今日はみゆきちゃんと 湘南でのんびり〜 やっぱり湘南はいいなあ お魚がおいしいのも何より 今日は例によって このまま江の島泊だーい |
2010年11月30日
2010年11月29日
神楽坂「芳とも庵」
情熱の人。
神楽坂に熱い場所がある。
津軽そばを出す店ではあるが
店先にしつらえられた竹垣や店内を飾る赤い和傘など
どこか京風で小綺麗なイメージのインテリア。
しかし客席に対しての「蕎麦打ち、製粉スペース」の広さをご照覧あれ。
製粉の機械も石臼があるだけではなく、
選別機、脱皮機、玄蕎麦貯蔵用冷蔵庫と
店主に会わずともその本気度が伝わってくる。
もうないものは畑だけと言ってしまいたい。
ここでは津軽名物の呉汁を混ぜた「津軽そば」のほか、
「江戸」「田舎」と三種類の蕎麦に出会える。
まずは、「江戸」。
見た目はすんなりとおとなしいが、むわあ〜〜
素晴らしく濃厚な香り!
植物の根を連想するような、生々しい土の力を感じる力強い香りである。
この手の香りの中には、ちょっと好きになれない要素も含まれがちなのだが
この「江戸」は、違う。
北海道、摩周の大地に抱かれるようなうっとりするようなかぐわしさだ。
舌触りは繊細でやさしく、
しかし噛みしめると凛としたコシがあり・・
うわーん おいしいよう・・・おいしすぎる・・もっと食べたい・・・
「田舎」。
こちらも同じく北海道摩周産。
先程の「江戸」から「根」の印象だけを取り去ったような
むわぁーとした力強い香りである。
しかし噛みしめてびっくり。
これは・・・私が今までに体験した中でもトップクラス(いやトップかも)
の蓬の味わいである。
蓬の風味を持つ蕎麦には稀に出会うことがあり、
その野性的な魅力はたまらないのだが、
これほどのものは・・・・なんて美味しいのだろう!
ああああああ
いつまでも噛み締めていたい。
できるだけ長くこの人と一緒にいたい。
噛みしめると粗挽きの粒がニクイ程ごく微かにチリッといいます。
そのたびに嬉しさが登りつめ先程から
顔がうすら笑いになっております。
他のお客さんから見えない位置で良かった・・
最後は、この店の名物である「津軽」。
打って変わってクリーミーな印象の肌。
大豆の呉汁でこねる津軽地方の郷土蕎麦は
神楽坂のこの地で、なめらかに上品な表情をたたえていた。
箸先にたぐると、ふわあっ、と香りもまたクリーミーでまろやか。
やはり豆乳のせいだろうか。
口に含むとつるりとなめらか、コシがやさしく伸びる感じで
繊細な歯ざわりの中から大豆の風味が品良く感じられる。
お、おいしい・・・こんなにおいしい津軽そば初めてかも(>_<)
大豆の汁で作る津軽そばはやはり難しいらしく
今まで「ちょっとこれは・・」と
頭がハテナマークで占領されてしまったような体験も少なくないだけに
「芳とも庵」の美味しさの感激は大きい。
3種の蕎麦の恍惚でもみくちゃになったような気分の私に
じんわりと優しいとどめを刺すかのような蕎麦湯。
え〜〜〜
どうして蕎麦湯もこんなに美味しいんですか〜
濃厚でありながら繊細な印象の微粉の均一感。
呉汁のせいなのか?何とも言えないまろやかなうまみがある。
若き情熱の職人が営むこの店も
この11月で3周年を迎える。
12/3まで3周年記念の特別メニュー(予約)のイベントを
やっているので、是非是非!
江戸せいろが産地別(ともに新蕎麦)で食べ比べできますよ~
2010年11月27日
武蔵境「深蕎人」
2010年11月26日
名物かいぶつ祭
今年もやってきましたこの季節が!
