2010年02月28日

花、ちる、もん


散りますと言って散る花はない。



今週、ひとつの名花が人知れず散った。


その花を愛でた人々に散り際を知らせることなく、
かといって隠すこともなく、


だからこそ、ただの通りすがりと言ってよい私などが、
その花びらが落ちる音を聞いた。





その蕎麦に、私は混乱すら覚えたのだ。

他と比べることなどする気も起きなかった。
蕎麦でない「何か」のほうを強く感じすぎた。




香り、味わい、歯触り、喉ごし。
淡いとか濃いとかやわらかいとか硬いとか、
そんな物質的な形容詞を冠することに意味を感じぬ超越したものが、
その皿の真ん中にあった。


私はいきなり禅問答をつきつけられた小僧のように固まった。
これは一体何だ。




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例えるなら、儚く繊細にその形を留める古い紗の着物、なのか。

薄闇の中にもその陰影を静かに浮かび上がらせる墨絵の軸、なのか。



否、多分物ではないのだ。





その皿の中にあったものは敢えて言うなれば「美意識」だろう。

そこにあるものの底なき深さを感じ取り、
私は身がすくむ思いがしたのだ。





夜に咲き、そこを通った人にだけ愛され、
ひっそりと散るユウスゲのような。



何でもない風に、ごく当たり前のように散っていった花は、

また別の地でその種をふくらませるのだろう。







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2010年02月27日

夢の多摩蕎麦ツアー!華麗なるフィナーレ



多摩蕎麦ツアーのフィナーレはお蕎麦屋さんではなく、
武蔵村山市で最もディープな店と私が断言する、

「めし おさけ くぼがた」。


もう、名前からしていいでしょう?


ひらがなだけ、必要なことだけ。
どんなに酩酊してしても、
例え目がカスんでいても理解できる看板である。


しかも「めし」だけど「さけ」ではないのですよ。
酒にはちゃんと「お」がついて「おさけ」。


店主のお酒への慈しむような深き愛情と
家庭的で気楽な空間がそのまま表現されていて、
実に素晴らしいネイミングだ。
気楽でしあわせで、ちょっと笑っちゃうようなユルさ。



ここのスペシャリテは何と言ってもショウガとネギがいっぱいのこの「なめろう」かと。
ニコニコ笑顔のお母さんが作ってくれます。


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アンシュおすすめの「薩摩揚げ」もなるほど美味しいし
パリパリに焼いてくれる「栃尾の油揚げ」が食べられるのも嬉しい。


そして何と言ってもすごいのはお酒の品揃え。


この地から外には出ないまぼろしの地酒(美味しくてビックリ!)にも出会える、
まさに知る人ぞ知る隠れ家だ。



はあー、今日は朝から、
どれだけたくさんの面白い景色を見、
楽しい出会いがあったことだろう。


皆様、素晴らしい一日を、心からありがとうございました!
次回を楽しみにしていまーす☆







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「めし おさけ くぼがた」
立川市砂川町2-37-11
042-535-0626








2010年02月26日

武蔵村山市「自家製粉 手打ちそば 入清」 (夢の多摩蕎麦ツアー!vol.3)



愉快な素敵な面々の多摩蕎麦ミステリーツアーはまだまだ続く・・・



3店舗目はこちら。
武蔵村山市「自家製粉 手打ちそば 入清」。



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ここでは皆さん、飲む気まんまん。
入店前からなんとな〜く華やいだ雰囲気で、
さっきとは顔つきまで違うから可笑しい。



なるほどメニューを見ると楽しそうなおつまみがいっぱい。
その計算の上で、しっかりここが3店めに選ばれていたらしい。


板わさや卵焼きはもちろん、あげだし豆腐、
自家製角煮、とり焼き、イカ炭火焼き、
さば味噌煮、ピリ辛つくね、もつ煮、カキフライ。
もはや足りないものは何もない、昼酒パラダイスである。


ふと隣を見ると、2店めで私よりも更に早くお腹いっぱいギブアップになっていたはずのアンシュ、
ここに来ていきなり大ジョッキを片手にさわやかな笑顔を輝かせていらっしゃるではないか。
ビールにも別腹という言葉があることを学んだ。
今日は私、いろいろと大人になったなあ。



