2014年05月01日
群馬・沼田市利根町「十割そば 水石」
日本の名滝百選にも選ばれている「吹割の滝」。
そのほとりの林の中に、名瀑を望むお蕎麦屋さんがある。
吹割の滝は駐車場のある街道沿いから
山道をくだったところにあるので
店にたどり着くには少し歩くことになる。
途中、山の観光地らしいお土産物屋さんもあったり
ちょっとしたハイキング気分。
道しるべが見えてきた。
もうすぐらしい。
着いた!
遠くに見える、あれがお店かな?
滝の音の中、近づいてみるとひっそりとした入り口が現れた。
ハイシーズンには行列もできるというのが嘘のようだ。
こんにちはぁ〜と扉を開ける。
うわぁ なんとムードたっぷりの玄関!
「ハイハイ〜」
と奥で声がして「日本の田舎のおばあちゃん」という設定の衣装を着たような、
割烹着に三角巾のおかみさんが迎えてくれる。
座敷に上がってさらに感激。
ひろびろと気持ちの良い座敷。
大きな窓いっぱいの滝!
誰も居なくて、滝の音だけ響いて、なんて贅沢なんだろう。
まるで夢でも見ているかのようだ。
店内を見回すと、いたるところに綺麗な小さな絵がびっしり飾ってある。
地元の人々の作品ということだが
それらが統一感を持って綺麗に飾られている。
額に入った高価そうな絵よりもあたたかで、にぎやかで、とてもよい趣だ。
絵だけでなく,この店にはさりげないセンスを感じるしつらいが多い。
メニューの見せ方も素朴な感じがとてもいい。
目の早い人はすでにお気づきかと思うが
この店の名物メニュー「十割そば」は1200円である(!!)。
いくら名瀑の畔と言っても都内の高級店よりも高い価格設定。
私が長年この店を知りつつも
なんとなく後回しになっていた理由はそこにある。
しかし早くも私は、そんなことは全くどうでもよくなるほど
この店に癒されている。
「十割そば」
ふわぁ〜とただよう、ややひねたような野性味溢れる香り。
パキッとした極細のラインが口中でもはっきり感じられ
その束がめぐりほどけるのが眼に見えるよう。
噛み締めた味わいはさわやかで実に美味しい。
これは北海道かな〜と思ったらやはり、でした(^o^)
「鴨と焼きネギの香りに自信」とメニューに説明のある
「吹割そば」のつけ汁はこんな感じ。
お〜確かに、焼いた香りの香ばしさといい
さっぱりとした汁といい、
ととのった小ぶりの鴨肉の旨みといい、
これはおいしい汁ですよ!
「十割そば」のつけ汁がかなり個性的なものだっただけに、
個人的には汁は「吹割そば」のほうが好み!
食べている時から、店のおかみさんはドッコイショとストーブのそばに座り
何とはなしに話をしてくれる。
なんと今年は今日が、冬が開けて最初の営業日であること。(4月某日)
今はおかみさんと息子さんでやっていること。
「水石」は屋号であること。
ここはストーブを炊いてもとても寒いこと。
吹割の滝や尾瀬が一番美しい季節にはとても忙しいこと・・
今までこのブログにおいてお店の人の写真を載せたことは殆どないが
この「水石」の時間は私にとってあまりにも素晴らしかったので
おかみさんには是非とも(ほんの小さくなので)ご出演いただきたい。
私がこの店でどんなにリラックスして
都会の些末事を忘れるような、ひろびろとした開放感に浸ったか・・
その証拠に、なんと今回お蕎麦のアップの写真がないんです!!
これには我ながらビックリ。( °o°)
いつもいろんな角度から何枚も撮る、一番撮りたい写真なのに。
静かにゆっくりと流れる「水石」の時間に吸い込まれていたのだ。
滝のほとり、林の中のこの店で過ごした時間は1時間。
私が食べた「十割そば」は1200円。
行く前に高いと思っていた自分が不思議に思えるほどの「時間の価値」だった。
とは言えハイシーズンの行列&大混雑の時だと,だいぶ印象は違うかな?
でもその時は景色もさらに美しいのだから、
やっぱりハイシーズンにも来てみたい!
(このシンプル&どっしりしたメニュー表もなんだかとても好き)