私が参加させていただいている
日本一おかしな句会「かいぶつ句会」
年に一度のお祭のお知らせです。
第9回 名物かいぶつ祭
日時: 2010/12/18 15:00~19:00
会場: 伊千兵衛 dining(吉祥寺駅より徒歩5分)
東京都武蔵野市吉祥寺本町1‐29‐6 2F
050-5816-6369
会費: 5000円
(食事と3時間飲み放題+かいぶつ句集)
限定50名
鬼才・榎本了壱氏が率いる我らが句会ですから、
お祭りも同人達の個性爆発。
サエキけんぞうさんのビデオパフォーマンスから
アナウンサー・阿部知代さんの朗読、
女優で画家の蜷川有紀さんのトーク&ライヴペインティング、
落語家・金原亭世之介さんの落語。
声優・白石冬美さんの時間もあるので
怪物くんやパタリロにも会えちゃうかも・・?
もちろん私も歌いますよ〜
その後は句会らしく、会場の皆さまに選句していただく
「句大会」もあります。
ちょいと自慢になりますが、去年、一昨年と2年連続で
奇跡の「天(一位)」をいただいた私であります。
イエイ(^o^)V
おかしなオトナの楽しい会。
皆様是非いらしてくださいね。
2010年11月25日
長野・白樺湖「手打蕎麦処 朝日ヶ丘」
しずかなちいさな観光地、白樺湖。
その畔の丘に立つ「朝日ヶ丘」は
100%自家栽培の蕎麦屋であり、宿である。
引き戸を開けるとそこは蕎麦屋ではなく
宿としての入り口。
といっても普通の家の広々した玄関のようだ。
石油ストーブの匂いが懐かしさをかき立てる。
玄関右手の襖をあけると畳敷きの広間になっていて
そこが蕎麦屋であり、この宿のダイニングルームである。
先客は地元の人らしき年配のグループ。
静かな部屋にぽつぽつと響く土地の言葉。
ほんの数時間前までビルだらけの東京にいた事が信じられない。
ホワイトボードには
「きのこあったかそば(しば茸)」
「我が家のじゃがバター」
「野菜の天プラ」
などの家庭的なメニューほか
「じいさんばあさんの作ったはぜかけ米5kg入」
なんてのもある。
そばを食べる前から
すっかりこの店が大好きになった私に
「はい、お待たせしました 〜」
と運ばれてきた「田舎そば」。
この土地で育った力強い蕎麦の香り。
干し草を思わせるような、
穀物の生命力を感じる香りに目を閉じる。
口に含むと細切りの輪郭線は思いの外くっきりと繊細で、
口の中に流麗にほどけるのが心地よい。
色こそやや黒めだが、
田舎そばというよりは洗練の印象さえ受ける食感である。
ああー おいしい。 本当に来てよかった。
気がつくと、厨房から店主らしい男性がこちらをみている。
私がつゆもつけずに食べいてるのが見つかったかとギクッとしたが
(私はいつもそのことにビクビクしている)
そんなことではないらしい。
「新蕎麦だでね」。
大きな声でいい、ニコッと笑う。
そうか、おじちゃんがつい最近刈り取ったばかり蕎麦なのだ。
そう聞くとなんとありがたく嬉しいのだろう、おいしいのも当然だ。
聞けば、おじちゃんだけでなく「一家総出で」、
店から8km下った畑で、畑仕事をしているそうだ。
宿もやりながらの話であるからそれぞれの仕事の繁忙期は
さぞ忙しいことだろう。
「すみませんねぇ今日はいつもより早じまいで。
今日はちょっと”まつりごと”があるでね。」
と今度は奥さんが話しかけてくれる。
”まつりごと”ってどんな?と聞くと、
諏訪湖の御柱祭が有名なこの地域、
さらに各集落、各地域にもそれぞれの小さなお祭りがあり、
小さな御柱を立てたりするのだそうだ。
今日やるお祭りはこのあたりでも時期的に最後のお祭りだそうで
どのくらい小さな祭事かというと、
「うちと本家と2軒だけ」。
その小さなお祭りを毎年守り、大切にしてきているのだ。
今日はそのために早仕舞いの準備をしつつ、
最後にやってきた客にも
実に親切で、にこやかで、あったかい。
心があたたまるというのは、
こういうことである。
お店のHP(ブログもあります!)
2010年11月24日
ライブ終了!