さて「入清」のお蕎麦。
いよいよお腹の余裕がなくなってきた私は、
今度は相棒を替え、心優しく博学なW先生
(運転のためお酒をガマンしてくださっていました、一日ありがとうございました!)
と再びはんぶんこ技を企てた。


「入清」のせいろはこれまた好都合に2段重ねで来たのだが・・・


1段が、この量である。




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これが2段で550円!
手打ち自家製粉での話ですよ。ありえまへん!
「追加せいろ(1段)」は200円。
このサービス精神、ただただ口あんぐりである。



最初、香りはかなり穏やかだなーと思った蕎麦であったが
これがなかなかどうして。
時間が経つにつれ第に実によい香りのふくらみ方をしてくるではないか。
「おおっ? おお〜〜   おおお〜〜〜」
と、ジョッキや焼酎や日本酒の瓶が林立する賑やかなテーブルの片隅で
ひとり喜んでいた私。


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微粉の美しい蕎麦は、北海道秩父別産。
1段ですら、到底食べきれないだろうと思っていたのに
そのひそやかながらかぐわしい香りに誘われて気づけば完食していた。
すごいぞ武蔵村山!



店内は広々。店員さんはみなさんニコニコ実に感じよく、
こんな店が近所にあったらさぞいいだろうという店だ。


また「入清」では偶然、
我々一行の知り合いのお二人とも出会え更に盛り上がり、
本当に楽しいひとときだった。



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そして一日はここでは終わらずクライマックスへ・・・!!







2010年02月25日

武蔵村山市「そば花」 (夢の多摩蕎麦ツアー!vol.2)



多摩蕎麦ツアー続編・・・

2軒目に目指した店は残念ながら定休日だったため、
急遽予定を変更、こちらのお店に到着。


武蔵砂川「そば花」。



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こちらのメニューは「もり」や「せいろ」はなく
「ざる」からはじまる。
できたら海苔なしで・・とお願いしたら
「ハイもり1枚ね!」とハキハキ明るい対応をしてくれてほっとする。
すると同席のメンバーも、俺も私もと言うことで
「もり」が大流行のテーブルとなった。

イヤ私、海苔は家で電熱器で焼くほど大好物なのですがね。
海苔さんとは別の場所でお会いしたいのです。
蕎麦さんとは、二人っきりにしてほしいの。





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この写真、「もり」なのですよ。
こちらのお店は「もり」にもサービスで
野菜の天ぷらをつけてくれるのだ。
本日はピーマンとまいたけ!




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蕎麦はかなりの細さで、繊細にふるえる輪郭線が
いかにも手打ち、手作りの趣。
香りはここも小麦粉と蕎麦粉の混じるやさしい香りで、
見たとおり強いコシなどはなくしんなりとした歯触り。

しかし何より特筆すべきはこの量である。
山です。登ったらさぞ険しかろう武蔵砂川新山。

実は1店目で早くも本日の自分の行く末に不安を感じた私とアンシュは、
こっそり結託しお店には申し訳ないが2人で1枚を半分こしたのだ。
しかしそれでもまだすごい量。

細めで山盛りのためどうしても水切れが悪い部分はあったが
水の奥にちゃんと粉の甘い香り、味わいも感じられ、
何よりこの量、天ぷらサービス。



私はこの店の「天ざる」も目撃したが
それはそれは豪華な天ぷらであった。
海老と穴子の大きいこと!
ランチだと1150円、ものすごいお得感である。


店内は木の風合いの気持ちのよい広々した空間で、
地元の人で賑わうのも納得の店。




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感じのよい店主夫妻の「ありがとうございましたぁー!」の
明るい声に見送られ・・・・




3店目&moreはまた、続く!








2010年02月24日

瑞穂町「石臼挽き自家製粉 手打そば・うどん さしだ家」 (夢の多摩蕎麦ツアー!vol.1)


すごい一日もあったもんだ。


昨日は、憧れのジャズピアニストである、
蕎麦処山下庵アンシュさまにお誘いいただき多摩蕎麦ツアーに!


張り切って午前中に全員集合、
楽しい、可笑しい、素晴らしきみなさんのお仲間に入れていただき、
導かれたどり着いたのは・・・





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??
何ですかドコですかこれ??

あまりにも、店名も看板もないその外観。
暖簾の「そば・うどん」の文字だけが頼りの簡素な建物は
血中蕎麦粉度が下がりすぎて倒れ、
ついに夢に出てきてしまった蕎麦屋のようだ。

アノー、ところでこの店の看板はどこに・・




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はぁー、あんなところに。
店舗から遙か20mも離れた看板、なんというのどかさ。
しかも看板と店舗の間にある、映画に出てきそうなこの建造物は何なんだろう。



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入る前から不思議がいっぱい謎の店。
しかも連れてきていただいたので
私今自分がどこにいるかもよくわかっておりません。



西多摩郡瑞穂町「手打そば うどん さしだ家」。
自家製粉の蕎麦の店である。




ご一緒させていただいたメンバーが面白い方ばかりだったのも手伝い、
入る前からウキウキワクワクニヤニヤしつつ入店。


外から見ると静かだったが店内は結構混んでいる。
客層がまた素晴らしい。
朝起きてそのまんまの格好にジャンパーをひっかけ、
サンダル履いてこの店に直行してきたようなおっちゃんが通う店は間違いない。
テレビの音も心地よい、のどかな空間である。



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この店は武蔵野らしくうどんがメインなのか
お品書きでは「せいろ」も「ざる」も、
うどんとの「合盛り」が基本のようである。
そう言われると是非とも合盛りを注文しなくては
申し訳ない気がして「合盛り」をお願いしかけたが
「今日はこの先があんだからそんなの気にしなくていいんだよ!」
とのお言葉を本日のツアーリーダー、T棟梁にいただき、
それでは、と「せいろ」をオーダー。


さてお待ちかねの・・・・

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おー、平打ちだよホシが豪華だよ。
透明感のある肌に、黒や焦げ茶の大きめのホシが美しく目立ち、
じっと目を凝らせば陽炎のようにゆらめく無数の白いホシ。
個性的な姿に意表を突かれ、ますます嬉しくなる。

そしてたぐり上げてびっくり、これは・・・
柔軟剤のCMに出したいほど(?)のフワンフワンの蕎麦である。
蕎麦の上で可愛いクマがトランポリンのように飛び跳ねてしまいそうだ。


香りは蕎麦と小麦粉の混じった、いかにも田舎で出会えそうなやさしい香り。
決して香りが薄いのではなく「やさしい香りが濃厚」なので
何もつけずとも最後まで十分堪能できる。
言ってしまえばうどんに近い食感なのだが、
その食感の中で感じる粗挽きのホシのツブツブ感は大変珍しく楽しいものだ。
平打ちのためヒラヒラとしたはかなさもあり、
ヒラヒラのフワンフワンのつぶんつぶん。

面白いところに来たなあー!




お隣のアンシュは「ざる」をオーダー。
鍵盤叩けば魔法の指が、今日はひたすらたぐっておられます。



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ちなみうどんもひとすじ(・・と言いつつ3すじくらい)分けていただいたが
うーんこれは! さすがにおいしい。
ゆたかな弾力といい、やわらかなつるつる感といい、
さすがは武蔵野、うどんどころと感心させられた。
ちなみにつゆはかなり甘め。
武蔵野らしく肉汁が人気のようだったので
それも是非試してみたいところである。


長くなっちゃったので2店目は明日に続く!



(seesaaブログのメンテナンス工事によるサービス停止が長引き、
昨日今日とブログアップもアクセスも出来ない状態でした。
ご迷惑おかけして、ごめんなさい!)



2010年02月22日

立川「手打そば むらやま」 (和なリハ+)


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昨日は、3/5のライブのリハでしたemoj_btw_00638.gif

ドラムセットとお琴と太鼓と三味線とコンピューターが混在するスタジオ。

メンバーはみなさん素晴らしい音楽家ばかりで
木津さんの歌声の、大地のようなゆるぎなきパワーに導かれ
すごーく楽しいリハでした!

私は和だかエチオピアだかニューギニアだか??
かなり謎な雰囲気でリハに参加させていただきましたが
民謡界の星として輝きながら全く既成概念にとらわれない木津さんには
ニコニコ柔軟に受け入れていただきうれしかったです〜60P600559_DCE.gif

本番がますます楽しみemoj_btw_00687.gif





今週美味しかったお蕎麦は
立川駅より多摩モノレールで6分、
泉体育館駅から徒歩10分の「むらやま」。



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都心からはちょっと遠く感じるかも知れないが
二八と田舎とさらしなの3種の蕎麦を用意して
ニコニコと笑顔が実に感じのいい店主夫妻が迎えてくれる。



こちらが二八。


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続いてさらしな、田舎。

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「むらやま」のお蕎麦はどれもがとにかく
ぱきぱきハッキリ、繊細な舌触り。

「もにょーん」とか「フワ」とか「にちゃ」とか
「しっとり、しなーん」とかは全くなし。
どこまでも!潔く!ぱきぱきシャキーンと清冽で端正な姿のまま
舌をくすぐり歯に触れてその感触を楽しませてくれる。


二八らしい優しさ。
さらしならしい清澄な香り。
田舎らしいざらつきと、やや熟成感を感じる香ばしい香り。

それぞれの特性も十分に楽しませてくれるのだが
すべては「むらやま」という強烈な個性の内側でのこと。

こういう強烈な個性、私は大好きである。


相当冷水で締められているので
どうしても蕎麦の香りを楽しみたい私は
できるだけゆっくりと食べて時間を稼ぎ、
温度が少しでも上がって味と香りが出てくるのを待つのが
ちょっと大変だった。
美味しい蕎麦ほど、ゆっくり食べるのは難しい。


昼の営業は11時から15時までと比較的長めなので
13時半に新宿にいても間に合っちゃいますよー!



2010年02月21日



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恋は突然やってくる。

ああ出会ってしまったこの人。



五反田・昭月庵のすぐ裏に
Jan&Taroという犬と猫がテーマのギフトショップを見つけてしまい
最近3回も行ってしまった。

もちろん昭月庵もセットになっているのだがf^_^;



ぬいぐるみと言っても輸入ものやかなりリアルなものが多いので、結構大人向け(?)です。

店内では興奮し過ぎて奇声をあげまくってた大人な私。

犬好き、猫好きの方への贈り物には絶対オススメの穴場ショップですよ〜♪
昭月庵から徒歩10秒です!




Jan&Taro
品川区西五反田2-26-4
03-3491-5190
日曜定休
posted by aya at 17:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | aya>diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月18日




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朝部屋の窓を開けたら銀世界。



さすがに寒いが、最近は寒ければ寒いほどニヤニヤする変な私。

新しいダウンジャケットが本当〜〜〜に暖かいのだー!

着ている部分だけは部屋の中にいるようなので
出てる部分が寒くても耐えられてしまうことをニヤニヤ実感。



おっそして今日のマフラーは義兄のNY土産です(随分前)。
大のお気に入りでしょっちゅう出動。アリガトウ!


みなさんも暖かくしてお出かけくださーい、


いってきまーす。



(ちなみに昨日は「神楽坂 山せみ」、せいろも田舎も大変よかったですよ〜!)




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2010年02月17日

新宿御苑前「御苑前 せお」


お昼時、扉をガラッと開けて驚いた。
店内満員、しかも凄い女子率の高さである。

15食限定ランチ目当てのOLで店内はいっぱい。
入ってくる人は皆ランチがまだあるかまず尋ねている。

ランチは日替わりでブリの照り焼きショウガ風味、
牛肉と葱の山椒味噌炒め、目鯛と大根の煮つけ、
まぐろユッケ丼など、実にバラエティーに富んでいる。
これなら毎日来たって飽きないのだろう。


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ほぼ全員がランチかコースを注文する中、
「せいろ1枚ください」。
この人全然融通ききません。


そりゃそうだ。



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この蕎麦、である。

非の打ち所なき正統の美しさ。
箸先にたぐり上げたしなやかな数本から、かぐわしい香りがふわっと香り、
口に含むと蕎麦という穀物の深い味わいが舌の上にゆっくりと広がる。
そして歯触り、舌触りはあくまで端正。

完璧と言っていい素晴らしい蕎麦なのだ。


この地にあった大木戸矢部の料理長が独立して開いたこの店。
蕎麦より料理、というイメージが強いが、いやいやいや・・・
私料理もいただきましたが、
こちらは料理より蕎麦、かと存じますですよ。

「静謐な完全」。
少なくとも、現時点では現在花園町にある「大木戸矢部」の蕎麦を
軽く超えてしまっているだろう。

とは言え「花園町 大木戸矢部」はこれまた完璧としかいいようのない、
驚くばかりのうどんをひょいっと出してきたりするので、
全く目が離せないのだが。


そしてここでのお楽しみは蕎麦湯。


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これも料理の一品と思わされるほどの濃厚さ。
この「蕎麦湯お代わりお願いプロ」の私ですら申し訳なくてお代わりはお願いできまへん。
これだけ濃厚なポタージュも珍しい。
贅沢を言えばもう少し蕎麦粉の香り味わいが感じられるとありがたいのだが、
「蕎麦湯飲み」の私にはやはり嬉しい濃厚さだ。



この蕎麦湯は「花園町 大木戸矢部」でもほぼ同じスタイル。

2店は徒歩圏内なのでハシゴもできまっせ〜








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2010年02月16日

千葉・我孫子「松風庵」 (衝撃、松風庵)

我孫子というと都心からは遠いイメージがあるが
そんなことを言っている場合ではない。


日暮里から常磐線に乗ればわずか30分。

駅降りて5分も歩けば・・・



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ドカーン、この店構え。



一目見て私はつぶやいた。
「うわー私この店好き。 絶対好き!」。


この渋さ、暖簾の文字の脱力感、間違いない。

美味しい店か否か、半か丁か見極めてこの道16年(?)。
さあそのカンは当たるのか。




扉を開ければこれまた「何?このお店なに?」と戸惑うほど
ムードのある空間。
外観は閑寂な庵のようだが、店内は実に楽しい趣。
小上がりの部分は店主の趣味なのかアンティークな家具や
実用的な古道具が並べられ、芝居のセットのようだ。



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ただセンスがよい、雰囲気がよいというだけでなく
絶対に美味しい蕎麦が出てくるに相違ないと思わずにいられない「何か」が、
店全体にそこはかとなく、しかし濃厚に漂っている。
特別な期待もせずにのんびり訪れたにしては驚きの展開である。





壁に貼られたお品書きによるとお蕎麦の種類は
「せいろ蕎麦」
「極荒蕎麦」
「五霞(ごか)の蕎麦」
「常陸秋蕎麦 限定 常陸葵」



ひぇー!そんなお店だったのでございますか!!

これは・・・
楽しみすぎるではないか・・・




早速こちらが「せいろ蕎麦」。


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せいろで既にこの粗挽きぶり。
見た目だけではなく、大変に素晴らしい蕎麦なのだ。
香りはそれほど濃厚ではないのだが、
実に品のいい蕎麦の香りをまとっている。
これだけ野性的な容貌ながら、極上の更級にも似た
清らかな淡い香りをひそめている意外さ。
粗挽きのざらつきを楽しみつつ、あっという間に食べてしまった。


つづいて「極荒蕎麦」。




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見るからに素晴らしいが食べればそれ以上の感激。

ものすごい、蕎麦なのである。

この太さ、無骨な肌感、そして私の大好きな白い陽炎のようなホシ。
その力強い一本一本を噛みしめると、
この蕎麦もまた濃厚とか、爆発的とかではないのだが
しみじみとした蕎麦の美味しさがジワーーー・・・と、
静かに口の中に広がっていくのだ。 

これだけのインパクトのあるルックスながら、
口に含むとまったく派手なところがない。
極荒とは言えものすごいザラツブ感とか、
粗挽きらしい野趣溢れる香りがプンプン、とかいうのでもない。



地味な滋味。
駄洒落が言いたいだけではなく、私は本気でそう思った。

地味な印象のその奥に、蕎麦という穀物の言わば「醍醐味」が
下塗りされているかのように低く隅々まで感じられる。
一本一本、噛みしめるごとにうなりっぱなし。
こんな極太粗挽き初めて食べた!
朝っぱらからすごい出会いをしてしまったものである。
わたしは、最後に残った2,3センチの切れっ端までも
宝物のように大事に食べた。


お次が続けて、「常陸葵」と「五霞の蕎麦」。


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もう、コリャたまらんでしょ?


私もこうして写真見ながら書いているだけで
今すぐ常磐線に飛び乗りたくなってきましたよ〜



しかもね、壁のお品書きには「かけそば」もあるのですが
かけは「平打ち蕎麦」でがおすすめと書いてあります。
というわけで「ミニかけそば」。



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これがね〜〜〜!
私は少々運命的なものすら感じてしまったほどの美味しさ。

そもそも「もりそば」への愛が宇宙ぐらい巨大すぎて
「かけそば」自体に興味が希薄な私。
その私が、ちょっと「かけそば開眼」してしまいそうなほどの美味しさだったのだ。
やや太めの平打ちの蕎麦は湯の中でもしっかりとした歯ごたえを保ち、
しかし平打ちのためしなやか。
かけ特有の蕎麦の甘い香りを邪魔しないばかりか、
後押ししてくるようなしっかりとした出汁のうまみ。
へー!「かけそば」ってこんなに美味しいものだったの?

何ですか、なんなんデスカこのお店は!




あまり絶賛ばかりしていてリアリティーに欠けるといけないので
そうでもなかった部分も書けば、
「粗挽きそばがき」は、ちょいと不思議なものであった。
木桶で供される演出はとてもよい雰囲気で嬉しかったのだが、食べた瞬間びっくり。
これ、私が食べて育った「萬藤のそばがき」の味がする・・


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萬藤とは浅草の老舗乾物屋で、オリジナル商品のヒットも多いのだが
そこの「インスタントそばがき」なるものを私は食べて育ったのだ。
発砲スチロールの丼に、戸隠の蕎麦粉と添付のつゆが入っていて、
そこにポットのお湯を注いで混ぜればそばがきの出来あがりというもの。
インスタントと侮るなかれ、幼い頃の私はこれが大好物だった。
「松風庵」のそばがきはいわゆる椀がき。鍋で加熱してかいていないため
生の蕎麦粉の風味が強くなり「萬藤のそばがき」に似てしまうらしい。
いや、美味しいのですよ。でも私には、ということである。


松風庵の店主は、これだけの店をやるだけあって、
相当奥の深〜い、一風どころか何風も変わった人物らしいのだが、
何を話しても自然で親切で、店での時間はすこぶる楽しかった。
本当に個性的な人は、個性をひけらかすことなく「自然」なんだな、
と感心させられた。
そう言えばこの店主と、店主の打つ蕎麦は似ているかも知れない。

そうそう、こんなこともやっちゃう店主なのである。


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・・・恐れ入谷の鬼子母神である。
参りやした。



我孫子はここ以外にも「湖庵」「きみ吉」と名店が集中する
千葉の七不思議な街。

行かないと、損しちゃいますよ〜


(ちなみに湖庵はビシッと美しい正統派の、淡い香りがかぐわしい蕎麦。
きみ吉はやさしい甘さの美味しい蕎麦と、是非穴子天を!)





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2010年02月11日

おはようございます



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休日ですが 朝から仕事であります
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赤いのは、アントワープのおもちゃ屋さんで買った
木でできたハートのブローチ
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今日も頑張りまーす
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2010年02月09日

愛甲石田「手造りそば あり田 」

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昨日は神奈川県厚木市「本厚木」駅からバスに揺られて
「手造りそば あり田」へ。



ここのお蕎麦、すっごくいいのですよ〜emoj_btw_00687.gifemoj_btw_00510.gif




お蕎麦は3種類、
「二八そば」
「ふる里そば(粗挽き十割)」
「変わりそば」(柚子、抹茶、桜など)。

会津裏磐梯山麓の契約農家からの会津在来種だ。




特筆すべきは、こちらのお店、
「ふる里そば」と「そばがき」には
手挽きの蕎麦粉が混ぜ込まれているのだ。

もう、聞いただけでたまらないではないか!





まあ落ち着いて、こちらが「二八そば」。


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そしてお待ちかね、こちらが「ふる里そば」。


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この「ふる里そば」はですね、
ちょっとなかなか出会えない香りなのであります。

干し草のようなちょっと不思議な、
深く、でも軽く、そしてたまらなく香ばしい香り。


粗挽きの食感もプツプツザクザク素晴らしく、
噛みしめている間中香ばしい香りと味わいで体中が染まるよう。

おいしい〜〜おいしいよう〜〜〜と唸りながら
一気に食べてしまった。




そして珍しくうどんも紹介してしまいます。
一昨日「花園町 大木戸矢部」で食べたうどんの
完璧な、正統派の美味しさにも驚かされたが
(蕎麦よりよかったかも・・・)
ここの、手造りの誠実さの伝わるうどんも本当に美味しい。


その名も「きらきらうどん」60P600187_DCE.gif




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混ぜ込まれた小麦の「ふすま」が
金粉のように見えるということなのだが・・・




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ん〜静止画じゃ表現しきれず残念なのだが
特に襖絵、浮世絵などの古い日本画好きのわたしには
確かにアンティークな金粉のように見えましたよ〜60P600187_DCE.gif




でもほんとは、「ねっ金粉に見えるでしょ?」と
素敵な笑顔で教えてくれる店主の方が
よっぽどキラキラして見えるのだがEMOJI_131.gif60P600181_DCE.gif



そう、こちらはお蕎麦もうどんも素晴らしいのだが
店主夫妻がまたすんばらしいのだ。


明るい笑顔についこちらまでニコニコしてしまい、
ああ今日ここにきてよかったと、心から思う。


少しばかり遠い距離もその分短く感じるものだ。



駅からバスというと不便なイメージもあるが
駅のバス停は改札出てすぐ、
「リバーサイド前」のバス停降りたら店はそこに見えている。

店主は燻製名人のようでスモークものも充実。


「手造りそば あり田」、おすすめですよ〜index.gif



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2010年02月08日

多磨「たか志」 (古吟)



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久々に訪れた、府中市の住宅街にある「たか志」。



おばちゃんも相変わらず元気そうで親切で、
おばちゃんの方でも「元気そうでよかった〜」と言ってくれ
それだけでも来てよかったなあと思えたが。



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お蕎麦食べたら、頭が真っ白になってしまった。
なんという美味しさ。

今まで何回この店に来たかわからないが、過去最高の感激といってよかった。




こちらは普通の「もり」。

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そしてこっちが冬の吟醸そば、通称「古吟」。

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ふわり、やさしい弾力を持つ「もり」も素晴らしかったが、今回の古吟は凄すぎた。

ふくよかさ。おおらかさ。あらあらしさ。やさしさ。ゆたかさ。かぐわしさ。おくふかさ。


こんな蕎麦があるのか、と驚かされた。

陶酔、恍惚のひととき。




吟醸そばは春・夏・秋・冬で替わるので、
来る度に違う出会いが楽しめる。

季節によって蕎麦が替わるばかりではない。
たか志の蕎麦はすべて手挽き。
何から何まで、全く機械に頼らず全て店主の「手」で作られる蕎麦だけに
わたしの知る限り、最も「来る度に違う表情を楽しませてくれる店」の一つである。


今回わたしが食べた「冬の吟醸そば 古吟」は2月いっぱい。

興味ある方は、2月中に、是非どうぞ!
(わたしも2月中にもう一回行きたい〜(>_<)!)







おばちゃんアメくれたEMOJI_131.gifindex.gif

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2010年02月06日

ライブのお知らせ



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3/5、木津茂理さんのライブに
出演させていただくことになりました。


日本人のかっこよさを見つめ続ける、民謡界の異色のスター木津茂理さん。

わたしはかなり無国籍な雰囲気でお邪魔させていただく予定です。

楽しみ楽しみ〜〜emoj_307_00003.gif



みなさん是非いらしてくださいね。



詳細はHPにて。
http://ayakotakato.com/topics.html



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2010年02月04日

京王堀之内「手うち蕎麦 古譚」

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東京都八王子市、京王堀之内駅から徒歩10分の住宅街に
去年こんな素敵なお店が出来たのだ。



「古譚(こたん)」。




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おそばはせいろ(二八)と十割の2種類。
それがどちらも本当に素晴らしい。


せいろは、パッと見は白くて上品だが、
よく見れば「お?」と気づかされる。
思った通り、ぱきぱきとした舌触り。強靱なコシを持つ、個性的な蕎麦だ。
箸先の香りは強烈ではないのだが、穀物の甘さと独特のやわらかい味わいがあり
そこはかとなく美味しいお蕎麦。
個性的でありながら上品なさりげなさがあるのがいい。




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そして田舎がまた素晴らしい。
箸先にたぐりあげた香りだけで「おいしいー!来てよかった!」と
ちいさくつぶやいたほど。
濃厚な香りがたまらない。嬉しすぎる。
黒めで、粘土系のぬめっとしたつながりがあるいわゆる田舎蕎麦。
しかし切り方はうんと細く、一本一本がしっかりとした輪郭を保っているため
この質感にして「ねちょっ」とした感じが全くない。
繊細で端正な舌触り。洗練の田舎だ。


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せいろと田舎をやってくれるお店は楽しみが2倍になるので
それだけで嬉しいのだが、わたしにとってはこの店のように
「せいろと田舎の対比が鮮やか」であってくれると、
まさに理想的、ありがたさに手を合わせたくなってくる。



「古譚」、お近くの方も、そうでない方も、
おすすめですよ〜emoj_req_00625.gif







2010年02月02日

五反田「昭月庵」(date with Miyuki☆)


昨日は、昼間は千葉方面飛び回っていたのだが、
夜は親友深雪ちゃんとデート☆



お店はどこがいいかな?と考えた挙げ句、
五反田の昭月庵へ。



しばらく会えなかったからやっと会えたー!って気分だったけど、
あれ?1週間ぶりか。
楽しかった〜60P600187_DCE.gifEMOJI_128.gif



ゴボウの掻き揚げ、揚げ出し豆腐、揚げ茄子、菜の花の辛子ぽん酢・・
そして最後はやはり三色蕎麦をemoj_btw_00348.gif




生粉打ち蕎麦

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玄挽き蕎麦

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新蕎麦もり

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密度濃くしなやかな生粉打ちもよかったし
玄挽きはザックザクの濃厚熟成スペシャル!
ムワァ〜〜と香ばしい五穀の恵み、大地の豊穣の塊が
ドカンと口の中に入ってくる感じ。
かなり歯ごたえがあるのでモグモグ噛みしめつつ存分に楽しめます。


そしてこの「新蕎麦もり」は単品だと500円です。
手打ちで、このレベルでありえません。
手を合わせたくなってしまうようなサービス精神ではないか。



暖簾を出たら雪。






東京の雪ぎこちなく街を染む














posted by aya at 20:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>品川区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

やっちまった


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昨日は朝から電車に2時間以上揺られ、
千葉・上総一ノ宮駅から早歩きで30分エッホエッホ歩き、
たどり着いたら、あらー。





辻そばさーん、また来ますね〜index.gif






posted by aya at 09:09 | Comment(6) | TrackBack(0) | aya>diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月01日

ちいさな本棚


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本棚に入りきらない本をどうにかしたいとずっと思っていて、
欲しいサイズを追求していたら無印のDVDケースにたどり着いた。
本棚が、1,800円で済んでしまった!




色が私の部屋には合わなかったので
白くペイントしたらやっと落ち着いておさまってくれた。



ノルウェーで買った、
花瓶代わりのキャンドルスタンドを何となくのせてみる。







posted by aya at 07:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | others>お気に入り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする