上の「御前そば」のみが、白く上品な美しい香りを
天女の羽衣のようにふわーっと軽やかにまとっている。
ところがこの「たまき庵」の「御前そば」は、その美しい香りを
ふわーっとではなく「ブワァァーーー!!」と激しいまでに濃厚にまとっている!
全く、ブワァーッと濃厚に広がらせないと「味」とは認めないのかこの店は。
御前そばにしては透明感がないんだな、と思ったら
なんとこの時は打ちたてで、打ちたての時には透明感は出ないのだそう。
弾むようなツルスベの肌。
容易には噛み切らせない強靭なコシがあるが固いのとは全く違う。
美しい甘みがダイレクトに舌に広がる。
「ざるそば」
これまた、一目見てびっくり。
そばがきほどではないにせよ、この周囲から浮くほどの鮮やかな緑は物凄い。
こちらも福井丸岡、外二の蕎麦。
丸岡はもともと緑色の綺麗な蕎麦が多いがここまでの緑は
やはり色選(色彩選別機)のなせる技だ。
ストレートにこちらに突き刺さるような強い野生の香り。
私はこの手の香りにはひねたような要素を感じるのだが(ひね蕎麦という意味ではない)
この蕎麦はひねながらフレッシュなイメージもあるのが面白い。
強靭なコシを噛みしめるとこの蕎麦もまた、味わいが舌にブワァーー!!
「たまき庵」ではこれが普通、当たり前らしい・・・全くどうなっているのやら・・
「田舎そば」
田舎は太打ち十割。
こちらは丸岡にちょっと他の産地をミックスしたらしい。
濃厚に香るこうばしく甘い香り。
そしてこれまた舌に載せた瞬間にブワァーと味が広がるのには
もう呆れるほど。揃いも揃ってすごすぎる。
ムッチリした肌は強靭なコシを持ち容易には噛み切らせないので
モグモグ噛みしめ、噛みしめるほどに甘みが濃くなっていく。
おいしいなあ〜〜
「たまき庵」の3種の蕎麦を全て食べて大満足、お腹いっぱい。
ところが〜〜〜
聞けば今夜は二代目がただいま試作中の粗挽き蕎麦があるというではないか!!
いただきますいただきます、私の蕎麦別腹は庫内広々♡なんです!
うわわわ〜〜なんと美しい粗挽き!!
こちらは色選で漏れた「緑じゃない蕎麦」で打ったものだというが
この肌感、輪郭線、私にたまらぬ美しさだ。
見た目にはかなりの粗挽きながら
口に含むと意外にもすんなりとした肌で
クッキリハッキリした輪郭線が印象的。
モッチリ豊かなコシのある蕎麦で味わいや香りはさっぱりとしている。
そしてびっくりはこちら!
色彩選別機で選ばれし緑の超美蕎麦で打ったものだというのだが・・・
いやいやいやいや・・・そりゃ青緑過ぎるでしょ、ありえないでしょ!!
なんですかこの宇宙人のような青さは!!
蕎麦も余程凄い蕎麦なのだろう。
粗挽きの優しげな肌。
これはものすごく美味しそうだ・・・
うわ うわ うわ
香りがブワァーー!!
一体今日は何度私にブワァーと言わせりゃ気が済むんですか「たまき庵」さん!!
全身を吹き抜けるフレッシュな香り。
手びねりの陶器のようなざらざらいびつな輪郭線。
じんわり優しいコシからこぼれる美しい味わい・・・・
うううう 美味しい・・
このまま時が止まってほしいくらい美味しい・・・
「たまき庵」はつゆも独特。
チョンと舌に載せると鰹出汁+甘みを強く感じるのだが
試しに蕎麦をつけてみると不思議とその個性を消し
この店の蕎麦とぴったり合ってとても美味しい。
東北が誇る超名店。
これからは紅葉シーズンでもあるし、
名勝・秋保大滝近くのこの不思議な超名店を
ぜひ体験してみてくださいね〜!