2011年01月31日
祐天寺「手打ち蕎麦 大むら」
実は「祐天寺」は、東急東横線の沿線でも屈指の蕎麦エリアである。
このブログでも何度か紹介している名店、「蕎や 月心」をはじめ、
「手打 祐天寺 卯月」も蕎麦を3種類打っていて楽しいし、
駅の反対側にはこの「手打ち蕎麦 大むら」がある。
駅からのゆるやかな坂を、のんびりと下っても5分とかからない。
茶店を思わせるような外観は
蕎麦屋としてはありそうでなかなかない、趣のある佇まいである。
温かな接客は家族経営ならでは。
それでいて実に自然な、程よい洗練の時間が流れているところがこの店の非凡さだ。
昼間はカフェのように使う若いカップルあり、
近所の人の憩いの場でもあり。
如何に地元に愛されているかは通ううちよく伝わってくる。
二八の蕎麦は、粉の風味と甘さがしっかり。
のんびりおおらかな、美味しい蕎麦だ。
しばらく十割がお休みだったけど、復活しているといいな〜
2011年01月29日
ごまあたり器!
これ、最近のお気に入り。
なんだかわかりますか?
ゴマ好きの友、ゴマすり器☆
全て木製のこんなにかわいらしいデザインながら
この棒を手のひらでぐりぐりぐりっと回すだけで
実に簡単に、あっという間ににゴマがすれてしまうのだ。
何を隠そう大のゴマ好きの私。
自分で作るものは何でもゴマかけて胡麻化してまして(^^;;)
今までいろいろなゴマすり器を試してまいりました。
やはり擦りたてが食べたくて。
でもすり鉢で毎回擦るのはやっぱり大変だし、
ミルタイプは結局「擦る」のではなく「カット」なので風味がいまいち。
数々のごますり器に失望してきた私は
最近は家で美味しく擦るのを諦めて
「すりゴマ」を買って冷凍保存で頑張っていたのですが・・
出会ってしまいました。
「ごまあたり器」だと、
簡単に魔法のように美味しく擦れてしまい最高!!
よ、4200えんもしてしまうのだが、
それだけの価値は十分にあるのだ。
ちなみに中はこんな感じ。
溝はありません。
不思議だなあ。
。
これに出会って毎日バラ色〜♪いやゴマ色〜♪
ゴマ好きの方、ごまあたり器はここで売っていまーす
*ちなみに黒胡麻はやっぱり国産(特に鹿児島産)に優る物なし!
風味も色も全然違うんですよ〜
2011年01月28日
亀有「吟八亭 やざ和」
この道の先に、美味しいお蕎麦がある。
そしてお腹がとっても空いている。
そんな時、お恥ずかしいことに私はどう踏ん張っても我慢出来ず、
ついつい走ってしまう。
それをひそかに「蕎麦走り(そばしり)」と呼んでいる。
でもお蕎麦が大好きな人とわくわくしながら歩くと
あっという間だなあ!
蕎麦好きのまゆきちと「吟八亭やざ和」。
まゆきちは「初・やざ和」ということでフレッシュなわくわく感を
共有できるのがまた何とも嬉しいのだ。
まんず、「吟八亭やざ和」においては
何が何でも頼まにゃの「そばがき」。
可愛らしいデザインながらどこか中世の武具めいた金属製の蓋付き。
「風の谷のナウシカ」にでも出てきそうな魅力的な堅牢さだが
蓋のなかは、もにょぉ〜ん、ふわぁ〜ん
とろけるばかりの世界である。
はじめて「吟八亭やざ和」の「そばがき」を食べた時の衝撃は忘れられない。
蒸気が運ぶ、この上なくかぐわしい香り。
ここの「そばがき」は一般的なものとは一線を画している。
ぽってりしたそばがきが、澄んだお湯の底に沈んでいるのではなく
「特濃蕎麦湯」の中にジッとしているのだ。
その蕎麦湯の濃厚さときたら
「そばがき」さんが揺らぐことも身動きも全くできないほどの超・特濃。
蒸気からの香りが「特濃」なのも当然なのだ。
唇がまず出逢う、とろぉりかぐわしき濃厚蕎麦湯。
そしてその中の、もったりフワフワのそばがき。
口の中は隅から隅まで、もにょぉ〜ん、ふわ〜ん・・
なんと馥郁たる小宇宙。
冗談ではなく「ココはドコ?」の境地である。
熱いものはアッチアチが好きな江戸っ子の私には今日はちょっとぬるめだったが
(スターバックスでミルク入りを頼むときはエクストラホットでございます)
まゆきちにはちょうど良かった様子。
さて「そばがき」の夢も醒めやまぬうちに
「せいろそば」。
おお、香りは「そばがき」と同じ、
なんともバランスの良い濃厚なかぐわしさだ。
そして今日の「せいろそば」はこれまた物凄いきめの細かさである。
密着してくるような舌触りすら感じるつるつるの肌。
むにゅーうとちょっとのびるようなコシは
津軽蕎麦を思わせるような食感である。
香りは「そばがき」と同じだが噛みしめるうちに
こちらの方が少し生々しい、力強い味わいを出してくる。
こちらは「田舎そば」。
まゆきち、両方あってよかったねーえ!うれしいねーえ!
