2010年07月31日

経堂「しらかめ」


小田急線「経堂」駅から徒歩数分。

洗練されつつも居心地の良い空間で
美味しいお蕎麦が食べられる店がある。

その名もほっこりとかわいらしい、
「しらかめ」。


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店主はまだ若いながら
蕎麦にしろ料理にしろ演出にしろ、
センスの良さを随所に感じる店だ。





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おお〜

今日の蕎麦は、前回より色が濃いめ、
期待も高まるではではないか。

細打ちながら、
繊細さよりも油断ならぬ「気配」を感じるような、
「お、お主・・・」と覚悟を決めなければいけないような、
まあそれほどに美味しそうな眺めである。

これだけでもう素晴らしい!
来てよかったバンザーイ!


箸先の香りは、それはそれはかぐわしかった前回よりは淡い。
しかし素晴らしいのは口の中でふくらむ味わいである。

噛みしめるごとに香ばしい空気が口中に小さく生まれるのだが
それは軽みを持った「香り」として消えて行くのではなく
じんわりと静かに舌に広がる「味わい」となり溶けていくのだ。
いつまでもその味わいをたどり夢見ていたくなるではないか。

しかしそれほどのたくましさがある蕎麦ではないので
美しい夢は儚くもするりと消え。

残るは余韻ばかりである。




ここは器の趣味もいい。

高級店のような贅沢なものではないが
蕎麦猪口にしろ小皿にしろ、
置かれて、使って、
「あ、いいな」と思えるものばかりなのだ。

葡萄の絵柄が好きな私。
ちょっとそんな雰囲気のこの湯呑みは
特にお気に入りだ。

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夜来たのははじめてなので
楽しいおつまみが色々あるなか
お蕎麦だけでは申し訳なかったが
それは次回のお楽しみと言うことで。



また近々、
今度はもっとゆっくりと行きますよ〜





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2010年07月30日

表参道「手打 うどん そば処 しまだ」


美容室に行ってきた。

あまり深くは語りたくないが
私は髪の「毛流」に激しいコンプレックスがございまして。

このコンプレックスはビチアス海淵より深く玄界灘より激しいので
語れと言われれば数時間は語れるのだが(迷惑)
ここではまあこのくらいにしまして。


とにかくそのコンプレックスをどうにかこうにか
誤魔化してくれる美容師さんにようやく巡り会えたので、
ここ数年通っている美容室からの帰り道。



青山通りを表参道の交差点から外苑方向に、
右側の1本目の小道には「増田屋 古道」がありますね。
ここは古いので知名度はやたらと高い。

で、3本目には、深夜まで通しの、
ありがたいありがたい川上庵があるのだが、

2本目をひょいと覗くと、こんな世界があるのだ。


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BGMは

♪喧嘩もしたさ 
 つっぱりもしたさ
 俺は今夜も 漁にでるぅ〜 ♪

ってなド演歌である。



お品書きはお蕎麦屋さんの定番から
居酒屋並の充実のおつまみ類。
というよりここは既にもう居酒屋として愛されている。
今夜も「2階、開いてる?」と常連さんから電話があり
7時から18人で大宴会の予約である。



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壁一面のメニュー、
うーん私は、
「もつ煮込み」「もろきゅう」
「銀だら西京焼き」がいいなー

とか言いつつ注文したのは例によって例の如く「もり」である。

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店に似合わずはんなりとした風情の白めの蕎麦。
しっとりと重なりあう姿はどこか女性的な印象である。

手繰り上げるとフワとやわらかく甘い香りを放ち
噛みしめると小麦のやさしい味わいが懐かしい。




1階は私だけのがらんとした店内。

店入り口の打ち場では、店主が先程からずっと、
蕎麦を打ち続けている。

それを接客担当の若い衆が、
尊敬しているのか単に暇なのか
脇目もふらずずっと熱心に眺め続けている。
あの熱心さであるから、おそらく前者であろう。


BGMは、今度は女性演歌歌手が
惚れっちまった運命について歌い上げている。



表参道の夜。
ここでは、毎日こんな風に更けてゆくのだ。


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2010年07月27日

代々木上原「ごとう」



昨日は夕方、
代々木上原でちょっとした打ち合わせがありまして。

打ち合わせ後、夜観に行くライブまでの間に
「晩御飯、どうしましょうか?」
と聞いてくださったのです。

普通なら「そうですね〜・・」とでも言って
下心は隠すはずの私なのだが・・・



「えっ、あっ、おそば・・・?」


ああっ 口が勝手に!!