2010年11月23日
山の蕎麦に会いに
2010年11月22日
葛西「石臼挽手打蕎麦 清かわ」
東西線「葛西」駅、京葉線「葛西臨海公園」駅のちょうど真ん中あたり。
頑張ればディズニーランドの「舞浜」駅も徒歩圏内である。
一軒家やマンションが立ち並ぶ住宅街。
突然現わる「手打蕎麦」の看板はやや唐突でもあるが
私には心洗われるようなやすらぎの景色だ。
「手打蕎麦」・・・いくら見つめても見飽きない美しい漢字四字である。
私も家の前に飾りたくなるが、知らない人が入ってくると困るのでやめておく。
広々とした店内は
家族連れにも良さそうな雰囲気。
まずは、せいろ蕎麦。
淡く甘い香りに誘われ口に含めば
するするとすべらかな肌。
そして噛みしめると、ムッチリ、しっかりしたコシが
印象的な蕎麦である。
田舎せいろ蕎麦。
黒っぽい肌にチラチラ、くっきりと浮かぶホシ。
箸先にたぐると田舎らしい野性的な香りがふわっと感じられて嬉しくなる。
歯ざわりはせいろよりやさしく、ふかふかと噛みしめるごとに
最初に感じた野性的な香りが口の中で新鮮に生まれ、重なり、濃くなっていく。
蕎麦だけでも十分満足だが、
この店はそれだけで帰ってはもったいないようだ。
メニューを見ると
「かれ〜せいろ蕎麦」「鰊せいろ蕎麦(自家製)」「かれ〜南蛮(自家製)」
などの蕎麦メニューから
「開化丼」「椎茸丼」「天重せいろ御膳」
などご飯物も充実。
「釜揚げうどん」「鴨鍋うどん」
などうどんもやっている上に季節毎のコース料理もある。
もちろんおつまみも、そして日本酒の品揃えも豊富だ。
おつまみの「富山の白海老」って気になるなあ〜
2010年11月21日
三鷹市大沢「蕎麦 地球屋」
またこの家に帰って来た。
私の心の中で
いろんな思い出がクルクルと回る。
のどかな野川の畔、懐かしい家。
この家で過ごす時間は、今ここにいるのに「記憶」のような時間だ。
今ここにいて、こんなにのんびりした時間が流れているのに
いつまでもここに流れていて欲しいと勝手に切なくなっている。
この窓辺で食べるこの味。
私が愛して止まない、地球屋の「野菜の煮物」。
ひとつひとつの素材がみずみずしく澄んでいる。
どこまでも自然でやさしい、地球屋の味。
私は、こういうものが食べたかったのだ。
いつもせいろそば専門の私。
はじめて食べた、温かいきのこのつけ汁で食べる「勇み蕎麦」。
この汁が、大変に美味しい!
きのこの出汁が滋味深く、柚子胡椒が絶妙の加減で効いていて、
一人なのに思わず「おいしいぃー!」と声に出して言ってしまった。
これからの季節、これは太鼓判のおすすめだ。
さらに、つけ汁でなくこの汁の中に蕎麦が入った温かい「祭りそば」は
なんと底にご飯が沈んでいるというサプライズが。
かなり人気でなくなってしまうこともあるらしいが
寒い日には是非試したいメニューだ。
そして、蕎麦。
初冬の光の陰影の中、
地球屋の蕎麦は完全な美しさで私を魅了する。
清らかな空気をさっくりと間にはらみ
涼しげに重なるその姿。
ひんやりとした空気から伝わる淡い香り。
口の中で1本1本がハラハラと流れていく感触が
実に心地よい。
私はここの器もみんな好きだ。
冬の日は傾くのが早い。
ここは、私が帰ってくる場所だ。
2010年11月20日
堀切菖蒲園「手打ち蕎麦 人と木」
いかにも京成線沿線らしい下町情緒あふれる町、堀切菖蒲園。
駅から数分で歩ける範囲に
居酒屋好きやモツ好きの聖地のような店が点在し、
それらがみんな普通の住宅と並んで町に溶け込んでいるのが面白い。
そんな「堀切菖蒲園」駅のすぐそばに
新しく蕎麦屋が出来た。
このあたりに美味しいお蕎麦屋さんがあったらいいなと思っていた私には
嬉しいニュース。
「手打ち蕎麦 人と木」。
趣ある扉に洒落た暖簾がよく似合う、
和の心意気の伝わる外観。
何より、そこに乗り付けたママチャリ2台に私はシビレる。
いいじゃあないですか、
早くもご近所に愛されている証拠!