きたー。
これぞ「吟八亭やざ和」の「田舎そば」。
写真からも香りが漂ってきそうではないか・・・・
しかし、最初たぐりあげたときは
期待よりは香りは軽かった。
「そばがき」や「せいろそば」とは全く違う、
香ばしい、たくましい香りをふわっと品良くまとう「田舎そば」。
ところがどっこい、そりゃ最初だけのフェイントで
ざっくりがっしりした歯ごたえを楽しむうちに
何もかもが濃くなる!これでもかと!どうだまいったかと!
そ、そんな四方八方から美味しくされては・・
とっくに白旗降参である。
夢はまだ終わらない。
これまた濃厚スペシャル、「吟八亭やざ和」の蕎麦湯。
そうそう、拙著「蕎麦こい日記」の巻頭カラーページ(グラビアと言っちゃおうか)において
私が子供のように口をパカッと開けて嬉しがっているのがこの蕎麦湯だ。
まゆきちも大喜び!
それにしても、私もまゆきちも今日食べたものといえば
「そばがき」「せいろそば」「田舎そば」「特濃蕎麦湯」。
お腹のなかは蕎麦粉だけではないか!!
(ふたりとも全く汁はつけていない・・。
勿論、蕎麦湯の「おつまみ」にちろっとなめますが♪)
もうこれ以上無理というほど蕎麦浸り、しあわせ浸りの1月の夜。
帰り駅まで全く寒くなかったのは
お腹の蕎麦湯が濃厚だったから、かな?
2011年01月25日
吉祥寺「手打ちそば 中清」
蕎麦の量が多い店は、嬉しい。
しかし蕎麦の量が多い上にいろんな種類の蕎麦を打っている店は
嬉しいを通り越して、つらい。
吉祥寺「手打ちそば 中清」がいい例である。
ここには「粗挽きそば」「生粉打ちそば」「あずまそば」「さとそば」と
常時4種類以上のお蕎麦がある。
なのに、なのに、1枚の盛りが非常に気前のいい量なので
ひとり行くと1、2種類が限界なのだ。
これをつらいと言わずして何と言うか。
だから先日、打ち合わせを兼ねて3人で行ったときは面白かったなあ〜
蕎麦4種を食べ比べできた上に、
「そばがき」「たぬき豆腐」や「天ぷら」まで!
中清の天ぷら,ひょっとしたら初めて見たかもしれないことに我ながら衝撃・・
蕎麦原理主義とまで呼ばれてしまった私、
たとえよく行く大好きなお店でも、つまみや種物に関しては驚くほど疎いのだ。
「そばがき」も、中清では久々。
ひとくち口に含んで感激。
なんて香り高いモチフワエアリー!!
蕎麦一枚めは「粗挽きそば」。
熟成ものと本日打ったものの食べ比べ。
こちらは本日
こちらが熟成
見た目の違いも歴然だが、味の違いはさらにかけ離れている。
熟成は、濃厚爆発、生々しいまでの力強い味わい!
対する本日のものは驚くほどその面影はなく
野性味も甘味も控えめ。
しかし、ざらつきのある肌を噛みしめると
個性的な野草のような香りがさわやかにひろがり
珍しい、不思議な魅力のある蕎麦だ。
へえぇー、こんな「中清」の「粗挽きそば」もあるんだ!