やっちまった・・・



たしかに血中蕎麦粉度は低めで
脳内蕎麦濃度は意識下で相当高かったのかもしれない。



何たって私は以前、
お茶室で先生と二人きりマンツーマンのお稽古の最中、
お点前をしながら
「先生、このお茶は・・」
と質問するはずのところを
「先生、このお蕎麦は・・」
と言ってしまった人間である。

何もないお茶室のどこにお蕎麦が。


お茶点てながら何考えてたのかバレバレ。
相変わらず痛すぎる。
そして聞き流してくださった私の先生は凄すぎる。



というわけで昨日も、
脳内丸見え事件のおかげで
すぐ近くの「ごとう」へ。
ワーイ♪


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大人気の「ごとう」さん、
私たちが入ってちょうど満席に。



ここはいろいろとおつまみが魅力的ではあるが
私は例によって例の如く「もり・太 2色」。

今日のもりは品のいい色白でありながらやや粗挽き。
見つめれば、かすかなかすかな肌色のゆらめきが大変美しい。

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かなりキンキンにしめられているため
最初は風味を感じにくかったが
これだけ連日の猛暑だと
パキンパキンに冷えた蕎麦の冷気も心地よい。

でもやっぱり香りを楽しみたくて一生懸命ゆっくり食べて
香りが出てくるのを待ったのだが、
どちらにしろ今日のもりの風味は淡め。
見た目は品が良いが口に含むと
パキパキと潔い、はっきりした輪郭線を持ち
夏にふさわしい粗挽き蕎麦である。


そしてここの田舎は容赦なく太い。

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東京においては珍しいほどの極太蕎麦。
赤みを帯びた粗挽きの肌を見入れば
粒と粒の無限のつながりがまばゆい光を放っている。


箸先で香りを寄せるとむわぁ〜と力強い熟成感。
モゴモゴと一生懸命咀嚼するのも久々で楽しい。



このあとは、それはそれは楽しい、素敵なライブに出かけ・・


あー いい夜だったなあー










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2010年07月25日

お暑うござんす



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みなさーん!

強烈な暑い日が続いていますが
お元気でおすごしですかー?


寒さに弱く暑さに強いことを誇ってきた(?)私も
今年はさすがに駄目です。
冷房苦手なのに冷房のありがたみを実感しちゃうほど。

カンカン照りの屋外でなくても、
室内でも熱中症にはなるそうなので
みなさん絶対に無理はせず
首筋を冷やしたりしながら
水分補給と栄養補給は特にしっかりしてくださいね。



私はこの夏キウイにハマってます!

ゴールドキウイはビタミンCが豊富で
グリーンキウイは食物繊維が豊富なのだそうで。

ちょっと食べるのに大きさがちょうどいいので
夏バテ防止にもよく食べています。


家では朝からモリモリ食べ、
日中の水分補給はこまめにし、

頑張ってるから、

だからね・・・



お蕎麦屋さんではひたすらお蕎麦だけでも、

お天道様、見逃してくださーい!






高遠彩子

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2010年07月24日

中野「武蔵野そば処」「さらしな総本店 」(ナカノはハシゴ)


中野に行ったらどうにもこうにも梯子である。

蕎麦そのもので言えばちょっと歩いても丸屋に行きたくなるが、
中野駅前の、あのゴチャゴチャした飲み屋街の雰囲気は
やはり捨て難い。

あまりにも至近にあるこの2店の店構えの楽しさよ。
これだけの情緒はなかなかない。


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「武蔵野そば処」



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「さらしな総本店」



この2店が歩いてものの1分とかからない距離にある、
迷路のような楽しい路地。
付近に立ち並ぶ店も道路にはみ出したような店あり、
中から大笑いの声が響いてくる昔ながらの赤ちょうちんありで
これを梯子せずにおらりょうか。


いつもは酔客で大賑わいの武蔵野そば処、
今夜1階はなんと私だけ。
静かなこの店も新鮮でいいもので、
壁一面のメニューをのんびり眺めるのも楽しい。

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お蕎麦は田舎の街道沿いで出てくるような
のんびりした蕎麦。
今夜はやや粉の香りが淡く
生々しいような味わいが際立つため
珍しく薬味をいろいろ投入したつゆにつけて食べる。



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ここは薬味が大変豪華で
黒ごま、紫蘇の実、菊の花びら、もみじおろし、青ねぎと
5種類もついてくるのだ。

紫蘇とごまの組み合わせに目のない私、
アララおいしい ここはやっぱりこれだな〜





さらしな総本店は只今
変わりで「レモン切り」と「笹切り」を展開中。

というわけで、
私が食べた「さらしな」「田舎」「二八」も
全体にレモンで笹なサワヤカフレイバーだったのが
ちょっと(否とても)悲しかったが、
いいのだ!こういうお店は
次回は釜湯がまっさらな朝イチで来ればよいのだ!



