「くりはら」に帰りたい。
春に訪れたあの日のアルバムをひらく。


そんなに似ているわけでもないのに
生まれた家を思い出すような、
帰るべき場所に帰ってきたような気がする、
にほんの家。

漬物ももちろん自家製。地ものの無農薬野菜。

「ソバ掻き」

自然のかたちの素朴な器に
自然のかたちの素朴な食べ物。
新潟、津南の蕎麦だ。

ふわーーっとさわやかな、草原のような香り。
香りが濃厚さがたまらなくうれしい。
それほど微粉と言うわけでもなく素朴な肌に見えるのだが
口に含んだその肌のなめらかさ、きめ細かなつるつるさときたら!!
ほわもにょながらぷつりと噛み切れる感触も面白く
これは、おいしいおいしいおいしいぃ〜〜〜
ついどんどん食べてしまってあっという間に無くなってしまった・・(>_<)
季節の野菜や山菜をカラリと揚げた天ぷらは、
そのままくりはらさんと野原を散歩しているかのような眺め!
実際くりはらさんが摘んできた葉や山菜が多いのだ。

ひとつひとつに
ものすごく大切な味がする。
畑で生まれたきれいなものの味。
これも自家製、大好物!
「刺身コンニャク」

ぷるぷるやさしいみずみずしさ、静かな味わい。
売っているものとはまるで別物。
「せいろ」(十割)

縁側から差し込む陽に
かさなる蕎麦の輪郭線があざやかに浮かびあがる。

これまたさわやか、濃厚なかぐわしさ。
草原のようなさわやかさは「そばがき」と似ているな、
と思ったらこれも新潟の蕎麦だった。
しかしこの「せいろ」にはもう一歩踏み込んだ、ちょっとめずらしい野性味がある。
とは言えしばらく食べているとだんだんその香りにも慣れてしまって
味わいや甘みも淡く感じてきてしまったのだが
次の「手挽き」が出てきて食べるうち、
驚くほど甘みと味わいが濃くなってきた!
肌が少しぴとっとしてきた頃がまた超絶においしい〜〜〜〜
「手碾きざる」(あらびき十割)

こちらはなんと地元秦野でくりはらさん自身が育てた
自家栽培蕎麦。
それを遠く眺むこのときめき。
どんな香りがするだろう・・とドキドキしながら近づいてみると

粗挽きながらくっきりとした輪郭線を際立たせた
もっちり美肌蕎麦。
なんと香りは、これまた「そばがき」「せいろ」と同じ方向でびっくり。
しかしこちらは先程の濃厚な野性味よりも
ほんのりと甘くやさしい印象の方がつよい。
やや太めの蕎麦はたっぷりと重量感があり
箸先でピンピン跳ねてつかみにくい感じもあるが
それだけにもっちりした食感が楽しめる。
手動の石臼で蕎麦を碾く労力がどれほど大変なものか
身を持って知っている私からすると、
(といっても「何時間か頑張った」とかいう立派な体験ではなく
「ちょっと動かそうとしたけど1cmくらいしか動かなった」というどうしようもない話)
毎日手挽きで蕎麦を出しているというのは
気が遠くなるような仕事である。
1時間重い石臼を回し続けても10人分も碾けない程度なのだ。
お店が空いてくると、ここでくりはらさんが黙々と手碾きする姿が見られることもある。

「黙々と」と書いたが、お伽話か絵本の中に出てきそうなくりはらさんに限っては
作業姿も結構楽しそうに見えてしまうから不思議。(大変なのにすみません(^^;;))
くりはらさんは私の知る限り「常に笑顔を絶やさない人ナンバー3」に
エントリーしている方もある。(ああ3人ここで発表してしまいたい)
しかもニコニコほのぼのしているだけではなく、こんなにえらい人でもある。

しかも

こっ こんなこともしていただいては
かたじけなくてうれしくて もうどうしましょう。
なんだか私の似顔絵?みたいのも描いてある?
きゃーうれしーい(≧∇≦)

店内にはこんな子も。
私が酔っ払った時の立ち方、歩き方にそっくりだと大笑いされました。
またしてもキューピー・・祖父譲りなので、しかたない。(^^;;)

この家はくりはらさんのおじいさん、おばあさんが実際に住んでいた家。
私までがなつかしい気持ちになるのは
この家が一度も人の手に渡ることなく
家族によって継がれてきたからかもしれない。
ああまた
「くりはら」に帰りたい。