店内も居心地の良い軽い雰囲気ながら
和の情緒が上手に取り入れられている。
こんな棚で空間を飾りながら
上手に間仕切りしているのもとてもいい。
そして「せいろ蕎麦」。
ほおおっ
なんだかちょっと縮れておりますよ。
くるくると細かく散らして盛られた美しい姿、
「盛り技」の妙にまず目を見張る。
更に見入ればゆらめくような、穀物の自然の色あいの感じられる肌。
うん、これは美味しそうですよ!
箸先で寄せた香りはやや熟成感のあるしっかりとした香り。
そして口に含むと、かなり強いコシのある固めの蕎麦である。
くるくるひらひらした見た目に反して食べ応えがあり、
モグモグとしっかり噛みしめるうちに蕎麦の甘みが濃厚になってくる。
気がつくと、入り口のところに今入ってきたらしいお客さんが立っている。
いかにも「ご近所の人」といった雰囲気の二人連れ。
片方のおば(ぁ)ちゃんはクマのアップリケがたくさんついた
ピンクの割烹着を着ている。
おばちゃん、大きな声で
「はぁー 昨日に引き続き、」
と言いながらドスンと壁際のテーブルに腰を下ろす。
やって来たお店の人も至極普通の声で、
「あ、そう、そこ? どーぞ。」
と答える。
・・・またまたシビレたね。
もちろんこのお客さんはご近所の常連さんだからこそだと思うが
私にお蕎麦を出してくれた時もマニュアル通りでない、
飾らないが心の伝わる接客だなあと思っていたのだ。
しかもご近所さんが2日続けて来てくれるお店。
実は冒頭の写真は帰り際に撮ったものなので
あの2台のママチャリはこのおばちゃん達の愛車だ。
私も次回は是非ママチャリで乗り付けたい店である。
(何時間かかるんだー!)
2010年11月19日
神奈川・鶴巻温泉「手打そば 信玄」
小田急線「鶴巻温泉」駅と「東海大学前」駅のちょうど真ん中。
「石臼挽自家製粉 手打そば 信玄」はのんびりと幟を掲げている。
中に入ると思いの外広々とした店内は
堀ごたつ式のテーブルがかなり間隔をもって配され
ゆったりとくつろげる印象。
しかしながら何かの道場のような熱い硬派な雰囲気も。
厨房も接客も男性というのが、この店には実によく似合っている。
蕎麦の種類もなかなか熱い。
なんと今日は4種類もある。
細挽きせいろ
手挽き粗そば(5食限定)
十割そば
田舎そば(太打ち)
この上手打ちのうどんもあって
種物だって「豚汁せいろ」「「牛スジカレーうどん」「蔵王鴨せいろ」ほか色々あって、
お昼には「大山地鶏丼、蕎麦、野菜の炊合せ」なんてセット物もやっている。
手挽き蕎麦までやる本格派ながらこのメニューの豊富さは凄い。
そしてそれぞれのメニューが何となく
男性らしくガッツリ美味しそうな感じがまたこの店である。
湯飲み茶碗して出された蕎麦猪口には金継ぎが施され
この道場のような店内で眺むるによい景色だ。
「細挽きせいろ」。
見た目はそんなに細く見えないかもしれないが
口に含むとザラザラの粗挽きでありながら繊細な細打ちなのが印象深い。
この香りは北海道かな、と思ったら本日はやはり北海道産の新蕎麦。
細挽きは「粗挽き外二」とある。
お次は、5食限定なのにまだあって大喜びした、
「手挽き粗そば」。
この、見るからに香り豊かそうな眺め。
豪華にホシをまとった粗挽きの肌も見事ながら、
私をうならせるのはこの素朴に歪む輪郭線である。
嗚呼ずっと見惚れていたい。
口に含むと先程の「細挽きせいろ」に通ずるちょっと個性的な香りを淡くまとっている。
見ためから期待したとおりのザラ粒の舌触りが嬉しい蕎麦。
最後は「十割せいろ」
こちらは打って変わってすべらかな肌と、
強靭なコシを持った蕎麦。
これまた、「細挽きせいろ」「手挽き粗そば」と同じ個性的な香りを
かなり濃厚にまとっているのが面白い。
確かにこれも北海道の蕎麦なのだが、
産地は「細挽きせいろ」とはちょっと違って「雨竜町産」である。
もともとしっかりとした味わいは噛みしめるほどに濃くなっていく。
「信玄」にて、
勇ましき山梨でなく
たくましき北海道を感じた午後であった。
2010年11月18日
snapshot@Cay
すっかりご報告遅くなっちゃいました〜
先日のイベント、
SUPERBOY INC. 25TH ANNIVERSARY PARTYは
本当に楽しい会でした
出演者があまりも豪華で素晴らしく・・・
あんな内容の濃い、質の高い会に参加出来てしあわせでした。
そして何より、大好きなジュリエッタ・マシーンと
一緒に演奏出来たことが嬉しかったです。名曲(>_<)
いらしてくださったお客様、スタッフの皆様、
本当にありがとうございました!