こちらは「生粉打ちそば」。
ふっくらと品の良い、まあるい香り。
すべらかな肌を噛みしめると見事なコシが楽しめ
そこからまたやさしい甘みがあふれる。
普段は「粗挽きそば」ファンの私だが、
今日に関して言えば
「粗挽きそば」より「生粉打ちそば」のほうが好きかも!
そしてこちらも久々、あずまそば(更科そば)。
ええっこれは・・・
美味しそうすぎるんですけど・・・・
ちょっとちょっと、
もうほんとに、やってくれますよ。
見てスゴイと思ったが食べたらやっぱりスゴイ。
何故更科までこんなに美味しいのだ!!
この上なく清らかな香り。
ふくよかな甘み。
舌に広がる白い味わい。
ああああ
今日はやっぱりこの「あずまそば」が一番好きかも・・
どんどんオオカミ少年になっていく自分。
最後に、「さとそば」。
田舎系二八そば、という位置づけのこの蕎麦。
いつも全くここまで手がまわらないのだが・・・
おおお、美味しい・・・
もう段々落ち込んでくるほどです・・
がっつりとたくましく深い蕎麦の風味。
かみしめれば、これまた嬉しくなるほどの甘み。
そしてこんな美味しい蕎麦を、
いつも食べないで帰る羽目になっている自分。
もうもう、今度から「中清」に来たら店の前を歩いていた人に
「今から一緒にたぐりませんかぁ〜」
と無作為に声をかけたいほどだ。
しかも3人くらいは必要なのだが・・
歌い手である私には禁煙でないところがちょとツライが
この雰囲気だからこその、この店。
好きなのにつらい、なんてまるで恋だが、
毎回全種類食べられない限り私のつらさは今後も続く。
つらい、せつない、大好きな「中清」なのだ。
2011年01月22日
沼津市「石碾蕎麦 おもだか」
付近は造成中ゆえ
店を見つけるのは最初は少々難しいかもしれない。
たどり着けばまだ広々とのどかな一帯。
1月の陽光が大地を隅々まで照らし、
辺りに人影はなく全く静かである。
しかし扉をあけてびっくり、
店は大人気の大繁盛、並ぶ人まで出るほどだ。
総木作りの美しい建物。
可愛らしい椅子は流木で作られ、座敷は桐の畳である。
梁が格子の飾りのようにめぐらされた天井も
実に清々しく気持ちがいい。
ここの人気おつまみは「おでん」。
静岡だしね、そりゃ頼まにゃ!
牛すじ、玉子,黒はんぺん、大根,こんにゃく。
じっくり味がしみたおでんは
出汁粉をかけて食べるのが静岡風だ。
この辛子、味わいがあっておいしいなあ。
さてこちらのお蕎麦は「もり」の中に
「粗くひいたもの」
「細かくひいたもの」
とありまして、「二種もり」というのもございます。
当然、ぜったい、それを!お願いします!
(こんなに混んでるけどまだあってよかったぁ〜・・(>_<))
まずは茨城は益子産の「細かくひいたもの」。
美しい・・・
なんという青さ。
眼を見張る若草色である。
うーん、人気の訳はもう十分わかってきましたよ・・・
手繰り上げると干し草のような、野の草のような
個性的な野趣のある香りがふわりと漂う。
それでいて味わいは淡白で
つるつるとした歯ざわりを楽しむ美しい蕎麦だ。
そして2枚目、
「粗くひいたもの」。
先程の「細かくひいたもの」の時は
「美しい!!」
と声に出して言った私であるが
今度は「エエーーッ 何これ!!」と言ってしまった。
こっこれは・・・
美味しそうにもほどがある。
携帯の待受にしたいくらいである。
薄い若草色に白いホシ。
太さといい、重なる重量感、空気感といい
いつまでも眺めていたいが一刻も早く食べたい、
なんとも悩ましいこの眺め。
同じ静岡だけに富士市の「蕎麦切り こばやし」での衝撃を思い出すほどの
美しい粗挽きの景色である。
手繰り上げると・・
確かに、粉は先程の「細かくひいたもの」と同じであるから
香りは似ている。
こちらの方がやや濃厚に野趣を感じるような。
しかし口に含めば、やはり個性の違いは歴然。
唇ですでに魅了される、その肌の心地よいざらつき。
噛み締める度、そこにほわあんと実にフレッシュな粉の香りが生まれ
それが味わいとしてじわあ〜と舌に溶けていく。
しかも時間が経つにつれ味わいも甘みも深まるのだから、
少しでも時間をもたせたい、何とかしてゆっくり食べたいではないか。
でも、なのに、アレー、もうなくなっちゃった・・・
外は寒いが、この木の家の中に挿す陽射しはあたたかい。
どんなに忙しくてもニコニコ笑顔の奥さんに
明るくもてなされ、なんと楽しい沼津の昼餉。
ちなみに汁も、「辛汁」と「甘汁」がありますよ〜
2011年01月19日
合羽橋「そば清」
1週間もブログ放置して、
死んでいるんじゃないかと御心配いただいたりもしましたが
高遠、生きております。
(最近はブログで生存が確認できるんですね)
ライブがあったり風邪と相撲とったり
忙しくしておりましたぁ〜
ジュリエッタマシーンのライブは
大好きなジュリエッタの音にほんわかと包まれて最高でした!!