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さらしな

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二八

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田舎

 

ところで私はかねがね思っているのだが、
蕎麦には非常に狭い範囲での「地域性」を感じることがある。
戸隠蕎麦やへぎ蕎麦というような、広い範囲の地域性ではない。
都心でも、同じ駅または近隣駅といった狭い範囲で
何店舗のもの蕎麦に一種の共通点を感じることがあるのだ。

多くは「香り」の共通点であることが多いので
おそらく水のせいだと睨んでいるのだが。

今日の2店も蕎麦は全く違うのに
生々しいような香りにおいて
非常に似ていて面白かったなあ。





「飲み屋街シラフでハシゴで蕎麦千鳥」



さー、駅まで歩く商店街も楽しいな。








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2010年07月22日

神奈川・大船「手打そば 鎌倉」


JR「大船」駅,「北鎌倉」駅、
湘南モノレール「富士見町」駅、
3つの駅の真ん中のようなのどかな場所に
面白い蕎麦屋がある。

「手打ちそば 鎌倉」。
湘南モノレールで中学高校に6年間通学した私にとっては
何とも懐かしい、この辺り特有のゆるやかな風情。



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店構えは素っ気ないが
引き戸を開けると、テーブル席のよくある雰囲気ではなく、
すっきりと気持ちの良い座敷が現れる。


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靴を脱いで店内に入ると
並べられた座卓が低いので面積以上に広々と感じ、
書道教室か寺子屋かといった印象も。
とにかくこの店内の作りだけでも
湘南ののんびりさを感じ
私などは大いに嬉しくなってしまうのだ。



そしてこの店の何が面白いといって
その個性的な突っ走りぶりである。

個性的と言っても別に
「納豆切り」とか「カスタードそば」とかいう珍メニューがあるとか、
何かパフォーマンスがあるとかではない。
お品書きはいたって普通。
自家製粉,手打ちのお蕎麦は「田舎」「せいろ」「御前」と三種あり、
その他つけとろや、鴨せいろ、天せいろなど、
王道のメニュー揃いである。


では何が個性的か。
この店、本格的な手打ちそば屋ながら
どのメニューも「値段も倍なら量も倍」なのである。
この店で一番安い「御前」「田舎」「もり」と3種類あるもりそばは
各1300円という驚きの高価格。
しかしこの量である。


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せいろからはち切れんばかりに盛り上がり
ぎっしりと「積み上げられた」蕎麦。
なんとかせいろ内におさまっていることに感心してしまうほど
このせいろに対してギリギリの積荷量、
一般道はまず通行禁止である。
女性ならまず食べきれないボリュームゆえ、
「頼むから量も値段も半分にして欲しい」と考えるのが普通だが
いんや!ここの店主の蕎麦への思いはそんなにぬるくないのだ。

量も値段も倍と書いたが、
量は都心の「上品盛り」の店と比較したら倍ではきかず、
3倍、下手すれば4倍近くあるだろうから
逆にサービス価格と言ってもいいのではないだろうか
店主はとにかく、一度この店に入ったからには
「お蕎麦をたくさん食べて満足して欲しい」のだ。
それほど精魂を込め、彼のすべてが詰まった蕎麦なのだ。

値段も量も半分にした方が絶対に客層も広がるし
売り上げ自体も伸びるだろうに曲げない信念、不屈の理想。
かと言ってチラとのぞける店主の横顔は柔和そうで
サービスの奥さんも実に感じよく,
いいですねえー、こういうお店、こういう姿勢が
こんなところでこんなにもまっすぐに、
一見のんびりそうに貫かれていることが、
素晴らしい!





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機械打ちの蕎麦が山盛りというのと違い、
心意気の伝わる手打ち蕎麦がこれだけの山でやってくると
圧倒されるものだ。
ものすごい眺めを眼下にし
「た・・食べきれるのか、自分?」という一抹の不安を抱きつつ
箸をとる私は「食べ始める」というよりは登山に挑むような感覚だ。

案の定、蕎麦に箸を入れると
もちろん箸は底のせいろまでは遠く届かず
表面の幾層かをすくい上げるのみ。

ふんわりとした粉の優しい香りが箸先から伝わる蕎麦。
太さはあるが平打ちのため歯ざわりはやさしい。
粉の甘みがじわーと広がり、噛みしめるごとに深まっていく。


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対する田舎はかなり赤黒く、これも平打ち。
色のせいか威圧感もひとしおである。
運ばれてきて思わず「ウワー」と声を上げたほどの迫力だが
見入ればその眺めは大変美しい。
積み重なる蕎麦の美しい曲線、無数のうねり。
この盛り付けもまた熟練の技なのだということに今更気づく。