写真は終演後、来てくださった私の愛しき愛しきお友達の皆様と。
歌いながら客席に見つけて、緊張が解けました。
アリガトウ
2010年11月17日
千葉・初石「更科 すず季」
もし、何も知らないでこの店の前を通ったら。
そこにそんなにも尊い世界があるとは
私は到底気づくことはできないだろう。
看板にはただ「そば処 更科」。
小麦粉味のそばをドーンと大盛りで出してくれて
ランチにはカツ丼とかカレーライス目当てのお客さんでにぎわいそうな雰囲気バリバリである。
「更科 すず季」さん・・ちょっとそりゃフェイントかけすぎでしょう!
・・と最初は思ったが、店をよく知ればこの外観もまた趣深い。
特に入り口を飾る松の木は
「イヨッ、すず季の松の木!」
と幕開けの拍子木でも打ちたくなるような決め姿。
ここは蕎麦だけでなく、蕎麦前も素晴らしい。
「穴子のにこごり」。
にこごり全般好物だが穴子好きの私には絶対はずせない一品。
御覧下さい、この穴子の立派さ、美しさを!
世の中、「こわれせんべい」ならぬ「こわれ穴子」のようなものが
ゼラチン質の中にチラホラ寂しく浮かぶ煮こごりも多いなか、
この「姿そのまんま煮こごり」は嬉しいじゃあないですか。
天然ゼラチン質の口溶けもやさしく、嗚呼のっけからしあわせ。
気づけば早くも店内はほぼ満席。
しかもランチ時だというのに
その内の一組以外は全員「昼酒組」という驚くべき眺め。
やっぱりねえ、飲んべえは美味しい店を放っておかない。
ここは天ぷらも大変美味しいのだ。
天ぷらで何が好きかと問われれば穴子と舞茸と答える私には
まず品揃えからして嬉しい。
そして「更科 すず季」の天ぷらはどこまでも潔く、
ガツンッ!バリッ!と揚がっている。
しかし「更科 すず季」はなんと言っても蕎麦である。
更科、と店名にはあるが分類としていわゆるさらしな蕎麦の範疇に入るものではない。
自家製粉石臼挽き、十割の「生粉ざる」。
この写真では、この蕎麦のゆかしき迫力が全く表現出来ておらず実に残念だ。
私はこの蕎麦に対峙し、漠然としたショックすら受けたのだ。
パッと見の印象はおとなしいのだが、
見入ればドキリとするほどの美しさ。
この蕎麦は、違う。
私が今までに見たどの蕎麦とも違う魅力だか、力だかを持っているに違いない。
箸先にたぐり上げ、香りを寄せると
ふわあと軽やかな、草のような香り。
ここまでは、まあ他でも出会えそうな蕎麦かもしれない。
しかし口に含んで初めて、
私が漠然と予感したものがここにあったと合点した。
この上なく尊い空気感、やさしい歯ざわり。
ひと噛み、ひと噛みが嬉しくなるほどの絶妙なコシ加減の内側から
次々こぼれる美しい穀物の味わい、芳しい空気。
この蕎麦は何か超越したものがある。
何でもなさそうに、軽々と雲の上に載せてもらったような心持ちだ。
こんな凄い蕎麦に出会えるとは!