来てくださった方、ありがとうございました☆
さてっ
忙しくともたぐるものはたぐらないと
それこそ生命にかかわりますから(^o^)
今日はこんなところでやっとりましたよん。
落語の「そば清」と同名店ということで、
蕎麦好きよりも落語好きの人のほうが
知っていたりするこの店。
合羽橋商店街に面したマンションの2階。
付近の店は殆ど閉まっているような閑散としたフロアーで
この店の存在は明らかに唐突だ。
しかし店に入ると意外にもしっとりとした和の趣が演出されていて
外の世界を忘れる。
自家製粉の十割蕎麦、本日は茨城産。
むうっと力強い香りと、やさしい歯ざわりの平打ち蕎麦。
汁がうどんのつゆのように薄いのも特徴だ。
明日は、吉祥寺だぁー
嬉しいなあー!
2011年01月12日
千葉・養老渓谷「手打蕎麦 ゆい」
千葉県は大多喜町、養老渓谷にのんびりと佇む古民家。
「どうぞ中へ」
にこやかに招き入れられてはじまる、
「ゆい」の時間。
ほんの数分前まで車に乗っていたことが嘘のように、
やすらかな時間。
生けられた花も、
暖簾などのちょっとしたインテリアも、
そこかしこにある手書きの表示も。
この家の人の人柄、あたたかさが伝わる絶妙のセンスの良さに
まずは驚き、すぐに和む。
無機質なまでに研ぎ澄まされた洗練なんてものは、
真似するのも簡単だ。
この美しい家の居心地の良さは、この家の人にしかできない、
ここにしかない形をしている。
「店」とは書きたくない形をしている。
軒から射す自然光の中で出会う、山の恵み。
「ゆば刺し」
「野山・まいたけ天盛」
高級品の金時人参、と思いきやなんとこの家の畑で採れたそう。
味が濃くておいしい!
そして、蕎麦。
正直言って、私はもうお蕎麦がそれほど美味しくなくても
この家、このもてなしに、大いに満足してしまっていた。
のんびり農道であくびをするようにくつろぎきっていた私に
突如やって来た心の大津波!
その蕎麦に対峙し、思わず「エエエーッッ」と小さく叫んでしまった。
あまりに心の準備ができていなかったもので。
南天の葉や紫大根の彩りがいかにも「ゆい」らしく可愛らしい、
その蕎麦を見入れば・・・
息をのむ、青緑。
ふんわりと空気感をもって重なる、清らかな宇宙に
私は吸い込まれてしまいそうであった。
ドキドキをおさえつつ箸先にそっとたぐると
体を吹き抜けるかのようなフレッシュな香り!
ふくよかなコシに恍惚としつつ、ゆっくり楽しもうとすると、
おっとこのお蕎麦、伸びがとっても早いのだ。
美しきもの、はかなきいのち。
しかしその肌がぴとぴととした頃の超・濃厚な香りもたまらないので
わざとゆっくり食べた・・が一瞬でなくなった。
この家に私が居たのはそう長い時間でもなかったのに
「ああ、おいしい」
「おいしかったー」
の声を何度聞いたことだろう。
お昼時の店内は気づけば満員だが、不思議と騒がしさはなく
のどかな静けさ。
どのテーブルも実に楽しそうにくつろいでいて、
この店が如何に愛されているかがよくわかる。
笑顔が素敵な奥さんの、人柄がにじみ出るサービスも
この家の大きな魅力。
「店」とは書きたくない、ここは「ゆい」という家である。
2011年01月10日
2011年01月08日
1/15ライブ出演のお知らせ!
