
のどかな美しい観光地、郡上八幡。
一般に「観光地」という言葉には
賑やかで楽しい、本来のイメージと共に
物価が高い、演出過多で風情に欠けると言った
マイナスイメージの響きもある。
しかしここ郡上八幡は、行政の力を借りず
街の人の力だけで街づくりを行ってきたということで
自然な、美しい観光地である。
街外れにもなると眺めは一層のどかになるが
しかしその中にも手作りの雑貨の店や飲食店などが
ぽつりぽつりと点在している。

その中に一際の存在感を放つ外観。

街全体の情緒を深める、美しい佇まいだ。
家紋のデザイン美に滅法弱い私にとって、
こんな眺めは蕎麦を食べる前から恍惚である。

実は郡上八幡には行列ができる老舗有名蕎麦屋があるのだが
このルーキー「蕎麦正 まつい」の人気も相当なもの。
休日はこちらも大行列である。
どうも、この郡上八幡のような和の景観が美しい街に来ると
人はお蕎麦を食べたくなるのではないでしょうか。
それは実にいいことだ!
こちら、メニューはぐっと絞られておりまして、
なんと蕎麦メニューは「ざるそば」と「おろしそば」のみ。
壁の張り紙に
「絶品 大人の味 おろしそば」
と書いてあるのが微笑ましい。
ここの辛味大根はかなりしっかり辛いので
その意味もあるのだろう。
隣席の4人家族連れのお父さん、家族を仕切って大張り切りで
大声で注文を始めたがお父さんが一番混乱していて可笑しい。
彼らが頼んだ「ざるそばの大盛り」が
物凄い山盛りに見えたのでびっくりしたが
普通盛りもやや多めかな?
「ざるそば」

奥に長い店内は、京都の町家のように客席の奥に中庭があり
その庭を越えたまた奥も客席になっている。

しっとりと重なる肌に
黒い小さな、はっきりとしたホシがまぶしく浮かんでいる。
手繰り上げるとふわぁーと枯れた情緒の、藁のような香り。
しっとりぴたぴたとした食感と心地よいコシを楽しむうちに、
その香りが口中を隙間なく染めてゆく。
あーおいしい・・と、汁無しであっという間に食べてしまう。
私は好きな人と一緒にいられる時間が
どうしてこうも短いのでしょう。
汁は結構甘めだが、越前おろしそばに代表されるように
こういう汁は辛味大根と食べると非常によく合うのだ。
欲を言えは「ざるそば(900円)」
もうちょっと安いと嬉しいんだけどな〜
郡上八幡だからこそ!
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