この「生粉ざる」だけでも驚きなのに、なんとこの店には手挽きがある。
ああああ、しあわせすぎてどうしよう。
「手挽き田舎ざる」。
見るからにしっとりとやさしい肌。
これだけの黒さながら女性的な印象を受けるほどの
控えめなやさしい野趣である。
香りはおだやかだがしっとりした歯ざわりの中に生まれる
ジャリ感がたまらない。
ここでこうして書きながら気づいた。
(店でわからなかったことがあとで書きながらわかることはよくある。)
私は「生粉ざる」に対して「ゆかしき迫力」と書いた。
「手挽き田舎ざる」に対しては「控えめなやさしい野趣」と書いた。
後から思い出しながらでも、書きながら本能的になんとなく選んだ言葉というのは
実は一番確かなものだ。
「更科 すず季」の凄さは、そのゆかしさ、控えめさの奥に潜む迫力なのだ。
一見するとごくおだやかそうな姿ながら、
油断禁物、食べてびっくり。
まさにこの店の外観そのままではないか。
2010年11月15日
渋谷「炙 多心」
2010年11月10日
神田「眠庵」(八種もりの会)
またまた行ってきました、
神田「眠庵」恒例の「八種もりの会」。
毎回あまりにも楽しみで前日から血中蕎麦粉度調整を試みるほど。
(低めだとやはり染みわたり方が違うのだ)
今日は、先週行われた「八種もりの会」を
ダイジェストでご紹介!
1枚目、栃木の新蕎麦。
ほおおっ「眠庵」にしてはおおらかな太さ。
それでもやはり「眠庵」らしい繊細な印象を失わないのは
その輪郭線がやさしく震えるラインを描いているためだろう。
箸先の香りはふわっと軽く、
口に含むとこれまた「眠庵」としては異色の、モコッとした食感。
ちょっと福島の蕎麦のような。
しかしそれを噛みしめると、じわーと、
今度は唐突に力強い味わいが現れる。
店主の「香りが出にくいので太く太く心がけて打った」との言葉も興味深かったが
うーん、今日はスタートから個性派でますます楽しみ!
(ダイジェストのくせに長いー 手短に手短に)
2枚目、北海道江差の新蕎麦、品種はキタワセ。
「非常につながりにくいのでそこを気をつけて打ちました」
とのコメントを聞いてから一口、くちに含んで驚く。
この食感は!!
こんなにもこんなにもやさしい歯触り。
その中に、何とも言えぬ「静かな、たしかなコシ」があるのだ。
味わいや甘みが淡い分、草原のようなさわやかな香りが
軽やかな空気のように口中を染めるのが眼に見えるようだ。
しかしそれより何よりこの蕎麦はこの食感である。
つながりにくい蕎麦を、逆にここまで「食感で魅せる蕎麦」にしてしまうとは・・
うーん・・
(1枚目よりは手短に・・なってない)
3枚目は09年、昨年の富山。
写真で見ると太めに見えるが実際見たときは特にそうは感じず
その素朴な輪郭線と曲線に見惚れていた。
手繰り上げると、おおーっ 今日一番のムワァーとした香り。
噛みしめるとモニョとした独特のコシがあり
これまた味わい甘みは濃くないが
ムワァーと力強い香りが絶えず溢れてくる。
4枚目、福島の新蕎麦。
今日は新蕎麦の季節だけに「眠庵」の蕎麦会にしては「今年の蕎麦」が多い。
2年、3年、はては5年熟成なんていうのを豊富に隠し持っている(?)この店だが
やはり新蕎麦も、季節を感じ楽しいものだ。
実はこの4枚目は産地がどこか聞き逃して食べ始めたのだが
「ん?1枚目の栃木も福島っぽさを感じたがこれも?」。
そう、こちらが本物の福島であった。
肌はつるつるとしてはおらず、素朴な凹凸を感じるのだが
食感としてはつるつる、するする。
全体にかろやかな品が良さがあり、
そのあたりが福島かなあーと感じさせたのだ。
5枚目、08年の宮崎、品種は鹿屋在来。
ウワー この香りは!
メモには「全部吸い込みたい」とある。
かなり興奮していた模様。
むわぁ〜〜〜と力強い、ぎゅう〜と押し寄せるような香り。
今日は甘みや味わいは淡く、香りの海に頭から飛び込む感じの蕎麦が多い。
「眠庵」店主は以前、
「八種もりの会は、どれか個性的な蕎麦の個性に全体が引っ張られることがありますね」
と言っていたことがある。
引っ張られる、という感覚も面白いが、
私から見るとそれは「その日の職人の、アーティストとしてのムード」
でもあるのではないかと思う。
そう思うと、ますます一期一会の感があり
私は非常に楽しい気分になるのだ。
(あっ またしゃべりすぎた)
6枚目、06年の徳島。
見た目はほのぼの淡白な表情だが、「眠庵」の4年熟成をナメてはいけません。
これまた、一つ前の宮崎に優るとも劣らぬ、いや優るかな、
とにかく下から左右から押し寄せてくるような素晴らしく濃厚な香りである。
しかもこちらは味わいも濃い。
噛みしめずとも、舌に乗せた途端、横にぐわーと味わいが染み渡る。
「眠庵」にしてはつるつるとした食感は見た目の通り。
時間をかけて味わいたいのにするするどんどん食べてしまう。
食べながら何度か「むぅううー」と意味不明の奇声をあげたことを覚えていますが
今思えば同席の皆様は動物と思って無視してくださったのでしょう。
7枚目、09年の北海道倶知安。
もうここ最近の眠庵ではおなじみの、例の暴走族野郎の登場であります。
見た目からして赤黒く荒く、しかし細切りの輪郭は繊細なラインを描き
もうなんだかこの方は色々と超越しておられるので
食べる前から冗談じゃなくドキドキします。
バイクの唸る音をなんと呼ぶのか知りませんが
あのウ〜ンウウ〜ンウウウ〜〜〜ン!!という音が聞こえる気すらし
それとは別に私の気持ちはレース前の競走馬気分。
あと、数秒後に、奴が来る!(暴走族と競馬と決闘がごっちゃになっている)
さあ箸先にたぐり上げ。
「んぅー!!」(口に入っているのでこの声)
わかっているのに毎回驚いてしまう。
もう、変です。あなた絶対に変です!
香りはいつもの熟成ビーフジャーキーを通り越して
薬草のような、薬草が更に熟成したような刺激的な香り。
間違いなく、人生で出会った唯一無二の超個性派蕎麦だ。
そして味わいはいきなり品が良い。
上新粉を思わせるような、白いイメージのやさしい甘さ。
全くここの畑には何が起きてしまったのか。
いよいよフィナーレ8枚目。
いつもこの蕎麦会でトリを飾る福井の登場である。
「いつもよりはマイルドな福井です」
と説明してくれたが十分濃い。
香ばしさ、甘さ、力強さ。
どれもがはっきりと濃密に感じられるバランスのよい香りが
ぎゅううと押し寄せてくるようだ。
そして歯ざわりは、今日の「眠庵」のコシ。
ひそやかに、やさしい。
1人前の量は一般的なもりそばの半分?程度とは言え
毎回
「うーお腹いっぱい、え、まだあと2枚も来るの?!」という人あり、
「えー、もう5枚目になっちゃったの?」と終わりを心配する人あり(私だが)。
それもそのはず、
この蕎麦会では蕎麦と小さな肴以外は持ち寄りなので
毎回、それはそれは素晴らしいおつまみとめずらしいお酒が
テーブルに乗り切らないほど集結するのだ。
集まる方もいい方ばかりなので、蕎麦前の時間は本当にたのしい。
しかしお蕎麦が出てくるまでに存分にそれを楽しんでしまうと
確かに8枚は大変かもしれない。
私のように朝からできるだけ胃を大きく広げて、
大広間に赤毛氈敷いて「どうぞここに、ドーンとおいでください」と
ニヤニヤしながら蕎麦の団体さんだけのために席を空けて待っている人は
少数派(というか一人)だろう。
とは言え、みなさん「お腹がぁ〜」と言いつつも、
「あー、おいしくて何だか食べちゃった・・」
と完走してしまうのも毎回の眺めである。
今回はなんと私のカメラの電池切れで、
同席の方がご親切にもカメラを貸してくださいました!!
いつもとちょっと写真が違うのですが・・わかりましたでしょうか?
(1枚目のみ私のカメラです)
Sさん、ありがとうございました。
アップ遅くなってすみません〜
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
2010年11月09日
吉祥寺「中清」(リハ前、中清!)
しばらくブログ放置してしまいました(>_<)
ちょっと風邪気味でしたがもうすっかり元気です!
昨日は、明後日のイベントのリハが吉祥寺であったので
その前に血中蕎麦粉度をあげていい歌をうたうべく「中清」へ。
「昶さん席」から眺める店内は、いつもよりも広い。
いつもお会いしていた詩人の清水昶さん。
先日のお誕生日には来店したそうだが
最近はお見かけしなくて寂しい限り。
でも店主夫妻は相変わらずお元気で、
うーん、ここにくると家に帰ってきたみたいだなあー
ほっとしちゃうなー
今日は「粗挽き蕎麦」を1枚軽くひっかけて帰ろうと思ったら
今日は熟成のものもたまたまあるとのことで、
2種盛りにしてくれてしまいウワァーイ!
こちらは右側、比較的色の浅い「本日の粗挽き蕎麦」。
見た目からして香りがブンブン飛んできそうだが店主曰く
「こっちは香りはしないよ。でも味がある」。
成程、香りはごく穏やか。
口に含むと、肌は嬉しくなるほどの粗挽きザラザラなのに
舌触りは非常にすべらかでつるつると食べられる。
重量感のある、密度の濃い肌を噛みしめると「ジャリッ」。
いいですねえ〜〜〜〜〜〜〜〜
そしてその「ジャリッ」を3度ばかり繰り返すと
たまならない香ばしさ、穀物の甘さが溢れ出してくる。
こちらは左側、更に黒みと赤みを増した「熟成の粗挽き蕎麦」。
本日のものと同じようにたぐりあげて
その近づかずとも香る強烈な香ばしさに新鮮に驚く。
しかもこれはまさに「中清の熟成」の香り。
ムッとむせ返るような熟成感よりも
ピーナツやゴマのような香ばしさがストレートに感じられるのだ。
熟成をやる店は非常に増えたが、
やはり中清の熟成には「これだ」と頷かせるものがある。
お蕎麦を食べ終わる頃には
私が所属する「かいぶつ句会」同人でイラストレーター&人形作家のKuukuu さんもいらして、
(あ、KuuKuuさんの個展今日から@恵比寿です。私も行きます!涙が出そうにやさしい世界。
http://kuukuu99.exblog.jp/ )
店主夫妻とも、
お醤油を変えたので汁が変わった話、
昶さんの話など楽しく話して、
あー 楽しかったぁー
その後のリハもすごくいい感じで、
11日が本当に楽しみ!
皆様、11日表参道cay、ぜひぜひいらしてくださいね〜
(私の出演は20:30〜21:00過ぎくらいです)
2010年11月02日
「1111」のお知らせ☆
11/11(木)という覚えやすい日に
「TEOREMA」と「JUMP WORLD」、
2つのレコードレーベルを主宰する
音楽制作会社「スーパーボーイ」の創立25周年記念パーティーがありまして、
私もゲスト出演させていただきます(^o^)
とにかく出演者が豪華で
私ももちろんお客さんで行きたかったのですが
ゲストで呼んでいただき嬉しすぎます(>_<)
ほんとーうに面白いイベントなので
音楽好きの方にも、普段音楽ライブに行かない人にも
おすすめですー☆
SUPERBOY INC. 25TH ANNIVERSARY PARTY
TEOREMA & JUMP WORLD
LABEL SPECIAL LIVE SHOW
日時: 2010/11/11(木)
18:30open 19:30start
場所: 表参道 EATS and MEETS Cay(スパイラル B1F)(地図)
出演: Giulietta Machine
木津茂理
小田切大
ギラ・ジルカ 他、豪華ゲスト多数
charge: 前売り\3,000 当日\3,500
詳細はスーパーボーイHP