今度の土曜日、1/15に
ゲスト出演するライブのお知らせでーす☆
昨年11月にはじめてゲストで歌わせていただいた
ジュリエッタ・マシーン。
私自身大ファンの、本当にかっこいいバンドです。
ジャジーな痛快さ、ボサノバの飾らぬ洗練。
音楽を言葉にするのは下手くそな高遠ですが
とにかくニクい程かっこいいので超おすすめ!!
しかもどれだけニクいかって、この方々全く飾り気が無く、
いつも着ている普段着で出演なさいます・・・
(長身、モデルのような美女江藤さんまで!)
チケットをバンバン売るとか、
宣伝しまくるということも全くありません。
てなわけで高遠としてはこの素晴らしいバンドのライブを
一人でも多くの方に見ていただきたいです!
会場のTUBOは千歳烏山駅からすぐ。
駅前の「典座」でたぐってから是非!
当日は私も「典座」、絶対行っちゃうな〜(^o^)
Giulietta Machine/ Sweet Sunshine
2011年1月15日(土)
千歳烏山TUBO
03-5313-8151
OPEN 19:00 / START 19:30
□Giulietta Machine 江藤直子(key)、大津真(g)、西村雄介(b)、藤井信雄(dr)
ゲスト:高遠彩子
□Sweet Sunshine
.
2011年01月07日
茨城・境町「蕎楽」
まだお正月の晴れやかさの残る青空。
「蕎楽」の前のバス停に降り立った私の心は
それより更に晴れ渡っている。
大好きな「蕎楽」!
しあわせに満ち足りると余計なことは何も考えられなくなるものだ。
今日は超のつく蕎麦好きのまゆきちと一緒なので
どんなに挙動不審でも大丈夫!(もっとまずいのでは)
ふたりして歓喜の奇声をあげつつ「こんにちはぁ〜」。
ああうれしや久々の「蕎楽」。
のんびり広々とした店内だが
ここの蕎麦打ち場をよく見ればこの店主が普通の人でないことはバレてしまう。
手短に説明するのは大変難しいが
「蕎楽」の店主は開拓者であり発明家でありいたずら坊主!
そのアイディアと行動力はとどまるところを知らず
もと電気屋という技術もあって思いついた機械を自分でどんどん作ってしまう。
現在は「蕎麦屋」であると同時に「石臼屋」でもあり
この店主の目立て(どんな蕎麦が挽けるかを決める石の刻み)による
石臼は数々の名店でも使われているのだ。
私の下手な説明よりも、蕎楽のHPの「石臼研究所」のページ。
ほ〜ら、スゴイことになっちゃってるでしょう?
その店主が目をキラキラさせて「今おすすめだよー」というからには
大喜びで注文しました、「ゆり根のかき揚げ」。
日常すすんで天ぷらを注文しない私だが
(実はあまり胃が丈夫でない)
「蕎楽」の天ぷらは本当に美味しいので、いつも必ず。
サックサクで美味しい!
ゆり根、いいなぁ〜
そして「蕎楽」ではこの
「舞茸天ぷら」を食べずしては帰れない。
「蕎楽」は舞茸には力を入れていて、その美味しさには毎回驚かされる。
これは「蕎楽」が惚れ込んだ、群馬の山奥で栽培されている舞茸。
勉強熱心な家族経営農家のものだけあって
大資本ものとは香りが違う、大きさ、食べ応えが違う!
舞茸好きにはたまらない絶品天ぷら。
しかしこんな美味しい天ぷらを前にしつつ、
私の心はもう先程から雪の結晶のように純粋に透き遠り
それが風車のようにくるくるとまわっているイメージでいっぱいである。
何言っているのだか訳わからないと思うが
自分でも何言っているのだか訳わからなくなる程、
要は「蕎楽」の蕎麦が好きすぎるのだ。
もうすぐ会えると思うと言葉にならない。
ああ今、眼の前に。
「彩美そば」、その美しさよ。
写真ではその貴さが伝えきれないのが誠に残念である。
しっとりとおとなしい印象ながら、見入ればその肌の「特別さ」にハッとさせられる。
繊細な凹凸を持った肌、そこにゆらめく白い影。
たぐりあげ、香りを寄せてまた目が冴える。
美しく透き通る香り!
蕎麦の香りの美しいところだけを清らかに浮かべている。
見た目に反してちゅるちゅるとした喉越しの良さ。
ウワーこれはしあわせ。今日来てよかった・・・
2枚目「全粒そば」。
(ちなみに今回は全てまゆきちと1枚を半量ずつ。それでもこのしっかりした量だ)
「彩美そば」よりもぐっとたくましい印象。
まだ口に含まぬうちから、ふわ〜〜〜と漂う香ばしい香りがたまらない。
しっかりとした歯ごたえ、力強い風味。
3種ある蕎麦の中ではこれがいわゆる「田舎そば」のような性格になるのだと思うが
それがどこか品の良い、優等生な印象であるところが面白い。
3枚目「十割そば」。
ウワー
これは・・・
今回は行く前から店主より「今、蕎麦とてもいいよ」と聞いていて
期待はしていたが、うーん、この眺めの素晴らしさときたら!!
ドキドキする。
こんなにもこんなにもこんなことをされては、私はドキドキする。
(ついに故障)
ああああ なんですかねこれは!!
繊細に震える輪郭線、素朴な凹凸。
優等生な印象の「全粒そば」というのも面白かったが
「十割そば」としてこの眺めはさらに意表を突かれるではないか。
はかなく繊細な粗挽き。
しかし静かな存在感は凄みがあるほどである。
手繰り上げると、お?意外にも香りは淡い。
眼を閉じて探る。何かある。
下から静かに、これまた意表を突かれる個性的な香りが浮かんでくる。
ざらつきつつしっかりと密な歯ごたえ。
その奥に潜む、掴みどころのない不思議な香りを追いかけ
あああああ、しあわせだぁー
大好きだぁー 蕎楽。
食後は「蕎楽」定番デザート、蕎麦アイス。
しかし今日は興奮しすぎてフガフガ空気まで食べまくったか
お腹がいっぱいでどうにも入らないのでこれはまゆきちだけ。
でもそこはまゆきち、何もかもお見通しで
「あやちゃん、蕎麦の実のとこ食べたいでしょ?」
と一口くれた(^_^;)
「うん、そこ食べたい」と子供のように図々しくもらう私。
茨城県といってもすぐそこは埼玉県という最も東京に近い地域。
「東武動物公園」駅前から「境車庫」ゆきバスに乗れば
40分で店の真ん前に着いてしまう。実に簡単だ。
今年は蕎麦の出来がよく、今「蕎楽」にはとてもいい玄蕎麦が入っているそう。
今度の休みはのんびり境町、いかがですか〜
.
2011年01月06日
恵比寿「手打ち蕎麦 慈玄」
恵比寿駅からそう遠くないのに
辺りはすっかり静かな住宅街。
路地に面した佇まいがまず良い。
こじんまりとした店は奇を衒わぬ小慣れた印象、和の設い。
最近は堅牢な壁で覆われた、中の様子が全く伺えない店が増えているが
ここはシンプルな硝子戸で、通りからもその小さな世界が伺える。
私はさっぱりとしたこの空間がとても好きだ。
潔くしめられひんやり清洌な冷気を放つ「せいろ」。
これだけしめられながらも美しく淡く香り、
噛み締めた刹那ふくよかな、素晴らしくかぐわしい空気が
口中に生まれる。
つるつるすべらかな喉越しと王道のコシ。
美しい蕎麦だ。
田舎
たくましい見た目からの期待を裏切らぬ野性的な香り。
最初感じた香ばしさ、甘みはゆっくり食べるに連れて深まり
力強い蕎麦の風味を楽しめる。
箱の中に端整におさまった都会と田舎。
これはやはり、浅草の路地ではない。
恵比寿の駅前でもない。
「恵比寿の路地」によく似合う、洗練の蕎麦である。
.
2011年01月04日
新宿タカシマヤ「総本家 小松庵」(初蕎麦)
年末年始に蕎麦がたぐれないのは毎年のことだ。
一番の理由は私の実家に年越し蕎麦という習慣がないこと。
これは家族で蕎麦好きなのが私だけなので仕方がない。
明けてお正月はお蕎麦屋さんに限らず飲食店はほとんど休みである。
年越しそばで年末が殺人的に忙しいお蕎麦屋さんは尚更だ。
とは言え3日も蕎麦がたぐれないとなると
これは私にとっては死活問題である。
忙しくてお蕎麦屋さんに行かれず3日経ってしまうことは稀にあるが
行かれるのにやっていない、お蕎麦が食べられないというのは辛いものだ。
そんな時に心強いのがデパート上や繁華街のお蕎麦屋さんだ。
これ以上下がれないほど血中蕎麦粉度の下がりきった体で
新宿で買い物を済ませた昨日の夜。
(欲しかったブーツが買えたぁー♪)
初売やセールでごった返す人ごみの中、
前の人を追い抜き追い抜き、カッカッカッと大股で歩き
目指すは「彩蕎庵 吉遊」。
大股早足なのは元気だからではなく
もう早く早く早く、お蕎麦に会いたかったから。
ブーツ売り場ではヘトヘトだったくせにお蕎麦となるともうこれだ。
ああ〜うれしいなぁー、もうすぐ会える。
お蕎麦〜 お蕎麦〜♪
よしよし、電気もついてる。
なんだかんだで便利なもんでよく来ちゃうのよねココ〜 ランランラン〜
と階段を降りると
( °o°)
松本城の如き黒々と堅牢なシャッター。
そんなぁ〜〜〜
だったら地上の電気をつけないでおくれ〜
(よくあることですが。きっとビルでまとめて点灯するんでしょうね)
でもそんなことであきらめるわけにはいかない。
がっかりしている間に「低血蕎麦」で倒れるといけない。
(蕎麦の実持ち歩こうか・・)
ハイ次、次!
「手打そば 大庵」なら駅前だしやっているだろう。
ほら、遠くからでも看板の電気がついてるのが見えるし!
(;o;)(;o;)(;o;)
看板の電気(ビル上方)はついてるのに・・・
というわけで、流れ流れてたどりついた
新宿タカシマヤ「総本家 小松庵」。
そうに書くと
「どこも閉まっていたので仕方なく」というように聞こえるかもしれないが
(いや実際あの時はそうだったのだが)
しかし私は、全てが決められていたことだと思った。
あのドタバタは、あの蕎麦に会うための序章であった。
そう思えるほど、あまりにもすばらしかったのだ、小松庵!
値段がやや高い小松庵であるが
ただいま「新蕎麦まつり」としてこんな楽しいセットがありましてね。
(汁より蕎麦が手前になっているのは私が並べ替えたものです)
これだったら蕎麦は1枚の半量ずつ3種楽しめるし
豪華な汁もつくし小松庵にしてはお得感あるセットだ。
ただ個人的には汁は辛汁だけでいいので
シンプルな3種蕎麦のセットを作って欲しい。
だって蕎麦が、素晴らしすぎる!
汁まで食べ比べる暇などあるわけがないのだ。
二八
生粉打ち
粗挽き
まずひとたぐり、私は二八から食べた。
・・・・・もう、もう、もう、
今思い出しても眉間にシワが寄りそうなほどの衝撃、感激。
この上なくかぐわしい蕎麦の香りが全身を駆け抜け、
それはもはや「ショック」と言ってもよかった。
本当に我ながらおかしいんじゃないかと思うが、私には、
かぐわしい大風が私をブワーッッと体ごとさらっていって
奥に見える13階の窓からの夜景を遊泳するようなイメージまで見えた。
私はどれだけ蕎麦が好きなのだろう。
二八の、すべてを兼ね備えた深く濃い香り。
甘くて、香ばしくて、力強くて。
生粉打ちの、この上なくきめ細かい肌。
二八に負けず劣らずの香ばしいかぐわしさ。
粗挽きの、意外にも品の良い清らかで澄んだ香り。
その奥に潜む、何やら掴み難いほど淡い、非常に個性的な香り。
しっかりしているようでどこかはかない粗挽きの食感もまたいい。
大袈裟といわれようが笑われようが
広い店内の片隅で、私は目がジワッとくるほど感動してしまった。
都会のデパート、お正月の喧騒。
その中で今日私が出会えた北海道西十勝・新得産の新蕎麦。
この蕎麦を育てた農家の人。
この店でこれを碾いた人、打った人。
この蕎麦を作ってくれたすべての人達のところに走っていって
「あけまして、おめでとうございます」
と言いたい気持ちだった。