箸先に手繰り上げると、おお、これは。
目も覚めるような熟成ではないか。
濃厚な、力強く生々しい香りをきわだたせ
口に含めば熟成の強烈な甘みと味わいが噛まずとも広がってくる。





チョイと寄ってサッとひっかける蕎麦でなく
のんびりやってきて、ゆうるりたっぷり食べる蕎麦。

実際この店に流れるゆっくりした空気は
他にはないものだ。
通し営業ゆえ、北鎌倉の散策の後などにあの座敷で過ごす時間は
どんなに楽しいだろう。



湘南生まれ湘南育ちの親友深雪ちゃんと
のんびりゆったり楽しみすぎて店を出たらこの通り。


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これだけゆっくりしていたのに
「御前」そばまでは到底たどりつけなかったのが少し心残り。

また鎌倉に行くついでにでも、「鎌倉」、行きますよー



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2010年07月19日

神田「眠庵」(八種もりの蕎麦会)


昨日は、恒例の眠庵「蕎麦会」へ。
産地の違う八種類の蕎麦を食べ比べられる、
それはそれは楽しい会。


毎回楽しみすぎて、体は前日から準備態勢に入り
最近めっきり小さくなったはずの私の胃も、
この時ばかりはやる気と意気込みが人にバレる程
見違えて元気である。


トップバッターは何と珍しくも、
埼玉・三芳町の蕎麦。
浦和の気鋭店「庵 浮雨」の店主の経由の玄蕎麦なので
庵 浮雨では食べたことがあるが
この店では初めての蕎麦。

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確かに。こんな蕎麦この店で食べたことありません。
やや粘土系の淡い香り。
そして何よりこの輪郭線のクッキリハッキリさが
この店においては新鮮である。
埼玉産だが品種はキタワセ。




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お次は宮城、去年の常陸秋蕎麦。
ゆるやかな太めで、面白いことに香りが埼玉に似ている。
こういうのが、面白い。
蕎麦の味は素材の味が一番だが、
素材だけですべてが決まるのではもちろんない。
打ち手にも依るし、気候にも依るし、同じ打ち手でも
その日の「ムード」のようなものを感じることがある。






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3番目は去年の鹿児島。
この蕎麦、品種名が「春の息吹」というのだそうな。
なんと美しい名前だ。
最初のインパクトは淡いが時間が経つにつれ
秘めていた力強さを放ち始める。
すこし置きたいので
なるべくゆっくり食べたいのに、口が、勝手に!!





ここまでいつもの蕎麦会に比べると
やや品の良い味わいの蕎麦が続き、
私もそれほど興奮せずにきちんとした女性としての自意識の元
椅子に座っていたのだが、
4番目の徳島がやってきて、突如緊急スイッチが!!
これ、見るからにものすごく美味しそうではナイデスカー!!

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粗挽きの肌に揺れるかすかなかすかな陽炎のようなホシ。
眠庵の蕎麦のラインには独特のやさしい素朴さがあるが
これはまた、素朴さと繊細さのバランスが
うっとりするような風情を醸し出している絶景蕎麦である。

出てきた時から「あなた、美味しい!」と怪しい占い師の如く
蕎麦に宣告した(?)私であったが、予言は的中。
今日一番の味の濃さ、野趣に富んだ香りの濃さ、
それにぼんやり酔う私を微かなジャリ感が時々撫でていく。
ひゃー たべたくない なくなっちゃうから 
あっ たべちゃった





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5番手は長野、品種は信濃一号、08年もの2年熟成。
念のため、眠庵においての「熟成」とは
打ってからしばらく置いておくあの熟成ではなく、
玄蕎麦を湿度温度管理しつつ寝かせておく
「玄蕎麦の熟成」である。
この長野、見た目はすんなりと品が良いが
大変に個性的なムニュと伸びるような歯ごたえを持っている。
香りは強烈ではないがその歯ごたえを楽しむうちに
現れてくる味わいがなんとも美しい。
信濃1号と聞くと必ず「はーっち時ちょうどのーーっ♪」と
歌い(叫び)たくなる自分がいることは、
まだ誰にも話したことがない。





6番手。もうこの辺から私の心はお通夜です。
だってだって、あと3枚で終わっちゃうの。ちーん。
もう既に300gの蕎麦をたいらげているはずなのに。
全然後ろは顧みない私はなんて前向きなんだろう。

6枚目と7枚目は北海道の個性派蕎麦食べ比べという
店主の楽しい演出。
これは陸別の06熟成。品種はキタワセ。

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箸先で軽く驚く。確かに変わった香り!
「あっ こういう香りかな?」と感じた瞬間
何だか別の方向から違う要素の香りが次々と浮かび上がってくる。
かすかに香ばしく、かすかに生々しく、かすかに優等生で
かみしめた味わいはまた何とも言えず深い。
ああ、こんな美味しさにも出会えるなんて。
しあわせだなあー





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そしてこちらが「北海道個性派蕎麦食べ比べ」2種目。
もう見た目からしてものすごい、
倶知安の蕎麦、品種は牡丹である。
この龍のように小回りのきく自由自在なライン、
赤みを帯びざらついた肌。
刺青の龍がこちらをニヤリと見やったような迫力ある蕎麦である。
これは今年この店で何度もお目にかかっている、
あのとんでもない、次元違いの暴走族蕎麦のマイルド版の玄蕎麦だとか。
(前回はビーフジャーキーの味がしたというあの例の蕎麦である)。

おおおお、確かに。
あの時の強烈な衝撃を薄めたような味わい。
でもまだまだ十分強烈である。
ビーフジャーキーのような野蛮な香りもはらみつつ、
大地の力強さを感じる香ばしさ、甘さに富み
こういうのを「楽しい蕎麦」っていうんだろうなあー
面白い!楽しい!




そしてファイナルは
この蕎麦会でいつもトリを飾る「福井」。

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この福井、いつもはその見た目といい香りの濃厚さといい、
図抜けた魅力を持った蕎麦なのだが
今回はいつもよりかなり品の良い印象。
しかもあの倶知安の強烈異次元蕎麦の後では分が悪い。
でもやはりこの蕎麦会は福井でしめたいし、
この福井への私の愛は深いのだ。




はああー
眠庵の蕎麦会の帰り道は、いつもちょっと寂しい帰り道。

だって次の蕎麦会が
一番遠い夜だから。








posted by aya at 15:45 | Comment(3) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

コバケン先生


昨日は、とても素晴らしいお誘いをいただき、
とても面白い場所へ。


「指揮者の小林研一郎先生の指揮法の授業を受けに行きませんか?」
とお誘いいただいた瞬間「エッ、それって!」と思ったのだが、
やはり場所は私の母校、東京音大。


小林先生(皆親しみを込めてコバケンと呼ぶのだ)は
定期的に東京音大で指揮法の講義をされている。
私も学生時代は何度か受講のチャンスを得たので思いは深い。
そして小林先生といえば、何と言っても私が卒業した年の6月に
合唱団員としてヨーロッパ演奏旅行に参加した時の指揮者が小林先生だったので
その時の思い出が一番大きい。



指揮者とは、その楽団員全員に
その場だけ恋をさせ、全てを信じさせ、ゆだねさせるという
魔法を持っている人だと思う。


何が言いたいかというと
あの「カルミナ・ブラーナ」を歌っている間
私は期間限定で小林先生に恋をしていたし
団員は皆多かれ少なかれそうだったと思う。
それほど、素晴らしい指揮者の魔法にかけられた素晴らしい演奏旅行だった。
空港でも各国の路上でも何人か集まれば自然と歌いはじめていた。
その時その場に先生はいなくても、歌う者の心の先には先生がいた。

ユトレヒトでの演奏会と
五夜連続のアムステルダム・コンセルトヘボウでの演奏会を終えた後の
感動と喪失感はいまでも忘れられない。
この全く同じ船が航海に出ることは、未来永劫ないのだと。


昨日お会いした小林先生は年月が信じられないほど、
逆に以前よりお若く感じるほどエネルギーとオーラで輝いていた。
(かかかかかっこよかった(>_<))
そしその授業の面白さ、魅力ときたら。
あの時の指揮そのままだった。


天才的な感性と、知性と、厳しさと優しさ。
そして時々覗く、可愛らしいほどの素朴さ。


話はどんどん脱線して行くのだが
脱線した先も心の奥までピンと届く話ばかり。
宝物をいくつももらって、
数時間の講義はあっという間だった。

私は嬉しさの余り
気づけばつくしんぼうのように異常に良い姿勢を数時間保ち続けていて
終わった後は学生時代以上にくたびれて
大いに眠くなったのが可笑しかった。


小林先生の奥様があまりにお若くお美しく
センスの良い方なのにもびっくり。
ボケーーー  ポワワワーン  となってしまった。

オランダで撮った先生とのツーショット写真を
喜んで見てくださったのも嬉しかったあー(>_<)♪



終わった後は、普通なら「さーどこで血中蕎麦粉度上げるか!」
と張り切るところなのだが
(学生時代、学食行かずに行ってたすっごいおかしな店とか、まだあるのかなあ〜)
昨日は深雪ちゃんとデートの予定があったもので♪




写真は今週食べた田舎蕎麦。

今見ると相当黒いなあ〜


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2010年07月14日

戸越銀座「蕎麦切り 翁」


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「翁」と言っても
あの「翁」でも 
あの!「翁」でもない。

昭和25年からこの戸越銀座に店を構える「翁そば」、
現「蕎麦切り 翁」である。
こっちの方がずっと「翁」ではないか。


この「翁」、まず立地からして面白い。
地図で見ると
「戸越」「下神明」「戸越公園」「戸越銀座」「戸越」「大崎」、
これだけの駅に包囲されるようにちょうど真ん中に位置している。
どの駅からも遠くお世辞にも便利とは言えない立地だが
それだけに、ここだけぽっかりと浮かんだ島のような、
濃厚な地元感を感じるのだ。

何たって戸越銀座。
台東区や葛飾区あたりともまた違う、
のんびりとした下町である。

その賑やかな「銀座通り」もさみしくなってきた
外れに現れる小さな木戸。
ちょっとくぐるような気持ちで店内に入ると
これがまたなんと、素晴らしい居心地の良さ。


私の隣は、夜の蕎麦屋で一人で憩う熟年女性。
その奥が「天ぷらで一杯」のおじいさま。
このあたりはこれでもかという程、
大変にゆっくりと時間が流れている。
おじいさん、さっきからどれだけ動かないんでしょう。

向かいのテーブル席には小さな男の子と女の子のいる仲の良い家族連れ。
元気のいい大学生らしきカップル。


皆地元の人らしくよく来ているようで
この店が如何に愛されているかが伝わってくる。


お店の方も甲斐甲斐しく、笑顔が輝くようですこぶる感じがよく、
とにかくここに座っただけで
この街に溶け込めたような錯覚を覚えてしまうのだ。




手打ちのお蕎麦は2種類、
細打ちの「石挽き蕎麦(もり)」と
太打ちの「田舎蕎麦」。

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粗挽きのざっくりとした風情。
一見田舎のほうが香りが濃そうだが、
香りはどちらも淡め。
やさしい歯ざわりを楽しむうちに粉の甘みが感じられる
おだやかな蕎麦だ。


しかし店内でもりを頼んでいるのは私一人。
それもそのはず、ここのメニューは
まさに「マイ食堂」にしたくなるような
体に良さそうで美味しそうなメニュー揃い。
「にら玉とうふ」「ほうれん草お浸し」「薬味いっぱい冷やっこ」
「豚しゃぶポンズ」など。
まるで「街のお母さん」のようだ。

お蕎麦は
「冷やし納豆おろし」「薬味いっぱい 冷やし鶏ささみ」あたりに
私は惹かれるが、本日は「冷やし梅おろし」が人気のよう。
家族連れは全員の蕎麦をグルグルまわして味見している。
お母さんの梅おろしが大好評で実に楽しそうだ。


うーん、いいお店だなあ。


今度はどの駅から歩いて行こうか。
私も次回は種物を、
できたらあの家族みたいに
グルグル回しながら食べたいなー。








 
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2010年07月13日

表参道「青山 川上庵」(風に吹かれて、深夜蕎麦)



おやじ多き地に蕎麦屋ありき。

とは拙著でも述べた愚説であるが
実際若い人の多いオシャレな街にはお蕎麦屋さんが少ないのだ。


故に、オシャレ最先端の青山の地にあって、
その上昼前から深夜4時半まで通し営業の「青山 川上庵」は
拝みたくなるような心強い存在である。
リハ前と本番後で一日2回行ったことも。



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写真から力強い香りが漂ってきそうなほど、
見るからに熟成の蕎麦であるが
川上庵、最近はすっかり熟成が定番のようで。

先月末に行った時も熟成だった。
(あの時は楽しかったなあー)




今の季節、入り口前のテラス席がいい。




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風に吹かれて、深夜の熟成蕎麦。














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2010年07月12日

竜泉「スターと角萬」

(昨日の更新失敗していたことに今日気づきました〜
 失礼致しました!m(_ _)m  )



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ちょっと前になりますが、
またまた角萬に行ったのです。

角萬に行くと言えば、
私にとってはハレの日、ウキウキの日♪

津軽三味線のスーパースター、澤田勝秋師匠と
日本が誇る民謡歌手、木津茂理さんにお誘いいただき、
もうウッヒャウッヒャと浮かれながら行くのだ。


相変わらず、角萬の蕎麦はいい。


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こういうお蕎麦、
東京ではなかなか出会えないんだなあー
このブワンとしたした太さ、鼻腔を抜ける小麦の甘い香り。
蕎麦の香りは淡くとも、
じわーと美味しく、そして懐かしい蕎麦。

私はこの店の冷やニクの大ファンなので
同伴者が冷やニクを注文した場合は
その人はとても可哀想な目に遭うのだが
我らが大スターは
なんとこの店に通ってウン十年の「超・角萬通」。
「オラはもりだけ!大盛り2ツにビールだべや!」
という粋な方なので、
テーブルはご覧の通り、もりそば祭り〜(^o^)
(写真じゃ違いがわかりにくいですが私は普通盛りなんですよ!)

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カレー通の木津さんはカレー南蛮。

最後は大盛りをみんなで分けあいながら
浴びるようにお蕎麦食べて、
楽しかったなあ・・・


ちなみに今回は食べませんでしたが
ここの冷やニクは、某・超名蕎麦店の店主が
「オレが外で蕎麦食べんのは角萬の冷やニクだけ!」
と公言するほどの名品なのでありますよ。

という話をしたら師匠、俄然興味を示されまして
「次回はそれも行くべや!」
という計画に♪




ドカンと置いていってくれた湯桶は貫禄のやかん。
これもいい眺めだ。


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これだけ大きいと、蕎麦湯飲みの私は
「蕎麦湯温泉」に首まで入ったような豊かな気持になれてしあわせ。

しかし
「蕎麦湯はあるだけ飲む」
という習慣が身に染み付いているので
つい飲みすぎてしまうのが大変に危険(^^;;)



澤田師匠、木津さま、
遅ればせながらありがとうございましたー!


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高遠彩子


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2010年07月09日

押上「朴仙」(蕎麦切れ)



蕎麦切れったってお蕎麦屋さんの
「今日お蕎麦終わっちゃいましたー」
という蕎麦切れではない。

かと言って
「なにィ、蕎麦ぁ?!!」
と蕎麦をネタにキレることでもない。

私の血中蕎麦粉度の話である。
ここ数日、蕎麦がたぐれなかったのだ。

そのダメージときたら。


何をしていても何だか物足りないような、
集中できないような。

酸素が薄いところにいるわけでもないのに
なんだか息苦しいような、

気温は熱いのに体は冷えているような。


元気になりたくて
いつも以上にしっかり食べているのに
なんでこんなに調子が上がらないんだろう・・・


あっ。



「お蕎麦が足りないんだ!」



てなわけで、
今日は押上「朴仙」。

ピッカピカつっるつるの熟成系せいろと

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黒々とした太打ちの田舎。

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これまた流麗なつるつるぶりで
噛みしめるとややぬめり感のある歯ざわり。
その内側から大地の力強さを思わせる味わいが
こぼれてくる。





でもね・・・
美味しかったのですが、
お腹もたいへんいっぱいになったのですが


「まだ蕎麦粉が足りない」。



蕎麦粉度、相当マイナスになってるみたいで・・・


今日は蕎麦茶解禁dayにしようかな〜
(ペットボトルの蕎麦茶すら大好き)







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2010年07月06日

スコットランド報告・物件編


ちょいと体調を崩してしまいまして・・


今年はだんだん暑くなる時期に
真冬のような国に旅行に行ってしまったため、
体がうまく夏モードに移行できていないような感じがあり。

しかも時差ボケ完全克服に2週間以上も要したので
「これは夏バテするぞ・・!」
と警戒はしていたのですが(>_<)



というわけで、今日はスコットランドの物件情報です♪(脈絡なし)


外国に行くと、不動産屋さんに張り出してある
チラシの写真を見るのが大好きで。

大抵外観写真と中の写真が掲載されているから面白い!

つかの間の、「その国の人気分」。



さー、どのお部屋に住みましょうか〜(^o^)

わたしは、ふたつめのがいいな!




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2010年07月03日

「竹馬」→「大江戸」→「喜のした」♪


夏の暑さにもマケズ、
したまちはしごそば〜〜



「手打ち蕎麦 竹馬」(菊川)

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新店ほやほやのきれいなお店。
特に夜は「軟骨のにんにく炒め」、
「手羽先の唐揚げ」、「彩り野菜の蒸篭蒸し」など、
お酒に合うおつまみが充実しているので
たぐるだけでなく飲むのが楽しいお店かな?





手打蕎麦「大江戸」(住吉)

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広々居心地良い店内も
ふんわりやわらかなお蕎麦も
地域密着型のいい〜雰囲気。
「四ツ目通り沿い」かつ「住吉駅上」という
アクセスも素晴らしすぎます!




「喜のした」(住吉)

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下町住宅街に突然現れる、しっとりした風情の店。
目に鮮やかな粗挽きの
ジワ〜と味わいの広がるお蕎麦に出会えます。




紫陽花は暑くないのかな

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2010年07月02日

神田「眠庵」(一番好きなお蕎麦屋さんの・・・)



蕎麦に関しては、
できるだけろくでなしな浮気者でありたいと願う私には
「一番好きなお蕎麦屋さん」なんて到底決められない。


でも「一番好きなお蕎麦屋さんのおつまみ」は
決まってしまっている気がする。


神田「眠庵」の、「おから」。


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これについては愛が深すぎて何から語っていいかわからないが、
とにかく蕎麦前のつまみとして
私にとっては最高の「名品」である。


おからといえば、豆腐の製造過程で豆乳を絞った後のかすを煮たものだが
ここのおからは一般的に想像されるものよりかなり個性的。
それもそのはず、豆腐屋でもないのにこの店のおから、
「自家製」なのだ。


眠庵では「自家製豆腐」を大豆を煮るところから作るので
当然この「おから」も「自家製おから」なのである。


とにかくこのおから、形状はだいたいおからではあるが
しっかりとした食感といい、濃厚なうまみといい
おからというより大豆をそのまま食べているかのようである。


しかも珍しいことに「眠庵」の「おから」は全く甘くない。
台所に砂糖がないという稀有な家に育ったのが幸か不幸か、
お店などで出会うひじきやおから、煮魚などは
苦手なことが多い私には驚愕、感激の存在。


素朴かつ濃厚な大豆のうまみが
出汁によってすっきりと洗練され、
実に澄んだ美味しさに仕上がっている。

温度もまたいい。
おからであるのにしっかりと冷やされ
それがまたその澄んだ味わいを際だたせるのだ。
ちんまりした小鉢にぎっしりたっぷり盛ってくれるのが嬉しい限りなのだが
食べ終わって「オカワリホシイ・・・」と思ったことは一度や二度ではない。
と言うより毎回である。
しかし何分この後にお蕎麦さんと約束がある身であるから
そうそう好き放題もしていられないのが辛いところである。



絞りカスであるおからに
これだけ濃厚なうまみを残しておきながら
この店の「自家製豆腐」はこれまた濃厚な味わい。
濃厚と言ってもぎっしり系の濃厚でもクリーミー系の濃厚でもない。
食感はしっとりとやわらかく、
クリーミーというよりはむしろあっさりしているのに
「素朴な豆の味わいが濃厚」なのだ。


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この豆腐のファンは多いらしく、
一人で来て「倍豆腐」、「3倍豆腐」と注文する人を目撃したことも。
私も「倍おから」、やってみたくなるではないか。



そしてこの店の、蕎麦である。

眠庵では毎日お蕎麦を産地違いで二種打っているので
「二種もり」を頼むのが私の定番。

本日1枚目は「徳島」。
その鮮烈な魅力たるや。

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先程私、「おから」への愛を語ったような記憶がありますがね。
おからは、所詮おからですから。

この「徳島」・・・
箸先に香りを寄せただけで、
そのまま後ろに倒れたくなるような、恍惚のかぐわしさ。
(いや大袈裟でなく、
 これを香っては倒れ、香っては倒れということをやっていいというのであったら
 私は何十回かは飽かずコントのようにやっているに違いない。)

食べ始めるのが惜しいような、
鼻先でずっと香っているだけでも恍惚の蕎麦だが
口に含めば、しっとりとやさしい歯ざわりの内側から、
滋味溢れる濃厚な味わいが豊かに口中を、そしてわたしの脳内を染める。

何をどうしたらここまで強烈な魅力になるのか知らないが、
「大好きですよーーーー!」
と愛を叫びたいような素晴らしさ。
しかしカウンターの一人客である以上、
どこか苦しいのかというような斜め体勢で
美味しさにしびれているしかないのだ。



そして,本日2枚目は、先日私を腰砕けにした「北海道」。
これが・・・熟成でもないのに熟成以上の暴れん坊。
とにかくその玄蕎麦からしてとんでもない蕎麦なのだ。


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今日もひとたぐり、箸先で香っただけでびっっくり!
び、ビーフジャーキーを思わせる香りがします・・・・

食べてみればもちろんビーフジャーキー味ではないが
それでも「こんな味のお蕎麦もあるのか!」と驚くような、
これまた濃厚な味わいである。
まあこれだけ個性的な玄蕎麦にはなかなか出会えないそうなのだが。




いつ行っても、
違う空の下、違う畑で育った蕎麦を味わえる楽しみ。


今日は私行きませんので、
どなたか行ってどんな蕎麦だったか教えてくださーい(^o^)







posted by aya at 23:44 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする